第7話 : 魔猿討伐...
とりあえずの作戦はこうだ。
1・ナイルがボスの注意をひきつけておく
2・レイがボスに触り魔力吸収をする。
文面で表せば非常に簡単に思えるが...。
ここには大きな難題がある。まずナイルは暗殺者、防御力がペラペラ故に攻撃を1発も喰らえないのだ。素早い攻撃に加え、撃ってくる魔法をすべて避け無いといけない。少し当たりでもしたら致命傷であろう。
それともうひとつは大きく避けてはいけないのである。何故なら大きく避けるとレイが触りにくくなり、追いかけるとバレる可能性が高い。
故に肝心なのは攻撃を1度も喰らわずに最小限に避ける。事なのである。これは想像を絶する難しさだった。
「...っ!!!くっそ...猿め!!」
ナイルは素早いパンチ、少し距離を取ると撃ってくる魔法をなるべくボスが動かないよう、最小限で避けていた。しかしボスはナイルにも警戒をしているがどこかへ消えたレイにも警戒しておりレイは近づける状況ではない。
「このくそ猿めっ!無駄に賢い!!こりゃただ避けてるだけじゃ不意打ちは無理そうだな...っ!」
このままだと押されて負けるだけである。ナイルは残り少ない魔力を削る事にした
「スキル!影縛!」
ナイルは黒いオーラを纏ったナイフを投げる。
魔猿はそれを軽く避ける。...が。
「馬鹿猿め!狙ったのはお前の影だ!!」
グォォォ.....!!!?
魔猿の影のある場所に深く刺さったナイフは効力を発動した。〝影縛〟このスキルは本人のもう一つの魂とされる影の方をナイフで地面に止め、本体の方の動きを止める技である。
「きまった!!今だ!レイ!やr」
グォォォォオォオォッ!!!!!!
魔猿は思い切り足を踏み出し影ごと引っ張る。深く刺さった筈のナイフはいとも簡単に抜ける。
「な、コイツまじかよ...。自分の体に地中まで刺さった杭を体を起こして引き抜くようなものだぞ...!!?」
しかし魔猿はさほどのダメージを負ってる風には見えずすぐにナイルを目で捕捉する。
「化物猿め...。くっそ...!!影縛!影縛!!」
ナイルは計4本のナイフを影に突き刺す。
「はぁ...はぁ...魔力もあんまりねぇんだ...これで大人しくなって...」
グォォォォオォオォッオォオオ!!!
.....まじかよ。
魔猿は体を振り回し暴れ回ったかと思うと無理やり影を引っ張りナイフを抜き取ったのだ。もうナイルのスキルのレベルでは手が付けられないようだ。
「力の差が...ここまで...!!」
魔猿は攻撃の手を休めない。
ナイルはギリギリの所で避けるがもうスタミナがついていかない。所々カスり、当たってきた。
魔猿はこれ程こちらに攻撃しているのに周囲の警戒を解かない。これではレイが出てこれないまま俺がスタミナ切れで攻撃を喰らい死ぬのがオチである。
考えろ。考えろ。俺は避けながらも死ぬ気で頭を回す。考えろ。影を縛る事はできない。通常の武器攻撃も感知され当たらない。魔法、魔術も感知され当らない。ではどうやって動きを止めれば.......
グォォォォオォオォッ!!
魔猿はその間も攻撃し続ける。
「くっ、、人が考え事してる時に.....!!これでも喰らえ!」
ナイルは地面に影で作った先が上を向いた魔針を出す。しかし魔力が少ししかないので2.3本。
「さすがに少なすぎて当たんねぇか...!」
魔猿は悠々と飛び越えて避ける。
どうするどうする。打つ手はもうな.......ん...?
いま魔猿はどう避けた?たった3本しかたっていない針にわざわざ飛んで避けたのか?
普通に魔力検知があるのだから少し足をずらせば避けれた攻撃...。そこでナイルは気づく。
...足には...魔力検知はれないのか...!!いや、正確には足の裏だ!だから変な不意打ちがあってもわからないからわざわざ飛んで避けたんだ!!
ナイルは不敵に笑みを浮かべる。
「頭の良さが無駄に墓穴を掘ったなぁ、猿。」
ナイルは集中する。魔力を練り、地面に突き刺す。
グォォォォオォオォッ!!
魔猿は攻撃の手をやめない。攻撃は少しずつ当たっていく。
魔猿が襲ってくる。そこで俺はわざとコケた。
魔猿は足を止めコチラを見下ろす。チェックメイトとでも言いたげな表情で。
「ばーか.....チェックメイトは...お前だよ!!」
ズッ...。
グォ!?グォ、グォォォォオォオォッォォ!!?
刹那、魔猿の足の裏の地面から影魔針が突き出る。影を使い、地面の中で操り、魔猿の足が止まるチャンスを伺っていたのだ。
グォォォォオォオォッ!!グォォォォオォ!!
「無駄だよ、しっかりかえしが付いてるからな」
魔猿は暴れるが足は抜けない。
グォォォォオォオ.....!!ォォォ!!??
