魔法幼女シオン、ゴブリン相手に無双します。
魔法幼女シオン
魔法幼鳥リリィ
爆誕です。
「準備はいいですか?」
「ん。」
「ウキャゥ。」
マンションの出口に立って同行者であるシオンとモンスターですが仲間となったリリィに声をかけます。
マンション屋上でリリィを仲間にしてから数日。
ライフラインも断絶してしまった今、ここに留まる理由もなくそろそろ当初の予定通りに避難所である中学校に向かってみようということになりました。
ハーピーであるリリィには時間を取り、どこから来たのか?いつこの世界に来たのか?と聞いてみましたがリリィ自身にも分からないということでした。覚えているのは木が斑に生えている岩山に群れと住んでいて、小動物を狩って暮らしていたようですが、ある日突然辺りの風景が変わり、群れともはぐれてしまったそうです。それからは知っての通りあちこちをフラフラと飛び続け私達に会ったようです。・・うーん。召喚されたとかそんな感じですかね?
そんなことを思い出しながらマンションを出る為歩いていると、
「カイト!楽しみ!」
「それはよかったです。ですが、ハーピーであるあなたも外は危険ですので注意はしなくてはいけませんよ?」
「ウキャゥ!ダイジョブ。アタシキヲツケル!」
「ん。カイトは心配性。」
リリィは楽しそうに笑顔を零しながら最近の定位置である私の肩に止まります。
リリィはシオンよりも体格は小さく身長5、60cmくらいでしょうか。顔は丸みを帯びた幼児の顔。腕はピンク色の翼になっています。下半身は完全に鳥と同じで足はかぎ爪になっています。ネックはたまに刺さって痛いということですか。スーツに穴が開かないか地味に心配しています。
シオンそりゃ心配の一つもしますよ。幼女二人の保護者ですから。
「ところでカイト。」
「なんですか?シオン。」
シオンは茶色い髪を揺らしながら小首をかしげて質問してきます。
なんでしょうか?
「ん。なんでいつもスーツなの?」
「いや、特に意味はありませんが着慣れているのでそのまま着ているだけですよ。」
複数は騒動初日と同じスーツにリュックを背負い、左腕に丸盾を装備しています。初日と違うのは腰に差したダガーをシオンに渡していることとショートソードも手製の鞘に納めて腰からぶら下げていることくらいですね。
「そういうシオンも場違いなくらい随分可愛らしい服装をしてますよ。」
「むぅ。女の子はオシャレが必要。」
「アタシモオシャレスル!」
シオンも肩から斜めにかけたバンドでダガーを固定していることを除けば半袖Tシャツにスカート姿で普通に街歩きでもしそうな感じです。まぁ私達サバイバル用の服なんてそうそう手に入りませんから気にしてもしかたありませんね。リリィは下半身鳥なので何も着てないでしょう?と考えたら睨まれました。そ、そうですね。リリィも女の子なんですからそんな怖い顔しないで・・いや、はい。すみませんでした。
そんなことを話しながら3人で避難所を目指します。
まだ存在しているといいんですが・・。
マンションを出て数分。
辺りの民家から時折ギャアギャアと音が聞こえてきました。
ゴブリンがいるエリアに入ったようです。
「リリィ。偵察をお願いできますか?」
「ん。リリィお願い。」
「ウキャゥ!リリィイッテクル!」
リリィに偵察をお願いするとリリィはピンク色の翼を広げ大空に羽ばたいていきます。事前に決めた役割分担は私が前衛、リリィが斥候、そしてシオンは後衛です。リリィが偵察に出ている間、私達は音を立てずに静かに歩みを進めていきます。
「カイト。敵がいたらどうする?」
「そうですね。少数なら撃破。10匹以上いる場合は迂回しましょうか。」
「ん。了解。」
シオンと言葉少なにやり取りを続けていると地面に影が落ちました。リリィが戻ってきたようです。
「ウキャゥ!タダイマ!」
「ん。おかえりリリィ。」
「おかえりなさい。リリィ。敵はいましたか?」
「コノサキニゴブリンイタ。カズハエット・・ウキュゥ。ワスレタ。ソンナニオオクハナカッタオモウ。」
帰ってきたリリィは私の肩に止まり報告をしてくれます。
ゴブリンがこの先にいるようです。残念ながら数までは覚えていないようですが、それでも十分に役に立ちましたので、毛並みを撫でながら慰めておきます。
「十分ですよ。リリィのおかげで事前に敵を見つけられますので助かってます。」
「ウキュゥ・・。ホントニ・・?」
「えぇ。本当ですよ。」
「ん。リリィはえらい。」
「ウキャゥ!アタシタスカッテル?エライ?」
リリィはしょんぼりした態度を一転させ楽しそうに笑っています。シオンも笑顔でリリィをよしよし、と撫でています。
リリィがもたらしてくれた情報を元に考えてみます・・ゴブリンが複数ですか。数は多くはないようですが、どうしたもんですかね?
