帰郷308
戦いから帰って来た人達を労うべきなのは凜も分かっているが、それでも自分の家族が返って来るかどうかの瀬戸際なのだ。
「すまない、私達の方には来なかった」
「そうですか……ごめんなさい……」
「自分達が悪いッス、帰って来てからすぐに伝えるべきだったッス」
戦場に出て疲れているのに、催促した事を恥じる凜であるが、それよりも凛の心中を察してあげられなかった事に、リディ達の方が恥を覚えてしまう。
「でも、外の戦いは治まったんだ。となればリナの方で核露と出会ったと考えているんだ」
「帰って来て……くれますかね……」
「帰って来るさ。ちょっとした野暮用があったのさ」
すぐに帰って来てくれなかった核露、凛にとっては、その事実は受け入れがたい事であり、もしも何かしらの心変わりがあって、見捨てられたらのではないかと思うと目に涙が浮かぶ。
「大丈夫スよ、もしもの時を考えて火内君は、凜ちゃんの事をリナに頼んでいたんスよ?リナに頼んだからこそ、野暮用を済ませようとしているんスよ」
凜を慰める為の言葉で、何の根拠も無い発言だが、火内はリナと会っているという予感はしている。
帰って来るかどうかは、本人次第になるが、それでもリナを助ける為に二人は出会い、最低でも何かしらの言付けは受けているはず。
リナの吉報を待って、一刻程の時を過ごしていると、
「みんな帰って来たよ!!火内君も一緒だよ!!」
「リナ!!お帰りッス!!」
大型トレーラーの扉が開いて、リナと火内が帰って来るのであった。
「核露さん……」
「一人ぼっちにしちゃって、ごめんね」
核露が膝を付くと、凛が核露の胸に飛び込む。
「どうして……すぐに帰って来て……」
「地上で死に掛けている所を、助けてくれた人達がいたんだ。その人達が困っていたから、お礼に手助けをしていたんだ」
「人助けをするなとは言いません……でも……ちゃんと連絡を下さい……」
「うん……」
胸元で震える凛を抱き締めて、心の底から帰れる場所がある事に感謝するのであった。