魔猿はバランスを崩してその場に倒れる。
「足を止められてんのに暴れるからだよ...!レイ!!」
「わかってる!!!」
魔猿がコケた瞬間レイは岩陰から飛び出す。
「喰らいなさい!!!魔力吸収っ!!!」
グォォォォオォオォッオォオオオオオォォ!!!
レイが魔猿に触れ触れた場所から激しい稲妻が出る。
ォォォオォオォッ.....。。
「こいつもそこまで魔力残ってなかったようね...あんまり多くないわ」
レイが魔猿の魔力を全て吸い取る。魔猿の体を覆っていた魔力検知は解かれる。
グォォォォオォオォッオォ!!!!
魔猿は自分の魔力が、なくなったのがわかったのか力任せに暴れだす。肉弾戦に持ち込む気だ。
無理やり脚の針を引きちぎり、足に穴が空いているとは思えないスピードでこちらに走ってくる。
しかしナイルは落ち着いて
「俺は暗殺者だ。検知のない猿なんて...周りを警戒できない猿なんて...怖くはない。」
瞬間ナイルの体が消える。スキル〝影潜〟だ。
グォォォォオォ...!!グォォォォオ!!?
魔猿は暴れまわりあたりを壊しナイルを探す。
「無駄だよ。検知がないのに俺は見つけれない。」
「凄い...。どこにいるか全くわからない...。」
レイも驚く。それもそうだろうこの技はナイルが1層力を入れて訓練した技である。並大抵の人では見つけれないおろか、そこら辺の魔力検知では引っかからない程である。
「チェックメイトだ猿。」
ナイルは剣の先にありったけの魔力を練り込む。剣は闇のエンチャントを施し黒いオーラを放つ。
「普通に斬っても弾かれるだけ。なら剣先に集中して威力を上げる。クソ猿。お前の負けだ」
グォォォォオォオォッ!!グォォォォオォオォッ!!
魔猿は激しくあたりの石を投げたり暴れ回りナイルを探し少し動きを止め、周りを見ようとした瞬間
ナイルは魔猿の目の前。顔の下に姿を現す。
「俺が居たのはお前の影の中だよ。そんな所にはいねぇ!!!喰らえ!!!」
ナイルは本気で魔猿の心臓へと剣を突き刺す。本来なら弾かれるが今回は剣先にエンチャントを集中させている。剣が体内に入り込む。
グォォォォオォオォッ!!!!!!
魔猿が叫びナイルを吹き飛ばそうとする。が
「終わりだって言ってんだろ!!!!!全魔力使ってやる!!スキル!!魔針放射!!!!!!!」
スキルを唱えた瞬間、ナイルの刺した剣から無数の魔針が放たれる。
グォォォォオォオォッオォオオオォォオオオォォオオ!!!!!!.....オオオォォオオ.......オオオォォ.....。
体内から放射された魔針など抵抗しようもない。魔猿は盛大に血を吹きだしその場に倒れる。もう動かない。完全に生命活動を停止したようだ。
魔猿は淡い光の粒子となって消えていった。
「っ...はぁ...はぁ...。」
「ナイル...!!大丈夫!!?」
全魔力を使い果たしたナイルはもう自己修復の魔力すら残っていない。少しづつくらっていた蓄積と蓄積ダメージが一気にくる。
「大丈夫.....だ.....はぁ.....はぁ.....。魔力...さえ...回復できれば...戻るから.....。」
「もうボスは倒したから!自動転送が始まるわ!街に着いたら治療してあげるから!」
これはなんとも頼もしい...頼んだよ...。
じゃあ俺は疲れたからちょっと寝さs
「転送...が.....始まら.....ない.....」
ポツリ、レイが漏らした言葉に目が一瞬で覚める。
「どうして!?どうして!?さっきのはボスよ!?間違いはないわ!!」
「どうして.....?魔猿は死んだ...はず...」
洞窟はそこのボスが居なくなると自動的に消滅し中にいる人は外に自動転送される。しかし今回はボスを倒しても自動転送されない。これは
「誰かが...いや、何かがまだここにいて、洞窟の消失を防いでいる.....!!?」
「お...い.....勘弁してくれよ.....。」
ナイルが少し時差で遅れてるってことにしてくれ...そう切に願うが...現実はそう甘くないのである。
「あ...あ...あんた...は!!!!!」
レイが驚愕の表情で空中を見る。
ナイルも目線の先を見てみる。そこにいたのは
ピエロの仮面を被ったタキシードで人の姿の〝何か〟が浮いていた。
その〝何か〟は俺達を見据えてゆっくり口を開く。
「全く困りますねぇ〜...私の丹精込めて作った玩具を壊されてわぁ〜...。」
ピエロは口元を大きく歪ませこう言った。
「自己紹介が遅れましたねぇ〜?私はNo.5。魔王幹部の1人。バルハート=マルス。以後、お見知りおきを。」
「.....まぁ?ここで死ぬ貴方達には関係ない話でしたかねぇ〜!!」
ピエロの格好をした魔王幹部は大きく手を広げ高らかに笑うのだった。




