帰郷304
原人が敵対しているのはエルフ。
これから進化してエルフになろうとする原人と、同じエルフと争うが、追っ手が差し向けられたのでは無い。
(あなたは深くを理解している)
(あなたならすぐに、私達の同胞になれる)
(なら、私を殺して吸収してみればいい!!!!)
原人には、聞かされていた与太話があるのだが、それはエルフの誕生の話。
森の奥深くに鎮座する一つの大樹、そこでは命の循環が行われていた。
大地の奥底に存在するマナを吸い上げて、地上へと送り出し世界を満たすが、より世界を豊かにするために、大樹は新たな生命を実に付けたが、エルフであった。
エルフが、大地からマナを吸い上げられるのは、大樹のサポートをする為であり、エルフは大樹の理念を体現した存在という与太話が存在した。
言ってしまえば純粋たるエルフは、エルフ同士の性行為から生まれるのではなく、大樹から生まれて来るという処女懐胎的な話。
『ボッボォォン!!!!』
(ちっ!!)
もちろん、そんなのは与太話的な話だと思っていたが、こうして木から生まれたエルフを見てしまっては、与太話を信じざるを得ない。
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『ザシュザシュザシュ……』
「これで最後ですね」
「これで終わったのかな……」
「そうね、一回外に出てみても良いかしら」
初実を除いた者達で、赤い木になる赤ん坊を処理した。
サンプルで連れ帰る物に付いては、へその緒を抱っこ紐にして自分の体に巻き付けている。
目標とかでは無いが、この城にしまい込まれていた宝は処理した。
しかし、これで決着が付いたかと言われると、少し腑に落ちない。
自分達はスズメバチの猛攻を凌いで巣に侵入し、幼虫を皆殺しにしたのだが、肝心の女王蜂を殺していない。
「初実、外に行こう。何か変化があるかもしれない」
「うん……」
リミィのクローン達が、戦いの決着が付いていない事に気持ち悪さを感じている中で、初実はへ、へその緒で縛られている赤ん坊に、吐気を覚えてしまう。




