第14話 : 装備
「とりあえず、地炎龍用の装備を整えよう。」
「そうね、とりあえず人を集めるより先に私達をなんとかしないと...。」
通常の魔物ならナイルとレイの装備では充分なのだが、相手が地炎龍となると、話は別である。まず地炎龍の最大の特徴として、長い尻尾や、強靭な爪や牙がありながら攻撃方法が〝魔法〟ということ。しかしその魔法は魔法を封じるスキル、アイテムは無意味、魔法無効の装備を着ていても全く無効化されない魔法である。故に魔法〝耐性〟の装備で挑まなければならないのである。
しかし、これは裏を返せば〝物理的な防御は気にしなくていい〟と言うことだ。
すなわち、強固な鎧を着てガチガチでいかなくていいと言うことだ。
「装備が軽くいられる。こればかりは助かるよな...」
「うん...。鎧とか職業に合わなすぎてだし」
そう、ナイルとレイは職業的に回避して攻撃を入れていくスタイルでそこまで防御力のステータスは上がっていない。故に鎧なんか着たら動けなくて攻撃を喰らい詰むのである。
「まぁ装備、レイはいいとして...」
ナイルが自分の装備を見る
「問題は俺なんだよなぁ。」
ナイルの職は暗殺職。就いた人が極端に少ない上に適性は普通には越えないレア職の一つである。(まぁ悪い方のレア何だけれども)
故に装備を作っても儲からないからどこの防具屋にも置いてないのだ。
「おかげさまでこの装備.....もうただの服みたいだし...。」
黒い、長袖のTシャツに黒い長ズボン
そして極めつけは赤い刺繍が施されている全身をしっかり覆うフード付きの黒いローブ。
見た目はもう完全に厨ニ病全開である。
「あんちゃん!装備で困ってるんだって?」
いつもの剣士のオジサンが声をかけてくる。
「そうなんだよーー!もうこの職の装備がなくてなくて...。」
「そんなあんちゃんに朗報だ!あんちゃんやレインちゃんみたいな装備を作る〝縫い職〟ってあるだろ?それの宛が見つかったんだよ!しかもかなり優秀な!」
「おぉ!!それはホントか!おっちゃんいつも助かるぜ!!」
「はっは!イイってことよ!!これ地図な!あ、あとお金払うだけじゃ作ってもらえないみたいだからそこら辺は何とかしろよ!」
「...??まぁ何かあるんだろうけど作ってもらうよ!いつかお礼するからな!」
「お礼が...じゃあ!レインちゃんにギューu...。」
ガチャリ
レイが無言で銃を構える
「ちょ!?ちょ!嘘だ!悪かった!んじゃいい装備作ってもらえよ!じゃ、じゃあな!!」
「.....あれがなければ凄い良い人なのになぁ。」
ナイルは遠ざかるオジサンをみてシミジミと感じたのであった。
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「ここ.....か!!」
数日後、ナイルとレイは地図通りに進みある森の中にある1軒の小屋の前に着いていた。
「ここの森って...あの有名な魔獣がいる森だよね...」
「おう...。よくこんな所住んでられるな...。」
「と、とりあえず入ってみましょ」
「こ、こんにちわーー!装備を作って欲しくて来たんですけどー!」
ナイルが戸を叩く。すると静かにドアが開く。
しかし開いたまま何も起こらない。
物音1つしない。真っ暗な闇が広がっているようだ。
2人は不審に思い扉を開けると.....