対策を考えているとシオンがスーツの端をクイックイッと引っ張ってきました。なんでしょうか?
「大丈夫。ゴブリンが少しいたくらいなら倒せる。今ならただのザコ。」
「あなたは確かに強くなりましたが、それでも絶対ではないんですよ?」
「ん。大丈夫。・・それにお父さんの敵だから。」
「・・分かりました。決して無理はしないでくださいよ?」
「大丈夫。殲滅する。」
「いや、ホント無理はしないでくださいね!?」
「大丈夫。問題ない。」
本当に大丈夫ですか?不安が募ります。お父さんの敵だと言われてしまえば無碍にはできません。実際シオンはかなり強くなっていますし、私とリリィもいるのでそうそう遅れは取らないとは思いますが過信は禁物です。様子を見て、手に負えなそうなら引き返しましょう。うん。そうしましょう。
そんなことを考えながらゴブリンの目撃地点まで音を立てず2人と1匹で進みます。・・ゴブリンは・・いた。数は6匹。微妙ですね。引き返したほうがいいでしょうか。
「シオン数が多いです。ここは一旦撤退を・・!」
「んっ!お父さんの敵!殲滅する!」
「ウキャゥ!センメツスルー!」
撤退をしましょうと声を掛ける前にシオンとリリィが飛び出していきます!ちょっ!数が多かったら引き返すって言ったでしょう!
「待ちなさ・・あぁッ!もう!」
待ちなさい!と声を掛ける前もなく走り去っていく1人と1匹。
既にゴブリンはこちらに気付いてしまっています。
慌てて私も走り出して1人と1匹を追いかけます!
「グギャギャギャギャギャギャッ!!」
「んっ!アイスボール!」
ゴブリンは餌と見たのか、女性を見て興奮したのか叫び声を上げながらシオンに突進してきますが、その前にシオンの先制攻撃が入りました。
シオンの左手に水色の光がともり、力ある言葉を唱えると空中に拳大の氷の固まりが浮かび上がります。シオンの意志に従い氷塊はゴブリンめがけて飛んでいき、1匹のゴブリンを頭から砕きました。ゴブリンは青い血をまき散らして物言わぬ屍をさらしています。
「ん。まず1匹。」
「ウキャゥ!ツギアタシ!アタシ!」
シオンの氷魔法です。
シオンは水魔法しか適正がありませんでした。
当初は水球を出していましたが、そんなある日。
「ん。水が凍れば氷になる。」
と言い出し、水球がどんどん温度を下げ、しまいには氷塊となりました。この光景には驚きました。確かに水は温度により気体、液体、固体と姿を変えますが、目の前で変化したそれを見て、魔法が自分達の想像を超えたものなのだと改めて気づかされました。
シオンの魔法を目にしたリリィは次は私の番!と高く飛び上がりました。
「ウキャゥ!カマイタチ!」
「ギャァァァッ!」
リリィの言葉に従い真空の刃が空気を切り裂きゴブリンをなで斬りします。リリィのカマイタチです。リリィは種族的に風属性を持っており、通常は空を飛ぶのに利用していますが、戦闘ではこの風を刃として攻撃したり、鋭いかぎ爪で直接攻撃を得意としています。
「グ、グギギ・・」
ゴブリンは無抵抗に倒せると思っていた相手になすすべなく2匹を倒され怖気ついています。私もやっと追いつき、剣を構えますが、
「ん。カイト、リリィ。ゴブリンはお父さんの敵。私にやらせて。」
と決意を持った眼差しで言われてしまいました。
あぁ、分かりました!そんなに見つめないでください!
