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第103話 ホワイトクリスマス・リサイタル

クリスマスの夜。


ブランシュとルミエールは、白いピアノが並ぶ特別なリサイタルの舞台へ上がります。

クリスマスの夜。


ブランシュとルミエールは、二人で開くピアノリサイタルのため、コンサートホールを訪れていた。


本番前。


二人は楽屋で、リサイタルの衣装へ着替えた。


用意されていたのは、お揃いの白いドレスだった。


ドレスには、小さなスワロフスキークリスタルがいくつも散りばめられている。


身体を動かすたびに光を受け、雪の結晶のような輝きがドレスの上を走った。


首元と耳元には、ドレスに合わせたお揃いのネックレスとイヤリングが輝いている。


透明なクリスタルと銀色の装飾を組み合わせた、舞台用のアクセサリーだった。


「とてもきれいですね」


鏡に映る衣装を見ながら、ルミエールが言った。


「ええ。今日のステージにぴったりね」


ブランシュも、鏡の前で衣装の仕上がりを確認した。


楽屋の外から、本番が近づいたことを知らせる声が聞こえた。


二人は白いドレスの裾を整え、舞台袖へ向かった。


客席の照明が落ちる。


ステージの幕が開くと、白いクリスマスツリーが姿を現した。


ツリーには、銀色と透明のオーナメント、白いリボン、雪の結晶をかたどった飾りが並んでいる。


淡い水色と白の照明を受け、ツリー全体が雪に包まれているように輝いていた。


その前には、二台の白いグランドピアノが置かれている。


ブランシュとルミエールが舞台へ上がると、二人の姿にスポットライトが当たった。


白いドレスに散りばめられたスワロフスキークリスタルが、一斉にきらめく。


首元と耳元のお揃いのアクセサリーも、光を受けて輝いた。


その姿は、まるで二つの星が、白いクリスマスの夜に並んで光っているようだった。


客席から大きな拍手が送られる。


二人は客席へ一礼すると、それぞれの白いグランドピアノの前へ座った。


最初に演奏するのは、クリスマスの星空をイメージした曲だった。


二人が鍵盤に指を置く。


最初の音は、夜空に輝く一つの星のように、澄んだ音色を響かせた。


その音を追うように、もう一台のピアノから新しい旋律が生まれる。


それは、星がきらめくクリスマスの夜空を、一筋の流れ星が横切っていくようだった。


曲が進むにつれて、二人の指は白い鍵盤の上を速く駆け始めた。


一つの音を追いかけるように、次の音が生まれる。


さらにその上へ、細かな旋律が幾重にも重なっていく。


高く澄んだ音。


力強く響く音。


きらきらと連なる音。


二台のピアノからあふれ出す無数の音は、夜空を次々と横切る流星群のようだった。


数え切れないほどの音が客席へ降り注ぎ、ホール全体をクリスマスの星空で包み込んでいく。


最後の音が力強く響くと、客席から大きな拍手が送られた。


二人は一度手を止め、次の曲へ向けて呼吸を整えた。


続いて演奏するのは、静かなホワイトクリスマスをイメージした曲だった。


ブランシュが、最初の音を奏でる。


そのあとを追うように、ルミエールの穏やかな旋律が重なった。


高く澄んだ音が、一つ、また一つとこぼれていく。


まるで白い粉雪が、クリスマスの夜空からちらちらと舞い降りてくるようだった。


先ほどまで流星群のように鍵盤を駆けていた二人の指が、今は一音ずつ丁寧に音を奏でていく。


急がず、途切れず。


粉雪が空から地上へ降りてくる速さに合わせるように、静かな旋律が続いた。


白いクリスマスツリーの光。


二台の白いグランドピアノ。


白いドレスを着た二人。


粉雪を思わせるピアノの音が、そのすべてをやわらかく包んでいった。


客席も、音を聞き逃さないように演奏へ耳を傾けている。


やがて、最後の一音が静かに消えた。


短い余韻のあと、会場は温かな拍手に包まれた。


ブランシュとルミエールはピアノの前から立ち上がり、ステージの中央へ移動した。


「最後に、私たちの冬の新曲をお聴きください」


ブランシュが曲を紹介すると、客席から再び拍手が送られた。


白いクリスマスツリーの光がきらめく中、冬の新曲の前奏が始まる。


それは、クリスマスに大切な人へ贈る歌だった。


離れていても、いつも幸せを願っていること。


そばにいられる時間を、大切にしたいということ。


寒い冬の日にも、大切な人を想う気持ちが心を温めてくれること。


恋人にも、家族にも届けられる、温かな想いが込められていた。


ブランシュにとっては、ルミエールを大切に想う歌でもあった。


そして今は、これからもっと知っていきたいと願う、あの人へ向けた歌にもなっていた。


ブランシュが歌い始め、そのあとにルミエールの歌が続く。


二人は白い光に包まれながら、大切な人を想う冬の歌を届けていった。


最後のサビでは、二人の歌がクリスマスの夜を満たしていく。


歌い終えると、会場は大きな拍手に包まれた。


ブランシュとルミエールは、白いクリスマスツリーと二台の白いグランドピアノを背に、並んで客席へ頭を下げた。


リサイタルを終えた二人は、楽屋へ戻った。


「ルミエールさん、今日はお疲れ様」


「ブランシュさんも、お疲れ様でした」


「素敵なリサイタルになりましたね」


「ええ。ルミエールさんと一緒に演奏できてよかったわ」


二人は衣装から私服へ着替え、荷物を持ってロビーへ向かった。


そこには、スターリングさんの息子が待っていた。


彼の手には、クリスマスらしい華やかな花束が抱えられている。


「素晴らしい演奏でした」


彼はそう言って、ブランシュへ花束を差し出した。


「ありがとうございます。来てくださって嬉しいです」


ブランシュは花束を受け取り、嬉しそうに笑った。


リサイタルの感想を話す二人の様子は、お見合いの日よりも自然に見えた。


しばらく話したあと、ブランシュはルミエールへ向き直った。


「ルミエールさん、私たち、今からデートなの」


「そうなのですね」


「今日はここでお疲れ様。また今度ね」


「はい。ブランシュさん、楽しんできてください」


ブランシュは花束を抱え、彼と並んで会場を出ていった。


二人の後ろ姿を見送りながら、ルミエールは安心していた。


お母さんとお父さんは、順調そうでよかった。

ホワイトクリスマス・リサイタルを終えたブランシュを、スターリングさんの息子が迎えに来ました。


二人の関係は、少しずつ進んでいるようです。

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