帰郷309
「それで助けてくれた人は、どこにいるんスか?」
「あたし達とは居られないって事で帰ったよ」
火内が怨霊に憑り憑かれて、この世の理から離れた存在になりかけた時、助けてくれた人物、それはエルフである初実なのだが、初実がここに来る事は無かった。
「お礼を言いたかったッスけど……」
「それはいらない、あれは火内君を利用してただけだから」
「そうなんスか……?」
「うぅん、助けてくれた人とリナが喧嘩しちゃってさ……そもそも、その人はその人の家族がいるから送って来たんだ」
リナの敵対心を説明出来るのは、リナだけなのだが、リナがぷりぷりと怒っていては、その話をする事も出来無い。
「とにかく、無事で良かった。鳥かごに帰ろう」
リナがいて、ミィオがいて美優もいる……これで大団円となって……
「そういえば小此木とツバメさんは……?まさか、二人は……」
ここに居るべき二人がいない、リナがここに居るのなら、二人もここに居ても良い物だと思ったが、二人の姿が見えない。
あの二人が姿を見せないというのは、余程の事があったのではと心配になってしまう。
「それかぁ……その二人何だけどな、鳥かごから旅立ったよ」
「死んだとかじゃなくて?」
「ははっ、死んで遺体があった方が、まだ可愛げがあるな」
面倒事から逃げるかのように煙のように蒸発した二人、足取りが掴めないとなると、遺体で遺っててくれれば、葬式に出して居場所も分かるというもの。
「それじゃあ、二人を探しに行かないと」
「いや、それよりも一回落ち着いてから、話しをしないといけない」
「あなたは……確か、あの時の……」
「私はリディ、美優とミィオの保護者だ」
リナ達と一緒にいた大人、あの時は助ける事ので精一杯で、自己紹介をしっかりしている暇が無かった。
「そうか……そうですよね……自分は好き勝手にしてたから良いけど、みんなは心配して探しに来てくれたんですよね」
探す者と探される者、探し人が死んでいるのでは無いかと、心労を重ねているのはどちらかと聞かれたら、そんなのは前者。
心労を掛けたのに、ここですぐ様にの探し人の探索に動こうというのは、酷な話であった。