「んぁぁああぁぁあぁあぁあぁ!!!!」
「「ぎゃあぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!?」」
突如扉から出てきたのは魔物の顔。
「...あっはは!いい反応だ!すごいi.....え?」
扉から出てきた少年は魔物の仮面を外し挨拶をしようとするーーーーが。
「あわわわわ!魔物!魔物!!スキル!!クロスショット!!」
「えっ!!?ちょ!お嬢さん!!?前見て前!僕、魔物じゃないんだけど!?ちょ、え!?えぇぇえぇえ!!?とめて!とめて!止めてよそこのおにいさーーーーーん!!!」
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「「.....ごめんなさい。」」
「なっはは!イイよイイよ!久々のお客さんだったから驚かせようと思った僕が悪いし」
ナイルとレイはベッドに横たわって回復薬を飲んでいる少年に謝る
「いやー、まさかあんなに驚いてくれるとは!正直僕も嬉しい!ほんと久々だったよ」
少年は魔物、人狼魔の顔そっくりの仮面を手でクルクルしながら話す。
「.......ま、驚かせて死にかけたのは初めての経験だけどね...。」
「「その節はホントすいません」」
「いやいや!いいって!しかしナイル君...?だっけ?君の反応速度は凄いね!瞬時に防御魔法を展開し、しかも精密に銃弾が当たるところは層を重ねて...あの軌道の読めない乱射に対応出来るのは相当な腕だね!」
「褒めてくれるのは嬉しいけどそれを全て見抜くあたり君も強いね。」
「いやー?そんな事ないよ?もとより僕は縫い職だからね♪」
「あ、そうそう、自己紹介が遅れたね!僕はスーベルト=ザッツ。ザッツと気軽に呼んでくれ!ここの家でかれこれ〝40年間〟縫い職を全うしている!」
〝少年〟はニッコリと笑う
「俺の名前はナイル、こっちはパートナーのレインだ!よろしk...........え?40年間!?」
職に定着するまで20年、それから職として扱って40年.....。
「えっ...60.....歳!?」
「んーー、もうそんなになるのかぁ」
〝少年〟の姿をしたお爺さんは言う。
「え.....っでも.....見た目.....」
「あー、これね?魔物に呪いかけられちゃったんだよねー、13歳の時に。」
「肉体と時間を止める魔法を使う魔物...って言ったら...」
「うん、そうだよ?呪闇樹。アイツにね。」
呪闇樹
ある森に生える大樹で呪いを使う魔物でもある。
その呪いはかかった人をそのかかった時間に貼り付け、固定してしまう呪いである。
呪いをとく方法は.....
「ま、ぶった斬るしかないよねー!って事で!君たちへの以来はそれだよ♪」
「それ.....ってまさか.....。」
「そ♪呪闇樹の討伐だよ!成功報酬は君たちに合う、僕が作れる中で最高の装備を提供するよ」
「でも...もし討伐を成功してしまったらあなたは60歳に戻る。体も弱くなるし装備も作れないかも...」
「だから僕はもう作り始めるよ?成功したら渡すだけでいいんだ♪」
すると少年は奥の部屋に続くカーテンを開ける。そこには
部屋いっぱいの装備で埋め尽くされていた。
「これは僕の依頼を受けて、そして装備を取りにこなかった人のものだよ。人に装備作らすだけ作らせといて全く酷いものだよね!」
「.....っ.....。」
ナイルとレイは絶句する。
その装備の量が呪いの餌食となった人の数、そして依頼の難しさを痛々しくも表していたからだ。
「どーするー?やめとく?」
少年の姿をしたお爺さんはふざけているように、しかし目は真剣に聞いてくる。
「もう.....嫌なのね。その姿.....。」
レイが呟く
「.........。」
「わかったわ。必ず討伐してみせる。そこで最高の装備作って待ってて!おじいちゃん!」
「.....初めて気付かれたよ...。辛いんだ。.......この姿でずっと...60年...。」
しかし、お爺さんは笑う。
「頼んだよ。こっちも最高の物を仕上げてみせる。」
「任せろ!」「わかったわ!!」
2人は扉を開け、森へ進み出す。人の時間を固定するこの世の理を超越した魔物。
ナイルとレイは自分の為に、そしてお爺さんの為にその魔物に挑むのだった。
ーーーその頃小屋では。
「初めてだな.....あんな事言ってくれた人...。僕も.....いや。ワシも本気で頑張らんとのぉ。」
そう呟やくと魔力を練り精密に慎重に、装備を作っていくのだった。




