第3話 : 殺しの適性
「さて、まぁ最初に行くのは魔材換金所かな...。」
〝魔材換金所〟そこは魔物を狩って得た素材をそれ相応の値段で買い取って貰える所である。いわゆる戦闘職の稼ぎ場所である。
そしてその魔材換金所の近くには大きな酒店が建てられており戦闘職の溜まり場になっている場所だ。
そこには素材の相場や依頼されている魔物の種類、報酬がかかれた紙などが貼られてあり、ある程度腕がたってくるとそう言う依頼をこなしていくのが戦闘職の基本だ。しかし報酬が高ければ高いほど難易度も高い。常に命の危機は隣り合わせである。
「んー、とりあえず王都の周りで狩った魔物の素材4年分あるからな...とりあえずは金に困らないだろうが...」
ナイルは大きな袋4個を肩に担ぎ歩く。しかし今困っているのはお金ではなくーー
「歩きで換金所のある街まで行くのか、1週間はかかるな...。」
そう。交通手段である。走って行くなら少し早くなるのだが両手には4つの大袋。しかもその中は魔物の皮やら爪や角でパンパンで想像以上に重いのだ。
「こりゃ参ったな。どっかに馬車的なの落ちてないかな…てか王都で盗んでくればよかった。」
ナイルはそうぶつくさ言いながら地道に進んでいく
「おい!そこの変な格好のあんちゃん!止まりなぁ!」
「.......は?」
突然出てきたのは両手に短刀、腰には皮を巻いた複数の男達だった。
「盗賊か...。」
〝盗賊〟
これも職の一つであり、人の集めた物を武力で奪うと言う輩である。言うなればハイエナである。
「その大きな荷物置いてきな!!ん〜?見た所剣士かぁ?魔法使いなら集団は逆効果だが剣士なら数で押せるぜぇ?死にたくなければ言う事を聞けぇ!」
「...?あぁ、腰の剣を見て勘違いしたのか.....ふむ.....暗殺職はほぼ世に出回らないから知らないんだな...」
「何、ブツブツ言ってんだ!!言う事聞けねぇなら行くぞ!!!!!」
短刀を振り回しこちらに盗賊がやってくる。
「ふむ...対人の初戦は盗賊か...申し分ないだろう。」
人に悪意を持ってスキルを使えば死ぬ。しかしこれは泥棒職や盗賊職、人々を襲う職には適応されず、その代わりに相手からのスキルも全て適応されないのである。(戦闘職の人に対しての攻撃のみで一般職の人に攻撃をしかけると死んでしまうのだが。)
.....簡潔に言うと盗賊等に攻撃しても罪にはならない。で、ある。
「行くぜぇ!!へへっ!!スモォーーク!!」
盗賊がスキルを発動すると辺り一面が煙で見えなくなる。ここで見失ってるうちに攻撃してくるのだろう。しかし。
「甘いな、俺が剣士なら少し戸惑っていたかもしれないが...。スキル。闇潜。」
ナイルがスキルを発動するとナイルの姿はみるみる消えていく。
「んんん...!?どこだ!!どこへ消えた!!」
すまないな盗賊諸君。相手が悪かった上に俺に有利なフィールドまで作ってくれて。
君たちは俺には勝てないよ?だって俺はさ...
「煙が晴れた!!.....ん?なんだ?この首の所にある糸は?」
その糸は襲ってきた盗賊の首全員に巻かれていた。
「ま、、、まさか!!!」
ほんと...相手が悪かったよねぇ...俺は剣士じゃあない
「暗殺者だよ。」
突然盗賊頭の影から出てきたナイルはドリルの様なもので糸を巻き取る。すると盗賊達の首に巻かれていた糸が締められーーー
「か...!!や、やめて...お願いしまm.....」
「ん〜、手応えはないなぁ。」
辺り一面は血の海。盗賊達の頭と体が分離した死体が5〜6散らばっている。
「魔物の餌になるかな.....ったく無駄な体力使っちまった」
そう言いながらナイルはまたゆっくりと進み出すのだった。今のナイルは〝殺す〟ということに抵抗はない。殺してしまった。そんな罪悪感よりも、生まれた頃から決まっていた人生。周りはそれが当たり前だと。自分達は君1人で守られるんだからいいではないか。そんな思いを抱かれている事への怒り、そんな思いを抱いている奴らへの憎みの方が上回っていた。




