帰郷331
「でも、事は終わりました……次の問題が起きるにしても、まだ先の話では?」
火内の目標と言われても、あの赤い世界は消滅した。
赤い城も砲台になる塔も崩壊し、空を飛ぶ角付きのペガサスもトビウオも、ミノタウロスも全て消えた。
それは勝利を手にして束の間の休息を手に入れたと言って過言では無い。
「まさかリディさん……あの、いけ好かない女を手助けしようと言うんですか?」
リナの表情が強張る。
リナにとって初実は天敵、理解し合えない存在……この世界をおかしくさせる事をすると、本能が警戒をしている。
「私はその「初実」って子に会ってないから何とも言えないが、ちょっと良くない報せがあるんだ」
「良くない報せ?地上のみんなに何か悪い事が起きた?」
地上にはリミィのクローンに案内人、シュライトと凛がいる。
そういう意味の悪い報せだというのなら迷う事は無い、火内が駄々を捏ねて地上に今すぐ行きたいと言えば、武装を揃えて送り出してくれるはず。
「リミィのクローンがな、出発前に連絡とデータを寄こしてくれたんだけどな。落ちそうなんだよ、他の鳥かごな」
「他の鳥かごが落ちる?」
「それは落下スか?それとも、陥落させられるって事スか?」
「両方の意味だ、他の鳥かごから救援要請があって、今にも地上に落ちるという事らしい」
鳥かごが地上に落ちる……それは蛇の巣に、無垢な小さい鳥を閉じ込めた籠を放り込むに等しい。
鳥かごにも兵力はあるが、鳥かごの本来の役目は人類という種と文化と文明を守り、地上が平穏に戻ったその時に、地上へと降り立って繁栄を再び始めるのが役目であり、地上にある戦闘型の都市とは役目が違う。
落下する所が自分達の勢力圏または、どこかの鳥かごの勢力圏ならまだ救援をして貰えるが、万が一にも未開の地に落ち日には……全てが喰われる、人間も鳥かごという巣も全てが奪われてしまう。




