第20話 : ザッツの小屋
「その...色々とごめん。んで、ありがとう」
「...それ何回目?わかったから!早く行くよ?」
レイが聞き飽きたように返す
2人は報酬の装備を貰いに少年(お爺さん)の家に向かっていた。
「いや、あんな事言われなきゃ決心つかなかったよ。本当に助かった。」
ナイルはしつこくも、言う
それもそうだ。あそこでもしレイが折れていたら、自分を助けてくれなかったらパーティは解散され、一人で行動をとることになるだろう。
激しい虚無感に襲われるだろうし、もし意識を失いでもしたら魔王殲滅コマンドが発動し、死ぬまで無意識に戦い続ける機械になりかねない。
そんな重大なミスを犯そうとしていた所をレイは自分をかえりみず、助け、手を差し伸べてくれたのだ。
「ほんと...いいんだって。.....さ、最初に助けられたのは私の方なんだし.....」
「ん?レイ?最後なんか言った...?」
「な!何でもない!!まぁ別に気にしなくてい言ってこと!」
ナイルはレイが最後らへん何か言ったのだがよく聞き取れなかった
「まぁ、キツイのは今からだしね...」
「...う...そうだな.....。」
そう。ナイルは報酬の装備を貰いに行って、帰ってきたら魔王殲滅コマンドを克服、制御する訓練をしなければならない。クルスが教えてくれるようなのだがクルスは勇者職を無理やり押し付けられた上に今回の件で死にそうになっている。
「.....怒ってたよな.....絶対訓練キツイぞ...。」
「自業自得だよバカナイル.......。」
しかしどうせレイも付き合わなければならないと思う。どうせパーティなんだから連携もうんぬん〜〜とか言ってやらされるんだろう。
「「.....はぁ.....。」」
2人は肩を落としながらトボトボと目的地に歩いていくのだった。
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
2人は縫い職のプロであり、今回の依頼人の
スーベルト=ザッツの家に到着していた。
コンコンコン
ナイルは優しくドアを叩く
コンコンコンコン
「.....あれ?反応がない.....?」
ドンドン
「ザッツさーん!ナイルです!」
ドンドンドン
「ザッツさん!?いるんですか!?」
反応がない。これは本当によくない状況かもしれない。ザッツは会ったときは魔樹に時間を固定されており、少年の姿だが60歳と言う状態になっていた。しかし、魔樹を倒した今、時間は元に戻され時間を固定されていた人は急に元に戻らされる。すなわち、少年からいきなりお爺さんにされたのだ。体の負担は想像以上の物かもしれない。
ドンドンドンドン!!!
「ザッツさん!?ザッツさん!?.....くっそ!レイ!これは急がないとマズイかもしれない!!同時に体当たりでドアを壊すぞ」
「...っ!!わかったわ!!!」
「いくぞ...!いっ!せーーのーーーーd」
「ぎゃあぁぁぇあぉおぁあぉぉぉぉっ!!!」
「「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!?」」
2人が体をドアに近づけた瞬間、ドアから出てきたのは気持ちの悪い叫び声の甲魔蟹(顔がエイリアンの様に怖いのが特徴)
「わっはっはっ!2回目もこの反応だと思わんかったわい!ワシもまだ捨てたもんじゃないのぉ!」
扉から出てきたお爺さんに戻ったザッツが仮面を外して挨拶しようとするーーーーが。
「きもいきもいきもいきもい!!キモこわい!!スキル!!デストロードショット!!!」
「えっ!!?ちょ!レインちゃん!!?前見て前!ワシ、魔物じゃないんだけど!?ちょ、え!?えぇぇえぇえ!!?とめて!とめて!止めてよそこ突っ立ってないで!!ナイルさーーーーーん!!!」
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「ご、ごめんなさい.......。」
「あっはっはっ...ゴフッ...ワシもイキナリですまんかったsゴホッゴホッ...。」
すっかりお爺さんになったザッツは2回目も驚かせようとしてまたレイにスキルを放たれていた。
デストロードショットはプロボクサー一撃分位のパンチを乱射出来るような威力でナイルは一応魔壁ははったのだが〝何故か〟お腹の部分の魔壁のみ穴が空いていた。
「その...ワシも今はこんなんじゃから...あんな攻撃喰らったらさすがに治るのに時間が.....」
ザッツはチラッとナイルの方を向く
「あっはっはっは。」
笑っているが目が笑っていない。本気で心配した分、裏切られたような気分だったのだ
「いや...ほんと驚かせてすいません...。」
ナイルは微妙に怒っていたーー。
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「とりあえず言わせてもらう。」
ザッツは2人の正面に向き合い、正座する
「ほんとうに...本当にありがとう。」
頭を下げる。額が床につくくらい。
「ワシは正直ダメだと思っておった。もうこのままだと思っておった。そこを救ってくれた恩は計り知れん。本当に...ありがとう。」
ザッツは深くお辞儀をする。目に涙を浮かべながら。
「いえ!俺達は依頼を受けたんですから当然の役目なんですよ。.....ま、まぁ今回魔樹ともう一つ無駄に面倒な案件があったみたいですけdゴニョゴニョ.....。」
「...??最後のはよく分からんが討伐に関しては本当にありがとう。体が急にみるみる戻り出した時は泣いたもんじゃよ.....。でも、体は戻ったのに3日もわしの所にこんから正直内心どうしようかと思っておった.....。まぁ!その代わりドアが叩かれた時のわしの嬉しさは凄かったがの!!」
