帰郷303
核露は、初実を庇って前に出て、リナから初実の姿を隠す。
これ以上の事をしたら許さないという宣言、それはリナに対しての敵対するという事。
真っ正面から対峙する仲間を……火内の事を想い続けていたリナにとっては、それは非情な宣告に思えたが、
「そうだよね、火内君。私達は軍人で、彼女はただの民間人。こんな事をしないでも良いよね」
リナが感じたのは、初実を庇うという事は、初実こそが自分達と違う世界の存在、異物だと火内も宣言していると。
「あなたはしなくて良いよ、非難してくれて良いよ。例え後ろ指を指されようとも、私達は軍人だから気にしないで。それじゃ火内君、手伝って」
否定されたのは自分では無く初実の方だと、振り返って赤ん坊殺しの続きを始める。
「核露……」
「初実、僕は軍人だからこれを処理する……そうしないと人が死ぬ」
人間の味方をするドラゴン……そこには隔たりがある。
赤ん坊を踏み付けた足を少しだけ振る、それは虫を踏み付けて汚いという動作と同じ物であった。
『ザシュザシュザシュ!!!!』
「二人共、皆殺しにはしないでね。サンプルを確保するから」
向こうの隊長であるリミィのクローンも、悪びれもせずに赤ん坊を処理していく。
自分だって、ここに来たのは死んだ者を取り込んで、世界をおかしくさせようとしている存在を感じ取ったから……アフレクションネクロマンサーの力で始末しようとした……けど……
(私は……何を戸惑ってるの……)
踏み付けられて潰された赤ん坊を見て、体が硬直してしまう。
_____
(舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!)
『ボォゴォォォォォ!!!!』
同時刻、他の地域で原人が雷鳴を唸らせて戦っていた。
(あなたもエルフなら、私達へと還りましょ)
(怖がらないで、私達もエルフよ)
(黙れ!!!!私はこの時、この瞬間に生まれたエルフ!!!!キサマ達とは種族が違う!!!!)
帰る場所を失った原人は、ヘルメットを被って傭兵として身分も、原人の身も隠し、自分達を器にしようとした者達に、反旗を翻す為の時を待っていたのだが、その前に別の戦いに巻き込まれてしまっていた。




