第24話 : 応戦者
「1週間か.....それは参ったな...。」
「私、急いで依頼書貼ってくるわ!」
「ふーーむ.....。」
3人は避難する人々とは別の意味で焦っていた。
誰かあてがあるのならいいのだがナイルとレイにはあてがない。(あるのはザッツ位だがあれは無理だろう)...誰か...どうにかして強い人を集めなければ...!
「兄さん!」
今まで考えているような素振りをしていたクルスが話しかける。
「勇者関連で、あてがありそうだ。しかもみんな強い。その人達に協力してもらうよ。」
「おぉ!それは助かる!!」
「確か.....剣士と.....銃使いと.....回復者...だったかな...?」
「それでもう行けるんじゃないのか?しかも全員勇者関連の人なんだろ?」
「うーん。それもそうなんだけど1つだけ問題が.....」
「問題...?攻撃、防御、回復共に問題無さそうなメンバーだが.....」
「魔法使いがいないんだ。」
ーー魔法使い
・生まれた頃から膨大な魔力を有する者しかなれない職業。
・職に就いた時に得意属性が決まっており属性は火、氷、地の3種類の中から選ばれる。
・魔法使いになれたとしてもスキル取得が難しすぎる上にレベルも高くないと覚えれない。
・幻と言われるほど珍しい職だがそれを出して、なお、スキルを使える魔法使いは世界でも数えれる程である。
「...ってやつか。」
「そう...でも、もし見つけれたら地炎龍討伐には凄く向いているんだ。アイツは強固な鎧のような鱗をしているけど魔法耐性がそこまでない。物理ダメージに耐性を付けすぎているからね。だからーー」
「魔法で削って鱗剥がして斬りかかる...って事か」
「そう!兄さんも魔法撃てるけど正直、聖光の魔法は範囲攻撃すぎて単体にはあんまりだし、魔法使いなら魔法特化だからね。威力がケタ違いなんだ。」
「.....でも、無理じゃね?」
無理。そう。ほぼ不可能に近い希望だった。
ただでさえ魔法使いは少なく、幻と言われているのにスキルの使える魔法使いを探し、なおかつ地炎龍討伐に手伝ってくれるーーーなんてほぼ夢物語である。
「だからダメ元でも魔法使いを探すのを頭に入れておいてくれないかな」
「んー、おう!わかった!」
「依頼書貼り終えてきたよー!」
レイが走ってくる
「じゃあ、兄さん、レイン。僕はあてのある人達の所に頼み込んでくるよ」
「おう!任せた!こっちも頑張るからな!」
「じゃあ、1週間後。またここで!」
ナイルとレイペアとクルスはそう言って別れたのだった。
「取り敢えず.....あてが無いからな聞き込みして腕の立ちそうな人をスカウトしにいくか」
「そうね!まずは酒場で聞き込みしましょ!」
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「あぁーーん!?つぇえ奴だぁ?」
「なんでお前ら昼から酔ってんだよ。」
「ぐわぁっはっはぁ!小僧!言うようになったぁ!!」
2人は酒場にて。ナイルは酒を飲んでいるオッサン系担当。レイは普通に食事している人担当で聞き込みをしていた
「ぉいおいおぃ!レインちゃんは?あの娘はいねぇのか?」
「あっちのフロアにいるよ。酔っぱらい以外担当だ。それより強い人にあてはあるか?」
「おいおいー!なんだよつれねぇなあ!!.....あーん?強いひとぉーー?んなもん俺様さぁ!!ぐぅわぁっはっはっ!」
「レベル見させてもらうぞ。えーっと...?レベル54.....」
「わ、わかったわかった!!冗談だよ!!全く...これだから若造は.....んー...っとなぁ...あー!レベル86位の弓者知ってっっぞ!」
「86か.....それが知り合いの最高か?すまん今回の討伐は最低値が90なんだ。」
「90...!?そりゃいったい何を狩るんでい?」
「地炎龍だよ」
「あぁ?.....やめやめ!そんなのに行ける知り合いなんて知らねぇよ!他を当たれ!まぁ他も知ってるとは思えんがな。」
.....と。さっきからこの調子でもう既に半分の人には聞いている。そしてある程度口伝いで届いているようで聞く前から知らないと言われたりもする。それもそうだろう。レベル90の時点でかなり高いのにその上に勝てるかわからない地炎龍の討伐...。条件がかなり厳しかった。
