第23話 : 酔いどレイン
体が...上下に揺れている...
一定のリズムを刻んで.......これは歩くペースか...
でも...俺は気絶したような.....
「ん.....んん?」
「おっ、起きたの?兄さん!家はもうすぐだよ」
ナイルはクルスにおんぶされていた
「わ、ちょ、ありがとありがと!お、下ろしてくれ」
さすがのナイルも弟におぶられて帰るのは恥ずかしいものがある。クルスの家には今、レイがいる訳だし。
「そんな事言ったってあんなに激しく戦った後だし.......あぁー、そういう事ね?」
クルスが何か察したようにニヤニヤと笑う
「なんだよ...。」
「なーんでもない!じゃあ後は歩いてね」
ナイルはおろされる。まぁ言われなくても無理矢理おりるつもりだったのだが
.....そう言えば今回の訓練は思い返せばかなり自分の身のためになったのではなかろうか。
回避能力、影属性の強化、そしてなんと言っても自我を保ったまま2種職を発動出来たこと。(まぁ、まだやり方はイマイチ分かってないのだが)
そしてクルスも何気に成長.......
「あっ!!お前!!クルス!!」
「なっ、何!?びっくりするよ」
「.....お前.....グングニル出せてたよな...完全体か.....?」
〝滅槍グングニル〟
全てを貫く槍といわれ、〝宝剣エクスカリバー〟と勇者職での同位の武器である。
クルスはそれを兄への思いによって気持ちが入り、魔力でも具現化に成功した。
「うん!そうだよ!あの後、兄さんが気絶している時だしてみたりしたけど、威力が高すぎる上に消費魔力が半端じゃない。正直、常に装備...って感じじゃないっぽいね」
なんて解説している。
もう自由に出せている。
俺は...俺は.....
「まだ...出せてないのに...」
「.....??兄さん何か言った?」
「何でもない!!!おら!帰るぞ!」
「えぇ!?なんで怒ってるのさ!?」
弟に先を越された。俺を慕っている立場の奴に。負けてらんねぇ...!ナイルはそう心に決めるのだった
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「たっだいまーー!」「おじゃましまーす」
「もー、兄さん。別に〝ただいま〟でいいって」
「それは断る。ここを自分が帰る所と決めてしまったら地炎龍の討伐のモチベがなくなりそうだからな」
「変な意地はって...もう...」
「い、意地じゃない!.....てかレイは?」
家はシンと静まり返っている。そこに何かいるような気配はしない。
寝ている...?のか?
「兄さん...!あの女の靴が無いよ!」
「レインな!そろそろそう、呼んでやれよ。.....って靴がない!?」
俺とクルスがいない間に...!どこに!まさか!また魔王幹部共に何かを.....!!
「.....っ!!!!」
「兄さん!!!」
ナイルが家を飛び出る。クルスもそれを追う。
森の中を走るがどこにいるか検討もつかない
「くっそ.....!どこだ...!!!」
「.....!!!兄さん!!あれ!!」
森の中。遠くの方の1部だけ何故か木がない。
この森で木がない広場のような所はさっき2人が訓練していた所のみ。という事はあんな所に元々木がない範囲は存在しない。
「怪しいな...!!覚悟していくぞ!!」
ナイルはそこめがけて走り出す。一刻も早く。レイを見つけなければ
そしてその木のない範囲に辿り着く
「レイ!!...っレイ!!」
あたりを見回す。そこには誰もみあたrーー
「.....ん〜.....?あぁ!ナイル!クルスさん!訓練終わったの?」
いた。そこには全身土まみれ枝、葉まみれのレイがいた。
「!!だいじょ.......え.....?」
しかしレイは襲われたような感じではない。
ナイルは辺りを見渡す。
薙ぎ倒された木々はよく見ると丸い跡が複数もついている。広場のようになっている所を中心に周りの木々全てにそんな跡がついている。地面にも何か落ちている。
「跳躍弾.....?レイ...お前まさか...。」
そう。レイはこの範囲の木々を全て跳躍弾で倒していた。
