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勇者一家の長男は暗殺者に職業転換したようで!?  作者: 黒嶺 夜
第2章〜地炎龍討伐〜
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第25話 : 魔法使い

ナイルとレイは地図を片手に目的地へと走る。

ぐぅーーーーー。

ナイルの腹が鳴り続ける


「...ちょ、何とかならないの?こっちまでお腹すきそうになるじゃない!」


「何か食べなきゃどうにかできないよ!?」


「私だって食べてないんだから。我慢しなさい。」


「朝ご飯しっかり食べてたよね!?俺なんか怒られて結局食べ損ねたんだけど!!!」


ナイルはお腹を抑えながらも走る。


そういえば、地図には西森の先の小屋って書いてあったな...また森か.......ん?

西森...?この国の西森って確か...!!!!


「ちょ、ちょちょレイ!ストップ!!」


「えっ?何??」


ナイルが一旦足を止める。


「西森...って言ったよな?そこって確か名前...」


「えーっと貪食の森だね!」



貪食の森


・色とりどりの木々で構成された森でそこに生えている花や草も全てがカラフルになっている。


・その森に生える木には果実がなっていてその果実は切る前から、いい匂いがする。

味もみずみずしく、そして甘く、しかもカロリーが少ない。という実である。


・しかしその実には恐ろしい程の〝中毒性〟がある。その効力は絶大で舐めただけでも、異常な程の食欲、次が食べたいという意欲に駆られる。

そのループにハマるとそう簡単にはこの実を食べるのをやめれない。



「.......。」


ナイルがまだ分かってないようなレイを見て一言。


「俺、その森を正気保ったまま抜けれる自信ないよ。」


ぐぅーーーーーーー。

再度お腹が鳴る


「あー、なるほど...。ま、何とかなるんじゃない?」


「なんないよ!?ちょ、何言ってんの!?」


「まぁ行ってみないと分からないし!急がないと時間ないよ!」


「え、ちょ。いや、その森に入った時点でもう遅いんだって!レ、レイさん!?その手をはなし、離して!!ねぇ!いやぁあぁぁぁあーーー!」


レイはナイルの手を握ったまま貪食の森の前まで走り出した



⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅



「ふー!ついたわ!」


「おー(ぐー)そうか...(ぐー)そりゃよ(ぐーーーー)」


ナイルのお腹は鳴り続ける。

精神的にもかなり疲労していた。


まぁレイは分かっているのだろう。俺がこの森に今、入ればどうなるか...とか。だから俺はここでとりあえず待たせてもらう。魔法使いさんと一緒に来たら盛大に出迎えてやろう。


「んじゃあレイ...。後はたのn」


「さー!サクッと抜けていこう!さ!ナイル行くよ!」


と満面の笑みを浮かべた悪魔.....

否。魔王の娘はそう言うのだった。



⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅



色とりどりの木々、誘惑する匂い、大きくそして美味しそうか実。そして...


「くぅ...あ...(ぐー)。目隠しはいいけ(ぐー)鼻栓とか(ぐーーー)し(ぐーー)...。」


「うるさい!我慢しなさい!ナイルの肩くんで歩くの重いし大変なんだからね!」


「う...それは申し訳な(ぐー)」


視界は真っ暗で美味しそうな実は見えず、まだ食べたいとは思わないが匂いが凄い。

果実のくせに食欲を暴発させるこの香りは視界を遮られている故に効力を増している。

正直辛すぎる。歩きにくいし匂いが誘惑し始め気を抜いたらヨダレが垂れそうである。

もう辛すぎる。ただ歩くだけなのに。

.........が。辛いことだけではない何故ならーー


「ちょっと!しっかり歩いてよ!肩重たいんだって!」


「...ん。あぁ悪い悪い(ぐぅー)」


レイに右肩を組んで貰っている。

ブラリと垂れた俺の右腕。

その先についている俺の手。

そしてその手の当たる場所にーーーー


おほん。あー、ちょいちょい手に当たっている。

何が...とは言わないが...こう...柔らかいものが...。うむ。こっちに集中してるせいで食欲に打ち勝てそうだ。これはいける。

.....いけるか?もう少し当たってもバレないか?幸いレイは歩くのに集中している。大丈夫そうか?少しなら.....いや。けして何に当たるとかは言わないのだが、ごほんごほん

意を決して少し強めにーーーー


「.....んっ。」


あっ。これは...。


レイが変な声を出す、止まる足。

訪れる静寂。


やっちまった。ちょい力強すぎたこれはまずi


「.....ナイル君.....?」


目隠しされていて顔は見えない。

しかし柔らかい声。

...とは裏腹に腕が凄い力で握られている痛い痛い痛い痛い


「えー...っとですね。不可抗力と言いますか。」


「...そ?不可抗力...ね?ふーん。」


そしてゆっくりと顔に手が近づいてくる感覚。ビンタか?ビンタなのか?

