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第102話 冬の歌

ブランシュとルミエールは、冬の新曲のジャケット撮影と収録に臨みます。

冬の新曲に合わせた、ジャケット写真の撮影日。


撮影スタジオには、雪と氷をイメージしたセットが作られていた。


白く輝く床。


氷の結晶をかたどった装飾。


淡い水色と銀色の光。


背景には、雪が降る冬の景色が映し出されている。


今回の新曲を歌うのは、ブランシュとルミエールの二人だった。


ブランシュは、白を基調に銀色の装飾を加えた上品なドレス。


ルミエールは、淡い水色を基調に白いファーを合わせたドレスを着ていた。


二人の衣装は、雪と氷をイメージした冬の姉妹コーデになっている。


「お二人とも、もう少し近くに並んでください」


カメラマンの指示に合わせて、ブランシュとルミエールは立ち位置を変えた。


「ブランシュさんは少し左へ。ルミエールさんは、そのままでお願いします」


撮影が始まる。


二人でカメラを見る写真。


雪の結晶を手に持つ写真。


向かい合って笑う写真。


背中合わせに立つ写真。


照明や背景を変えながら、何枚も撮影が続いていく。


スタッフがモニターを確認した。


「いいですね。雪と氷の世界がきれいに表現できています」


「お二人の新曲のイメージにもぴったりです」


ブランシュとルミエールも、モニターに映った写真を確認した。


白と淡い水色の衣装が、冬のセットの中で美しく映えている。


「素敵なジャケットになりそうですね」


ルミエールが言うと、ブランシュも頷いた。


「完成が楽しみね」


ジャケット写真の撮影が終わると、二人はレコーディングスタジオへ移動した。


今回の新曲は、雪と氷をイメージした冬の歌だった。


静かな冬の景色。


冷たい空気の中に残る温かさ。


離れた場所にいても、大切な人を想う気持ち。


ブランシュとルミエールは、それぞれの担当する部分を順番に収録していった。


「もう一度、二番の最初からお願いします」


スタッフの声が聞こえる。


音楽が流れ始め、ブランシュが歌う。


続いて、ルミエールも自分のパートを歌った。


細かな歌い方を確認しながら、何度か録り直していく。


サビの収録では、二人が同じブースに入った。


スタッフから合図が出る。


二人は曲に合わせて歌い、最後まで収録を終えた。


「一度、休憩にしましょう」


スタッフの声を聞き、二人はブースを出た。


休憩スペースには、温かい紅茶が用意されていた。


ブランシュとルミエールは、並んで席に座った。


少しの間、二人で紅茶を飲んでいた。


ルミエールは、今一番気になっていることを尋ねた。


「そういえば、お見合いはいかがでしたか?」


ブランシュは少し考えてから、静かに笑った。


「最初は、あまり乗り気ではなかったの」


「でも、お話ししてみると、とても真面目で誠実な方だったわ」


「そうだったのですね」


「ええ。それにね」


ブランシュは、ルミエールを見た。


「運命を感じたのは、ルミエールさんのおかげかもしれない」


「私ですか?」


「ええ。二人でルミエールさんの話をしたの」


「彼も、あなたのことを、まったく関係のない他人には思えないと言っていたわ」


「私も同じだと伝えたの」


ブランシュは、紅茶のカップをテーブルへ置いた。


「ルミエールさんの話をしているうちに、私たちはどこか似ているのかもしれないと思った」


「それで、あの方とは不思議なご縁があるのかもしれないと感じたのよ」


未来のお母さんとお父さんが。


まだ、自分たちの娘だとは知らないまま。


ルミエールの話を通して、同じ気持ちを持っていることに気づいた。


そのことが、ルミエールには嬉しかった。


「今度、二人でクラシックコンサートへ行くことになったの」


ブランシュが続けた。


「私たちのピアノを聴いて、チケットを予約してくださっていたみたい」


「それは楽しみですね」


「ええ。こんなふうに、誰かとコンサートへ行くのは久しぶりだから」


ブランシュは少し迷うように、ルミエールを見た。


「ルミエールさんは、スターリングさんの息子さんのことを、どう思います?」


突然尋ねられ、ルミエールは返事に迷った。


結婚前のブランシュよりも、未来のお父さんのことはよく知っている。


けれど、そのことを話すわけにはいかない。


ルミエールは、この時代のスターリング社で一緒に仕事をした時の印象を伝えることにした。


「スターリングさんの息子さんは、仕事ができて、とても素敵な方だと思います」


「それに、スターリングさんの息子さんも、ブランシュさんも、仕事に真剣に取り組んでいらっしゃいます」


ルミエールは、ブランシュを見ながら続けた。


「そういうところが似ていますし、私はお二人はとてもお似合いだと思います」


「そうですか?」


「はい」


ブランシュは、少し安心したように笑った。


「ルミエールさんにそう言ってもらえると、安心します」


そして、紅茶のカップを手にしながら続けた。


「今度のクラシックコンサートが、少し楽しみになってきました」


休憩時間が終わり、二人は再びレコーディングブースへ戻った。


残っていたパートを収録し、最後に全体を通して確認する。


雪と氷をイメージした曲が、スタジオの中に流れていた。


ブランシュの歌声を聞きながら、ルミエールは考えていた。


今のところ、過去のお母さんとお父さんの関係は、うまく進んでいる。


二人が結婚しなければ、未来の私の存在そのものが危うくなる。


だから、このまま二人にはうまくいってほしい。


やがて結婚し、未来へつながってほしい。


けれど――。


二人が結婚へ近づくほど、私が未来へ帰る時も近づいてくる。


そうなれば、この時代のノアール、ソレイユ、ブランシュさん、ショコラさんとも、お別れしなければならない。


お母さんとお父さんが結ばれることは嬉しい。


私の存在が守られることにも安心している。


それなのに。


その先に待っている別れを思うと、やはり寂しかった。


冬の静かな音楽の中で。


ブランシュとルミエールは、最後のサビを歌い終えた。

ブランシュのお見合いは、順調に進んでいるようです。


ルミエールは安心する一方で、未来へ帰る時が近づいていることも感じ始めています。

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