〝当たればアザができる程度の威力の弾〟で。
1本倒すのにどれだけの時間、どれだけの弾を撃ち込まなければならないか。それをここの範囲...全てを...。それは想像が出来ないくらい過酷なものだろう。しかも.....多分ーーー
「いやー、跳ね返った弾を全部避けていくの...本当大変だけどかなり回避性能が上がるね...!さすがクルスさんの訓練内容です!」
ーーやっぱり。こんなに撃ち込んだだけではなく、それを全て避ける訓練をしていた。その練習量は3人の中でも1番多いかもしれない。
「いやー...2人が頑張ってるのに私だけ...ってのもね...?こんな事しかできないけどナイルの足を引っ張りたくないし!」
それを聞いていたクルスがボソリと呟く
「...兄さんの見る目に間違えはなかった...か。ただ兄さんにくっつくだけじゃないみたいだな...。」
「.....?クルスさん?何か.....?」
「何でもない。ほら、はやく帰るぞ。」
クルスは回復薬を投げる。
「あと、出ていくなら置き手紙位しろ。兄さんが心配するだろう。それと、足を引っ張られたくないのは俺もだ。今回の地炎龍討伐には僕も参戦する事にしたからな。...僕はまだ〝レイン〟の事を認めた訳じゃないからな。」
「...名前を.....!!!はい!頑張ります!」
レイは回復薬を飲み干しクルスに笑顔でお礼を言っている。クルスも嫌そうに振舞っているがまんざらでもなさそうだ。
「.......あれ.......えっ.....。えっ?」
ナイルは何故か不安と焦りに襲われていたーー
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
クルス家につき、各々お風呂や休眠をする。
訓練はハードだった。3人はしっかりと休憩をとった。
「晩御飯できたよー」
と、クルスがキッチンから呼ぶ。
食卓に並べられた料理はどれもプロ顔負けの見た目、味だった。
「うっめ!!この蟹蜘蛛ってこんなにうまいのか!!見た目によらねぇな!」
「うんうん!おいs.....えぇ!?これ蜘蛛なの!?えぇ!?あの気持ち悪いヤツ!!?嘘でしょ!!!?」
「そうだよ?あぁ、剥いた殻あるけどみr」
「いいよ!?絶対見せないで!!てか他の料理もどの魔物が言わなくていいからね!!?」
そんな他愛もない会話をしながら今日も1日過ぎていこうとしていたーーーーー
食事を終え、各部屋に戻り、明日街にいく準備をし、寝る。ということになり各々戻る。
ナイルは自分の割り振られた部屋で荷物をまとめる。考え事をしながら。
クルスはグングニルを具現化出来ている。
レイは多分俺以上に回避が向上している。
それに比べ俺は.....特性が使えるようになっただけ.....。1番進展していないかもしれない。
「もっと...訓練頑張らなきゃな。」
ナイルはそう呟くと整理を終え、ベットにはいrーー
コンコン
ドアが叩かれる。誰だ?こんな夜中に。もうとっくに深夜といえる時間である。
「んー?クルスかー?」
ナイルがドアを開けるとーー
「ぁーい!クルスれす〜!!」
「...っ!うぉ!!レイ!?」
そこにはレイがいた。
が、しかし服は寝る時用のパジャマなのだろうかちゃんと着れてない。首を通す穴が腰にきている。下着がおもむろに出ている。ズボンはーーーーあ、ちゃんと履いてる。
「な!!?なにしてるんだよ!ちゃんと服着ろよ!」
「ぁーぇ?服ぅ〜?まぁーまぁ!暑いしよくなぁ〜い?」
「いいわけ.....あるか!!」
色んな意味で良くないのはナイルだけなのだが
「.....ってレイ...お前顔赤くね...?.........まさか!」
そういえば晩御飯の時にクルスが景気づけにってワイン渡してたけど確かレイは...お酒に弱いからって断って...でももうグラスに継いだ後だったから一応食卓には並んでて...それをレイがーーーーー.....あぁ。飲んでたわ。そう言えばなんか自然に飲んでたわ。食べたらすぐ解散したからレイが飲んだ事、分からなかったんだな...。
「...んで?何の用なの?酔っぱらいさん?」
「ぇれ〜?私酔ってないぉー?」