「この酒場には聞ける人いなさそうだな...」
「そこのお兄さん...?」
「??はい?何ですか?」
「私.....90レベル越えて地炎龍討伐に行ってくれる剣士を知っていますよ...?」
「っ!!!本当ですか!!誰ですか!!?」
「聞きたかったらまずこの箱に10万Gをi...」
「あ。やっぱり遠慮します。」
「.....チッ。」
「舌打ち!?いま舌打ちしたかアンタ!?」
...とまぁこんな輩にも絡まれる始末であった。
「こりゃ無理そうだな...。取り敢えずレイと合理してべつの場所で聞きこもう。どこか適当な洞窟の入口で待ち伏せときゃそれなりの人に会えるだろうし...!」
ナイルは取り敢えず酒場のフロアを後にし、レイのいるフロアへと向かう。フロアの近くまで行くとレイと誰か別の人が話している声が聞こえてくる。どうやら3人と話しているようだ
「おー!マジマジ!知ってるよ!俺ら!」
「知ってる知ってる!90レベしょ?友達にいるよ!」
「てかもう連絡したらすぐ会えちゃう!マブダチだしぃ?」
「ほ!ホントですか!?それは是非呼んで貰えませんか?!」
「おkおk!じゃさ!取り敢えず飯いこ!」
「.....ご飯?な、何でですか?」
「なんでって!そりゃ呼ぶまで時間かかるしぃ?まぁあれだよ!教える為の報酬っていうか?」
「そうそう!報酬報酬!だからついてきてもらわなきゃ!」
「わ、私が奢るんですか?そ、そんなお金は...」
「ちーがうちがう!俺らが払うの!レインちゃんは一緒に居てくれるだけでいいの!」
「そ、そうなんですか...?で、でもそれで教えてくれるなら...。」
「よーし!決まりかなぁ?じゃあ!ついてきてねー!(ひとけのぉ...ない所まぁ〜でぇ〜!)」
男がニヤリと笑い、レイの手を掴もうとするーー
「.......おい。話は終わったか?」
「どっわぁ!?なんだお前!」
聞くに耐えなかったナイルが間に割って入る。
「な、なんだよお前!俺らは今からこの娘と食事に行くんだよ!」
「おめぇは1歩遅かったんだよ!」
「おら!そこどけよ!」
「.............あ?」
ナイルは不機嫌になる。あまり...いやかなりこういう輩は好きではない。それも手を出そうとしているのがレイである。腹が立たないわけがない。
「な、なんだよ!お前には関係ないだろ!やるのか!」
と、いいつつも3人組は少し下がる。
そこまで高いと言うわけではないが人並みに身長はあるし、今のナイルの格好は黒いフード付きローブに赤の刺繍が入っていて見た目的には色んな意味で怖い。
「んだよ!お前!変な格好し、しやがって!」
「どうせカスだろ!俺らはレベル61だぞ!」
へー、意外と高い。見かけにはよらないというか...。まぁホントかどうかは置いておくが。
「お前はレベル幾つなんだよ!まぁ勝手に見るけどな!」
「.....ひゃっ.....106!!!!?」
「うぇっ!なんだよお前!!」
「なんだよって、なんなんだよ。」
ナイルのレベルはしっかり上がっていた。
魔樹討伐に加え、自分の力の開放、制御したのががベースとなっている。
レベルにビビって3人組が引くべきか悩んでいる所に
「ナイル!みて!私、討伐にあてのある人見つけたの!!」
とレイが嬉しそうに手を組んでこっちに引っ張ろうとしてくる。わーお。これはナイスタイミング。意図的だとかなり性悪だがレイはこういう所には天然である。
「...っ!っ!何なんだよお前ら!グルだったのかよ!」
「きたねぇ野郎だ!」
「ば、ばーか!ばーか!」
と、3人組は捨て台詞を吐いて逃げる。
あてなどなく、適当に食事して酔わせてどうこうしようとする輩とどっちが汚いのやら。
「えっ!?えぇ!!?ちょ!!あては!?レベル90のマブダチさんは!?」
「レイ...あれは嘘だよ。1人で行かせたの間違いだったな。あぶなかった。」
「えっ!えぇ!嘘なの!?.......嘘なの.....。」
レイがなんかショック受けているが取り敢えずスルーで。まずは洞窟周辺での聞き込みからしていかないと...。
