帰郷318
整備兵と名前に「兵」とあるが、それは本質ではない、本質は「整備」の方で、軍属の整備員というだけ。
RLがいると聞いた途端に逃げ出すのは、戦闘員では無い整備兵にとっては当たり前の話。
フライマンタの後方ハッチを閉めると、格納庫の出入り口全てを塞いで脱兎の如く逃げ出していく。
「これって、みんな消えちゃったんスかね?」
「どうだろうな」
迎えが来るから、それまでフライマンタの内部で待機するように言われていたリナ達であったが、外の慌ただしい雰囲気に腰が浮く。
「そんな臨戦態勢にならなくて平気さ。本命をお迎えする為に、軍だって動かしているだからな」
リディの言う通りで、もしも本当にフライマンタ一号機にRLが忍び込んでいたら、ドラゴンである火内を守る為に、二号機の方に兵士を送っている。
『コンコン……』
「はい、どうぞ」
「失礼致します」
言われた通りに、フライマンの部屋の中で静かに待機をしていると、ネクタイを締めた初老の男性が部屋の扉を開ける。
「皆様、核露様の捜索、大変お疲れ様でした」
「自分の事を知っているんですか?」
「核露様をお迎えするにあたって、写真でお顔を拝見しております。もちろん、核露様がその名をお嫌でしたら「火内」様とお呼び致しますが」
「いえ、核露で大丈夫です」
「中々の丹力でございます」
初老の男性としては、軽い挨拶で顔写真を既に確保していて、核露と火内の名前を知っている事を告げれば、顔色の一つは変えるかと思っていたのだろうが、核露が顔色一つ変えずに対応した事に、素直に感服する。
「それで、自分だけ行けば良いのですか?」
「申し訳ございませんが、一緒に来て頂くのは核露様だけとなります。ですが、他の皆様にもご挨拶をしたいと」
「自分達に……ですか?」
「恐れないで下さい。皆様は行方不明になっていた核露様を連れ帰った功労者、褒め称えられる事があっても、叱責される事はございません。それとリディ様、この度は子供達を卒いての地上、さぞかし大変だったのでは」
初老の男性は、キョトンとするリナを可愛らしく思いつつも、リディの方に顔を向けるのであった。