「それを酔ってないと言えるのはおかしいからな。」
「うぇっへへ〜...今日はねぇー、お話があってぇ...きたんれす〜!」
「話.....?んんっ?」
するとレイが部屋に入り、正座する。
何故かナイルも向かい合って正座する。
「私...今日、しっかり思ったんだけどぉ...。私は本当は軽蔑されたりぃ...嫌われたりする立場なのに...命をかえりみず助けてくれたりぃ...しかもぉその後私の居場所まで作ってくれた...。おかげで...街の人たちにも認められた...。」
「それは...それはレイの気持ちの入った言葉があったからーー」
「ううん...。ナイルのお陰だよぉ...。それに今日だって必死に頑張ってる...そんなナイルがいたから...私も頑張ろうって思ったんだょぉ」
なんて面と向かってレイが笑いながら言ってくる。俺も...酔ってないけど顔が赤くなりそうだ.....。
「だからねぇ...?私がいいたかったのわぁ」
レイがおもむろに両手をあげる。
「ありがとぉ〜〜だよぉ〜〜っ」
レイがナイルに抱きつく。上半身は下着なので感触がかなり鮮明にくる。
「わ...ちょっ!!」
ナイルは突然に抱きつかれたからバランスが取れない。後ろに倒れる。
「ちょっと...!レイ!どいてっ...て!」
しかしレイはそのまま寝てしまっている。
あんなに訓練をしたんだ。疲れているのだろう。
「やべ.....俺も睡魔が...」
ナイルも限界であった。睡魔が容赦なく襲う。お腹の上は人肌であったかいーー気持ちいiーーー
ーーナイルは眠りに落ちていくーー。
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「兄さんとレインはまだ起きてないのか...?もう朝ご飯出来たんだけどな...。」
朝、クルスが朝ご飯を作って2人を待っていたのだが一向に降りてこない。
「起こしに行くか...」
クルスはそう言ってナイルの部屋に行く。
ーーコンコン
「...兄さん?朝だよー。開けるからねー」
ガチャリ
クルスがナイルの部屋を開ける。ベットには誰もいない。ふと床を見てみるとーー
ナイルの上に被さって寝ているレイ。
しかもレイは上半身下着である。
「.......兄さん.....レイン.......。」
「.....??おぉ...?クルスか.....おはy.....ってあぁ!?!違うんだ!これは!!昨日レイが...!!」
「...言い訳不要!!!人の家で何やってるんだぁ!!!!!」
「ち!違うんだってー!!!!!」
ーー朝からナイルはクルスに怒鳴られていた。
レイはと言うと...ナイルとクルスが部屋に何故かいて、ナイルが怒られている状況をみて
「ほぇ...?」
なんて呑気に言っていたのだったーーー。
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「あー、もう!朝から怒られたじゃないか!」
「いやー、ごめん...!お酒に飲んだつもり無かったんだけどなぁ」
「いや、僕もイキナリ変な事をしたんだと勘違いしちゃったのも悪いし...ごめん」
なんて話をしながら3人は街に向かっていた。
ここ数日で狩った魔物の素材を売るのと地炎龍討伐の依頼紙に応戦者クルスの生を入れるためだ。
3人は街につき、酒場へ向かおうとするが何やら慌ただしい。何かあったのか?
「おぉ!!あんちゃん!!ここにいたのか!!」
声を掛けてきたのはいつもの剣士のおっちゃんだ。
「どうしたんだ?」
「それが!地炎龍が動き始めたって言うんだよぉ!!じゃから被害が出る前に皆避難って事になって...しかも国も依頼主も被害が出てからじゃ遅いから被害が出る前に討伐しないと報酬は弾ませないって言うんだよぉ!...まぁ報酬弾ませる気があったのかは知らんがな...。」
「...えっ!えっ、つまり...もう行けと!?」
「大体リミットは1週間位じゃ!それまでに人を集めて討伐に向かわんといかん!」
「.....うそ.....だろ.....!!??」
3人は想像以上に早く地炎龍に対峙しなければいけなくなったのだった。




