5、えっ!お金が帰る⁉︎ カエルでっ!
「このカエルをお財布に入れて置くと
お金が帰ってくるそうですよ。
「お金がカエル!」で、ダジャレみたいですけど
フフフッ!」
本当に上品で素敵な、おばあちゃんなのだ。
マダムと言った方が良いかもしれない。
しかも、美人だ。
昔はブイブイ言わせていたのだろう!
バブルのディスコでお立ち台を経験した世代だ。
…って、その想像は飛躍し過ぎた。
お婆様、申し訳ございません!
しかし、これは、逆に凄い物に出会ってしまった。
何事にも、向き不向き
適材適所と言う事はある。
この、蛙ちゃんは、生まれながらにして
お財布に住む事を運命付けられ
それを指名として誕生仕った
由緒正しき存在なのだ。
亀ちゃんは、そもそも、ご長寿、繁栄などを願うもの
お守りなどに入れて肌身離さずが…正解だったのだ。
そこを誤ったのが私の落ち度だったのだ。
亀ちゃんよ!何故いなくなる?
…と、亀ちゃんばかりを責めていたが
問題の本質はそこに、あったのだ。
財布は亀ちゃんにとっては、不釣り合いな場所だった
…と、言う事だ。
亀ちゃんよ!許して下され!申し訳なかった。
今は、何処へ行かれたのか?
無事で、ある事を願うばかりである。
そうして、カエルちゃんが
二代目、財布の小銭入れコーナの主となった訳だが
心配していた逃亡癖はカエルちゃんにはなかった。
良かった。…と、胸を撫で下ろした。
あんな、空虚感は二度と、ごめんだ!
この歳で、フラれ気分など味わいたくないのだよ!
今は、三匹のカエルちゃんが同居…
仲良くシェアしている。
しかし、途中で、引越しをしてしまい…
最近は神社にも、お土産屋さんにも
足が遠のいている。
今度行こう!…の、繰り返しで、中々行っていない。
「なんか、また、新しいお店ができたみたいだね!」
インスタで流れてきた画像を見て
行ってみようか!…と、なるのだが
言ってみるだけだ。
実際、行くまで、至っていない。
やはり、あの混雑は恐怖だ。暑いし…
熱いのだ。
参拝者と言うより観光客だ。
その圧が熱いのだ。
熱気で娘が人酔いしてしまうのだ。
なので涼しい頃に行こうと、言いながら
その機を逃したら、また、一年繰り越しだ。
引越したと言っても、バイクで10分の距離だ。
車だと、駐車場に向かうまでの渋滞に巻き込まれ
どんだけ時間がかかるかわからないが…
家族ならやはり、電車が正解だ。
駅も近いのだし…我が家の場合は…だが…
それでも、足が重いのは、いつでも行ける…
…の、地元意識だろう。
貴重な休日なのだ。ゆっくりしたい。
それでも、出掛けるなら、
珍しい場所。行った事ない場所を選択するのは
当然だろう。
そうなれば、何度も足を運んでいる。
神社へとは、中々、ならないのだ。
今度、行く時はカエルちゃんが
みんな、居なくなった時だろう。
その時は慌ててバイクを走らせるに違いない。
その頃から、何故か、
我が家の経済が上向きになり出した。
カエルちゃんのおかげと言う
安易な事ではないだろうが….
まず、高利のローンが終わった。
サラ金と言うヤツだ。
CMもやってる大手のローン会社では、あったが
バブルの爪痕がまだ、残る若き頃
つい、手を出してしまったのだ。
ブランド物が大好きだったし…
持ってないと恥ずかしいくらいだった。
さらに、夜ごと遊び惚けて、挙句の散財だ。
ちょっと、だけの借金のつもりが
段々、膨らんでいった。
それこそ、バブルのように…
みんなが、何とか立直り始めても
こっちは、しばらく崩壊したままだった。
コツコツ返済し続けるしかなかった。
その頃、ダンナが転職した。
元の会社は俗に言うブラック企業だった。
漆黒の如き、真っ黒会社だった。
給料は県内の最低賃金の、それに等しい額だった。
社長は根っからの昭和気質の親分肌だが
どこか、アッチ系を匂わせる人だった。
社員達は、皆、社長にペコペコ、へこへこして
親分に対する、子分としか、思えない
行動ばかりしていた。
常に社長の顔色を伺い、社長がこう言ったから
社長が、こうしなさいと言ったからと
みんな、過剰反応ばかり、していた。
仕事ばかりでなく、生活までも
社長の言いなりにされていたのだ。
それは、社宅に住まわされていたからだ。
家賃は安くして貰っていたが
だから、その分、給料は安いんだよ。
…と、言う、理屈らしい。
それなら、給料をもう少し上げて貰って
好きな場所に、住んだ方がいいよ!
…と、こちらは、思っていたのだ。
社長の用意した部屋に住めば
それだけで支配下に置かれた様な気になるのだ。
飼われている気になるのだ。
正に、社畜なのだ。
年配社員の人達は既に、社長の洗脳が済んでいた。
私はダンナが洗脳される前になんとか転職をして!
…と、何度も頼んでいた。
しかし、ダンナも、中々、難しい立場だった。
近しき人が紹介してくれた職場だったのだ。
辞めたい事を、その方に相談しても
もう少し頑張りなさいと言う応えだ。
どうかならんか?…と、私は焦っていたが…
ある日、それは、唐突に解決した。
会社の経営が悪化したのだ。
人員削減と相なった。
社長は若い社員を残そうとしたが
皆、結託してやめた。
残ったのは年寄りばかりだ。
会社を紹介してくれた方に夫婦揃って報告に行った。
相談ではない。
もう、やめる意思が固まっていたからだ。
烈火の如く、怒られた。
私の顔を潰すつもりかと、さらに、縁を切られた。
それでも、堪えた。
そこだけは、譲れなかった。
あの会社は長くいる場所ではない。
社長の奴隷業は、ごめんだ!
ダンナが、そう、踏ん張ってくれた。
嬉しかった。
その後、切られた縁は無事復活した。
時間が、解決してくれた。
みんな、あの頃は血気盛んだったのだ。
人に揉まれ角が取れた。
人の話しに真摯に向き合えるようになった。
しかも、以前より親しくしてもらっている。
人の縁とは、面白いものだ。
社宅を出なければならなくなった。
当然だ。会社を辞めたのだから…
少ない、貯金をはたいて引越しをした。
一緒に辞めた、若い社員が荷造り
荷運びを手伝ってくれた。
トラックは現場の取引会社の親方が貸してくれた。
人の温かさを実感した。
本当にそれは、嬉しかった。
続く




