3話 変わった距離
PVとかリアクションとか多くてほんとモチベに繋がってます!
ありがとございます!
その週から、美月と会う回数が減った。
理由はちゃんとあった。
課題が忙しいとか、バイトが詰まってるとか、体調が微妙とか。
全部、納得できる理由だった。
だから何も言えなかった。
「今週ちょっと無理そう」
電話口で美月が言う。
静かな声だった。
いつもと同じ声。
「そっか」
「来週なら空くと思う」
「じゃあ来週にしよう」
「うん」
少しだけ沈黙が落ちる。
前ならここで、美月が何か話していた。
今日のこととか、電車で見た変な人の話とか、どうでもいいことを。
でも今日は、何も続かなかった。
「……悠真」
「ん?」
「ちゃんと寝てる?」
「寝てるよ」
「無理してへん?」
「してないって」
少しだけ笑う。
電話越しに、小さく息を吐く音がした。
「ならええけど」
それだけだった。
優しさは変わっていない。
むしろ、前より丁寧なくらいだった。
だから余計に分からなかった。
どうして距離だけが遠くなるのか。
通話が終わってから、スマホの画面を見つめる。
通話時間は三分もなかった。
こんなに短かったことは、一度もなかった。
翌日。
講義のあと、大学の購買に寄った帰りだった。
階段を降りたところで、見覚えのある後ろ姿が見えた。
美月だった。
誰かと話している。
男だった。
昨日見たやつと同じかどうかは分からない。
でも知らない男だった。
距離は少し近い。
美月は笑っていた。
声は聞こえない。
ただ、表情だけが見えた。
俺といるときと同じ顔だった。
その瞬間、胸の奥が妙に静かになった。
怒りでもなかった。
悲しみでもなかった。
ただ、冷たい何かが落ちてきたみたいだった。
声をかけようとして、やめた。
理由は分からない。
でも、やめた。
美月は俺に気づかなかった。
そのまま男と並んで歩いていった。
夜。
美月から連絡が来た。
――今日は一日図書館おった
画面を見て、指が止まる。
昼間の光景が頭に浮かぶ。
少し考えてから返信した。
――そっか、お疲れ
すぐ既読がついた。
でも返信は来なかった。
珍しいことだった。
いつもなら何か一言返ってくる。
数分待った。
十分待った。
三十分待った。
それでも来なかった。
スマホを置いて、天井を見た。
そのとき初めて思った。
もしかして。
じゃなくて。
たぶん。
そういうことなんだろうな、って。
これが一番悲しい