2人は酒場を後にしたのだった。
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吹き荒れる風。唸る木々。まだ昼間だというのに薄暗く、どこか寒気がするような場所に地下へと続く洞窟。ここ周辺でナイルとレイが撃破した所を除くと最高難易度の洞窟なのだがーーーー
「誰もいねぇ。誰もこねぇ。」
「ナイル...私なんか寒くなってきたしここにいるの怖いんだけど。」
ーーー聞き込み所か人がいなかった。
魔物がいれば暇潰しに狩るのだがここは立地が悪くわざわざ住む魔物などいない。どうせ住むならそこの洞窟に入ってしまう。
「ここをやめて別の洞窟に...って言ってもレベル低いから期待は全然出来ねぇな...。」
「.....えっ。って事は...。」
完全に手詰まりである。
ナイルもレイもあてがなくてダメ。酒場の人達もダメ。レベルの高い洞窟周辺もダメ。
.......やっぱり手詰まりだった。
「これは.....ま、まぁ!今日1日目がな!ダメなだけで!明日からはもう少し遠出して探そう!」
「そ、そだね!まだあと6日もあるし!!と、取り敢えず酒場に戻ろっか!」
「お、おう!そうだな.....!!」
「「.........はぁ。」」
かなりキツそうな人探しになる事を2人はここで実感し、気分を落としながら酒場に戻るのだった。
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「あーー、人探し全然だめだったなぁーー!あ!すいませーん!魔花蜂の唐揚げ1人前ー!」
「ねー。意外と辛そう...って蜂ぃ!?虫なの!?虫食べるの!?」
「...えっ?でもレイ...クルスの家でもっとひどいの.....」
「!!!うっそ!!どんなの.....いや、いい!言わなくていい!.....もっとひどいの.....ひどいの.....!?」
2人は一旦お昼ご飯を取ることにしていた。
朝からずっと動きっぱなしだったのでお腹は空いている。
「うへー、蜂かぁ...でも魔花蜂って花を食べるから身はアッサリで美味しいって聞くし.......。.......あっ!!!!」
突然レイが思い出したかのように立つ。
「うぉっ!どしたんだ?」
「そう言えば依頼書貼ってたから取り敢えず誰か立候補いないかみてくるね?」
「あーー。わかった、多分いないだろ?」
「わかんないよ!じゃあ行ってくる!」
と言うとレイは別フロアの依頼書を貼る場所に走っていった。
「一応虫以外も頼んでおくか.....。」
ナイルは取り敢えず月華草のサラダも頼んでおいた。
ーーー数分後ーーー
「ナイル!ナイルーー!」
「おー?どしたー?あ!一応サラダ頼んでおいたよ!後、唐揚げ意外と美味しい!いけるよこれ!」
「そんなのどうでもいいから!!!来て!!」
「そ、どっ、どうでも...えっ?り、料理は...?」
「後で戻ればいいでしょ!いいから!早く!!」
ナイルは運ばれてきた料理を後にしてレイについていくのだった。
連れていかれたのは依頼書を貼る部屋。
レイは自分が貼った場所の前に立っている。
「これ...!みて!」
「...?何?」
ナイルが地炎龍討伐の依頼書を見る。そこの応戦者の場所に書いてあったのはーー
【我。職業は魔法使い。上記の条件は全て満たしておるのだ。地炎龍に因縁があるのだ。スキルも使える。是非同行させてもらいたいのだ。】
「...なんか1人称と語尾にクセのあるヤツだな。」
「そこじゃないでしょ!??みてよ!最初!職業!!!」
「職業.......おぉ!!?魔法使い!!?マジか!」
この依頼書には嘘や冗談、イタズラなどをするは酷く罰せられる。故に〝魔法使い〟と書いてあるのは、かなり信憑性がある。
「ね!凄いよね!取り敢えず早く会いに行こう!えーっと場所はであ、地図が貼ってある!西森のはずれにある小屋。うん!そんな遠くない!行こ!ナイル!」
「えっ、あの、唐揚げとサラダは...」
「今それどころじゃないでしょ!!」
「えっ!!結局食べないのか.....」
ナイルは鳴るお腹を抑えながら幻の職、魔法使いのいると思われる場所へと走り出すのだった。




