帰郷306
ここで初実が、赤ん坊を殺した事をなじって来たとしても、咎めるつもりは無い。
自分がした事は、本来なら軍法会議に掛けられて処刑されるとしても、文句の一つも言えない行為。
軍人ではない初実に見せて良い、光景では無かった。
「核露……」
「うん……」
「帰っちゃうの……鳥かごに……」
「そ……それは……」
初実が何て言おうとも受け入れて、初実の気持ちを汲もうと身構えたのだが、ボディブローを溝内に打ち込まれたかのような衝撃に嗚咽してしまった。
「私は……居て欲しい核露に……鳥かごに帰らないで、私達と一緒に戦おうよ。全ての決着が付いた訳じゃないんだよ?」
「…………」
それは核露にとって、早いうちに覚悟を決める事であった。
初実には、自分が鳥かごに帰らないといけない話はしていたが、初実達の事を手助けするという約束もしている……けれど……
「初実……僕は帰るよ……鳥かごに……」
「どうしても……?」
「初実、聞いて欲しいんだ……僕が鳥かごに帰るのは、今後の事を考えても、知っておかないといけない事があるんだ」
「知っておかないといけない事?」
「うん」
核露には、初実と別れて鳥かごに戻らないといけない、理由があった。
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「敵がいなくなったス……火内君と会えたなら良いんスけど……」
「だな、リナ達が上手くやってくれたんだろうな」
「取り敢えずトレーラーに戻ろう。吉報を持って帰って来るさ」
自分達が危険な状況になれば、火内が駆け付けてくれると思ったが、赤い森の中に紛れ込んだ時と違い、今回は大多数の兵士達での制圧戦、危険な状態に陥る事は無かった。
自分達の方に現れなかったとなれば、リナの方に姿を現したはず、だから赤い存在が消えたと信じるべきであろう。