が突如俺を襲ったのは眩しい光と色とりどりの景色ーーーーーあ。


「さ?行こうか。ナ、イ、ル♪」


目隠しを外された。

突如視界に広がる色とりどりの木々と

食欲をそそる果実、香り、そして限界まで耐えた腹がここぞとばかりに鳴り続ける。


「あっあっ。レイさんすいませんちょ(ぐぅーー)お願いします(ぐぅぅー)めか、目隠しを(ぐぅぅぅ)」


「何言ってるの?早く行くよ?早く歩いて?」


レイは笑顔だ。が目隠しをしてなかったからわからなかったが、今はわかる。確実に怒っている。

なんかもう変なオーラでてる。アホな事をした...。森を抜けたら謝るか。

ナイルは出来るだけ目をつぶって下を向いて歩くのだった。

一方レイはというとーーー


「もう...。ナイルの変態...。いや...でももしかしたらわざとじゃないかも。もしかして私結構酷いことしてるのかなこれ...」


こっちはこっちで落ち込んでいた。



⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅



「ナ、ナイル!もうすぐよ!ほら!外が見える!」


どう接していいか分からず少し戸惑いながら後ろを歩くナイルに声をかける


「おっ...おひゅっ...ぉぇ(ぐーー)」


怒られていた事などそれどころではないナイルは口いっぱいのヨダレを時々吐きながら歩く。


「あと...すこs」


ポトッ。


変な音がした?それを何も警戒せず、気を抜いて少し目を開くと

ーーー実が落ちてくる。

食欲をそそる匂いが一気に鼻腔を突き抜ける。


「あ...あぁ.....!!!??」


ナイルのヨダレが止まらない。自然と手が伸びる。


「!!!ナイル!!待って!!!」


レイは急いで制しを促す.....が。

ナイルの手は実に届く。ナイルはおもむろにそれを掴み、口に運bーーーー


「ショット!!」


パンッ!!!


ナイルの手の中の実がレイの銃弾によって弾け飛ぶ


「ぷっ!?へぶっ!?」


砕け散った実が、果実の破片がナイルの口に入り込む


「.....あっ。」


レイはやってしまったと後悔するがもう遅い。


ーーーゴクン。

ナイルは果実の破片を何の抵抗もなく飲み込む


「ナイル!!急いで吐き出して!!!


「...えっ。あぁ.....!!」


しかし気付いた時にはもう時、既に遅し。

レイが急いで吐き出さそうとする前にーー


「ううっへへ!!うめぇ!!こんなうめぇの食わなかったのか!しかもこんなにある!ちょっとなら大丈夫だろ!」


急に気分が上がるナイル。次の実を目で捕捉する。


「だめ!ダメだってナイル!!!」


しかしレイの声は届かない。ナイルは次々に実を手にとり食べて行く。


「うっめぇ!うめぇ!」


「ナイル!!まって!!」


レイが必死に止めようとするがナイルは走りながら食べ続ける

実をもぎ取る手は止まらない。口にポンポン放り込んでいく。

次第にこの実特有の症状。変な模様が顔に浮かんでくる。この実を食べ続けると出てくる症状で次第には全身をこの模様が覆う。完全に覆ってしまうともう元には戻らない。


「お願い...ナイル...やめて!!!」


レイの叫びは届かない。

ナイルにはもう声が届かない。このままこの実に負けてしまuーーーーーー


「やれやれ...。騒がしい奴らなのだ。」


どこかで覚えのある語尾。しかし聞いたことのない凛としていて澄んでいる声。

レイが後ろを振り返るといつの間にかいた〝先にクリスタルのような物がついた杖を持った少女〟が一言。


「マポリープ!」


刹那、杖の先が光ったかと思うと紫色の煙のような玉がナイルをめがけて飛んでいく。

それは見事にナイルに直撃する。そこまでの威力はなさそうに見える攻撃にナイルは地面に倒れ込む。


「っ!!!ナイルっ!!!」


レイが慌てて駆け寄る。


「ナイル!!大丈夫!!?ナイル!!?」


「.....くかーーー...。スピーーー。」


「寝て.....る?」


「睡眠魔法マポリープ。ほれ、それをさっさと運ぶのだ。我は重たいものはもてんのだ。」


杖を持った少女は後ろにある家に向かって歩き出す。


「魔法...って!!!もしかしてあの依頼書の...!!...って女の子だったの!?」


「何をゴチャゴチャ言っておるのだ。早く我が根城に入らんとその小僧は死ぬのだよ。」


重大な事をサラッと〝魔法使い〟は言うのだった。

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