表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
72/109

第72話 白銀の世界で並ぶ二人

写真集の冬ロケで、雪深い土地を訪れたブランシュとルミエール。


白銀の景色と幻想的な光の中で、二人の新たな撮影が始まります。


写真集の冬ロケ初日。


ブランシュとルミエールは、遠く離れた雪深い土地を訪れていた。


滞在先の大きな窓の向こうには、白く染まった森と山々が広がっている。


音もなく降り続く雪が、木々の枝や建物の屋根へ静かに積もっていた。


ルミエールは窓辺に立ち、白銀の景色を見つめていた。


淡い光がプラチナ色の髪を透かし、その輪郭を柔らかく包んでいる。


「きれい……」


小さくこぼれた声に、温かい飲み物を持ってきたブランシュが微笑んだ。


「本当にきれいね」


ブランシュは、ルミエールの隣へ並んだ。


冬の光を受けた長い髪には、温かな艶が浮かんでいる。


窓の外に広がる冷たい白の中で、ブランシュの華やかで穏やかな美しさが、いっそう鮮やかに見えた。


「少し冷えるでしょう?」


ブランシュが、ルミエールへ温かい飲み物を差し出す。


「ありがとうございます」


ルミエールは両手で受け取り、立ち上る湯気に顔を近づけた。


その様子を見ていたカメラマンが、静かにカメラを構える。


「お二人とも、そのままでお願いします」


「もう撮影が始まっているの?」


ブランシュが驚いて振り返る。


「はい。今の自然な雰囲気がとてもきれいだったので」


二人は顔を見合わせ、少しだけ笑った。


窓の外を眺めるルミエールと、その隣で優しく見守るブランシュ。


雪景色を背にした一枚目の撮影は、作られたポーズではなく、二人が何気なく過ごしていた時間から始まった。


その後、二人は冬の衣装へ着替え、屋外での撮影へ向かった。


ブランシュは、白を基調に淡い水色を重ねたロングコートを身につけていた。


襟元と袖口には白い毛があしらわれ、雪の中でも目を引く、華やかで気品のある装いだった。


ルミエールは、銀色を含んだ淡い青のケープを羽織っている。


細かな雪の結晶が刺繍され、歩くたびに光を受けて静かにきらめいた。


白い景色の中に立つブランシュは、冬の寒さまでやわらげてしまうような明るさをまとっていた。


その隣のルミエールは、雪や氷の透明な光に溶け込むような、澄んだ美しさを見せていた。


異なる印象を持つ二人が並ぶことで、それぞれの魅力がより鮮明に浮かび上がっていた。


「では、こちらへ歩いてきてください」


スタッフの声に合わせ、二人は雪の上をゆっくりと歩き出した。


降り続く雪が、髪や肩へ舞い落ちる。


ブランシュは隣を歩くルミエールを見て、そっと手を伸ばした。


「髪に雪がついているわ」


指先で雪を払い、ケープの襟元を整える。


「ありがとうございます」


ルミエールが微笑む。


その瞬間にも、何度もシャッターが切られた。


「今の表情、とてもよかったです」


スタッフの言葉に、ブランシュが少し照れたように笑う。


「撮られていることを忘れていたわ」


「その方が、自然で素敵です」


次の撮影では、雪の中で肩を寄せ合い、同じ方向を見つめた。


白い息が重なり、二人の周囲を細かな雪が舞う。


ブランシュの柔らかな微笑みと、ルミエールの静かな眼差し。


華やかさと透明感が一枚の中に収まり、何度シャッターを切っても、それぞれ違う表情が残された。


日が落ちる頃、撮影場所は氷のお城へ移った。


透き通った壁や塔が、青や白の光に照らされている。


氷の階段には淡い光が流れ、辺り全体が現実から切り離された世界のように輝いていた。


二人は衣装を替え、氷のお城の前へ立った。


ブランシュは、白から淡い青へと色が移り変わるドレスを身につけていた。


光を受けるたびに布地がきらめき、立っているだけで周囲の景色を華やかに変えていく。


ルミエールは、銀白色の細身のドレスを着ていた。


胸元や裾には小さな結晶の飾りが散りばめられ、青い瞳には氷の光が映り込んでいる。


「ブランシュさん、とてもきれいです」


ルミエールが素直に言うと、ブランシュはうれしそうに笑った。


「ありがとう。ルミエールさんも、雪の国から現れたお姫様みたいよ」


スタッフに促され、二人は氷の階段を並んで上った。


途中でブランシュが振り返り、ルミエールへ手を差し出す。


ルミエールがその手を取ると、二人は光の中で視線を交わした。


「はい、そのままで」


カメラマンの声とともに、シャッター音が続く。


氷のお城を背景に、手を取り合う二人。


ブランシュの明るく優雅な表情と、ルミエールの静かで幻想的な表情が、氷の光によって美しく引き立てられていた。


撮影が終わる頃には、空はすっかり暗くなっていた。


辺りの照明が落とされると、頭上には無数の星が広がった。


「すごい……」


ルミエールが空を見上げる。


その先で、淡い光の帯がゆっくりと揺れていた。


緑や青、わずかに紫を含んだ光が、星空を覆うように流れていく。


「オーロラ……」


ブランシュも言葉を失い、しばらく空を見つめていた。


撮影のために立っていたことさえ忘れ、二人は並んだまま夜空を見上げる。


「ブランシュさんと一緒に見られて、よかったです」


ルミエールが静かに言った。


「私もよ」


ブランシュは空を見上げたまま微笑む。


「きっと、ずっと忘れないわ」


その言葉に、ルミエールの胸が少しだけ温かくなった。


未来へ帰ったあとも、この夜のことを覚えていたい。


若い頃の母と並び、同じ星空を見上げたことを。


カメラマンは声をかけず、二人の後ろ姿へ静かにレンズを向けた。


雪原に並ぶ二つの影。


その向こうには、氷のお城と星空、そして揺れる光の帯が広がっている。


作ろうとして作れるものではない、二人だけの時間が一枚の写真に残された。


撮影を終え、滞在先へ戻ったあとも、窓の外では雪が降り続いていた。


ルミエールは、窓辺に置かれた端末で、今日撮影された写真の一部を見せてもらっていた。


氷のお城の前で手を取り合う二人。


雪の中で肩を寄せる二人。


星空を見上げる二人。


「本当に、きれいに撮れているわね」


ブランシュが隣から画面を覗き込む。


「はい」


ルミエールは一枚ずつ、大切に確かめるように見つめた。


この写真は、いつか未来にも残る。


若い頃の母と自分が、白銀の世界で過ごした証として。


窓の向こうには、静かな雪景色が広がっていた。


その白い世界の中で生まれた一枚一枚が、二人の時間を未来へつなぐように、確かに残されていった。

白銀の景色と氷の光に彩られた、冬の写真集ロケ。


この日に残された写真は、ルミエールにとって、未来へ持ち帰ることのできる大切な思い出になっていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