ザッツは満面の笑みを送る
「ま。俺達も本気で心配したんですけどね。」
「ごめんなさい。」
しかし、まだナイルは怒っていた
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「...さぁ!お待ちかねの報酬の時間じゃ!」
「「おーー!」」
「今回はワシが今までの生涯で一番本気で作った装備じゃ。そして同時に最後の作品でもある。」
「...作るの...やめるのか?」
「やめる...と言うかやめざるをえんのじゃ。もう体が動かんからのわっはっはっ!」
「まずはナイルはこれじゃ!!!」
そう言われて渡されたのはベースが黒のフード付きローブ、しかし装飾が綺麗に施されており、デザインも少し変わっている。しかも想像以上に軽く、透かしてみると何やら大量の魔法陣が描かれていた。
「これはそこまでガラっと変えはせんかったわい。暗殺職じゃからの、それっぽくはせんといかんし。.....が、機能はガラっと変えさせてもらったぞ!今までのただの布とは違う。それは大量の魔法陣で〝影〟に対しての能力を底上げする魔法陣をうんと付けておいた。今まで以上に影スキルを使っての隠密や、もちろん武器に使う時の影スキルも大幅に上がるじゃろう!」
「お、おぉぉ!!これは凄い!!ザッツ!!ありがとう!!!」
「わっはっは!ワシが本気で編み込んだんじゃ!これ以上の影ローブはどこを探してもないぞ!!」
ザッツは自慢げに、そして嬉しそうに笑う
「よーし!次!レインちゃん!!」
「はいっ!」
レイは期待に胸を膨らませる
「レインちゃんにはこれじゃあーー!」
と、言って出してきたのは
ほぼスケスケの布に、指3本分位の幅の布が胸に巻くようになっていて、下はスカートなのだが真ん中だけ空いている見せパン状態の服だった。
「ワシの最高傑作じゃ!!」
「おぉ!!ザッツ!お前やるなぁ!!」
「わっはっはっ!ワシにかかればこんなもんよ!」
「...........。」
レイは無言でそれを受け取り
...ガチャ。
対魔銃に弾を装填し構える
「「わ!!?ちょ!!ま!!待って!!待って!!!!ま!!!あぁぁああぁあ!!!!」」
2人が静止を促すが止まらず、2人はプロボクサー級のパンチを喰らっていた
「.....ゴフッ.....。じょ、冗談です.....、これ、これです.....こっちが本物でsガフッ.....。」
ザッツはプルプルしながら装備を渡す。
ナイルは横で倒れている。(さすがにザッツに沢山喰らわすのはマズイと思いほぼ、自分から受けに行ったからなのだが。)
「へー...!凄くいい!」
相変わらず胸もとは開いているが、その他上に羽織るような物や、スカートに付いている大きめのベルト等とバランスが取れており、見た目としても可愛くとてもレイに合っている。と言った感じだ。
「スカートも少し長めにした上で動きやすいように縦に切っておる。避け重視のレインちゃんにはピッタリじゃろう!」
「.....ズボンっていう選択肢はなかったのね」
「無論。当たり前じゃ。」
ザッツは当たり前という態度をとる。
「しかもそれにも大量の魔法陣を施しておる!風の加護を付けた回避の底上げじゃ!!」
「へーーっ!!それは凄いわ!!」
レイが嬉しそう喜ぶ
「...う...ぐ...、れ、レイ、装備どんなんなんだ...?」
倒れていたナイルが起き上がり見る。
「.....おぉ...!!いいなぁ!!可愛いし!」
「か、かわっ!かわい.....そ、そう?」
「うんうん!超可愛い!!てか何でも似合いそうだけど!」
「えへへ...何でも...そうかな...」
2人の会話をジト目でザッツが見つめる。
ジト目で...ジト目...あれ、なんか水が溜まってきた。あれ、ワシ、そう言えばずっと少年の姿でしかもここにずっと篭ってたから.....あれ、女の子と話した事ってあったっけ.....あれ...あれ...??
「いやー!本当にありがとう!ザッツ!これで俺達は次のステッp.....ザッツ!!?何で泣いてるの!!?」
そこから何故か泣くザッツを慰めるのに必死になった2人の姿があったのだった。
⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅
「いやー!本当にありがとう!」
ナイルとレイは玄関でもお礼を言う。
「いいんじゃよ、ワシはそれ以上のものを貰っておる!その...また遊びに来てな...!」
「勿論だ!また来るよ!!」
ナイルとレイは扉を開ける。最後に手を振ってからザッツの小屋を後にするのだったーーーー
「いやー、いい装備が手に入ったな!」
「そうね!これで私達の問題は安泰ね!」
2人は嬉しそうにクルスの家へと戻る。
大事なことをすっかりと忘れて。
「たっだいまーー!クルスー!戻ったぞー!」
「ただいま戻りましたー!」
すると出てきたのは何やらびっちりと文字の書かれた紙をもったクルス。
「おかえり。兄さん。魔王の娘。報酬は貰ったようだね。じゃあ。始めようか。訓練を。」
「「.......あっ。」」
「安心して。軽く5時間程度やる位で〝準備運動〟は終わるから。」
「やっ.....その.....今日は...、つ、疲れたと言うか...なんと言うか.....」
ナイルが逃げようとするーーが。急にドアがしまる。
「逃がすわけないよ?さぁ。やろうか。二人とも...!」
「「.....い、い、い.....いやぁぁぁぁ!!」」
こうして2人の訓練が始まったのだった。