「分かりました。ですが、危険だと判断したら助けに入りますよ。」
「ウキャゥ!シオンツヨイ。ダイジョブ!」
「ん。カイト、リリィありがと。」
シオンは返答と共に一人歩き出します。ダガーを右手に構えていますが、斬りつけるつもりはないのでしょう。姿勢も通常時と同じように真っすぐと歩いていまう。
「グギャギャギャギャギャギャ!」
「・・あなたたちは直接的にはお父さんの敵じゃないけど・・それでも許せない。だから倒す。」
残りの4匹は私達が手を出さないのを判断したのか4匹同時に走り寄ってきます!シオンはダガーをしまって両手を突き出します。
魔力が体を巡り、両手に水色の光がともります。
「氷の五月雨よ。敵を穿け。貫け。・・んっ。アイスレイン!」
シオンが詠唱を行うとそれに従い氷の礫が無数に虚空に浮かび上がります。いろいろ試して分かったことですが、魔法を使う際は、詠唱をしたり、魔法名をつぶやいたりすることによりイメージに補完がかかり、無言で使うよりもはるかに発動がしやすいことが分かりました。アイスボールのような簡単な魔法なら魔法名だけで事足りますが、アイスレインのような大技は詠唱をしないとイメージがうまく固まらず、発動が不完全になってしまいます。
「んっ!いけっ!」
シオンの魔力により発動した無数の礫は、彼女の指令に従い一斉にゴブリンに飛びかかります。一つ一つは小さい礫で威力も小さいですが、数が多く範囲攻撃するのに適した魔法です。
「グッ!ガッ!ギャァッ!」
ゴブリン達は全身を礫に弾かれ、貫かれています。これで勝負は決まったでしょう。4匹共に再起不能なまでに痛めつけられ、体を動かすことができないようです。後は遅かれ早かれ彼らに死が訪れるでしょう。
「はぁっ!はぁっ!」
シオンは肩で息をしています。
魔法を使うと体力が消耗します。難しい魔法であれば猶更消耗は激しくなります。アイスレインはシオンが今使える大技ですが、体力の関係から1発撃つと疲労困憊となってしまいます。
「シオン!大丈夫ですか?アイスレインは魔力の消耗が激しいのですから極力使わないように言ったはずですよ?それになんでいきなり飛び出したのですか?」
そんなつもりはなかったのですが、自分が思った以上に心配していたのか口を開くと自然に詰問のようになってしまいました。シオンは肩で息をしたまま答えました。
「はぁっはぁっ。んっ。ごめんなさい。でもゴブリンはお父さんの敵だったから。はぁっはぁっ。どうしても、自分で倒したかった。」
「それでも、です。次からは無茶はしないでくださいね。」
気持ちは分かります。違う個体とは言え、ゴブリンは紛れもなくシオンの敵です。ですが、毎回こういったことをされると予期せぬ被害が起こりえません。ですので注意だけはしておきましょう。
「はぁっ・・んっ。分かった。ごめんカイト。」
「あんまり心配させないでくださいね。それで気は晴れましたか?」
「うん。でもあの時にこの力があればって思った。そうすればお父さんを助けられた。」
シオンは息を整えながら、過去の出来事に対して独白をします。
あの時力があればと考えるのは理解できますが、あの時は騒動が発生したばかりで魔法の情報もほとんどありませんでした。仕方ないとは言え、悔やんでも悔やみきれないのでしょう。
「過去を悔やんでも仕方ありませんよ。大事なのは未来です。そうでしょう?」
「んっ。カイトの言う通り。後悔しても仕方ない。それは分かってる。」
「私達もついています。これからは後悔をしないよう助け合っていけばいいんです。」
「ウキャゥ!アタシモタスケル!」
「カイト、リリィ・・。・・んっ。ありがと。」
過去はいくら悔やんでも変えることはできません。私たちができるのは過去の経験を糧に同じ失敗を繰り返さないよう未来に生かすことだけです。それに今は私とリリィもいます。仲間と一緒であれば厳しい現実も乗り越えられると私は考えています。
「どういたしまして。さぁ二人とも避難所まではもうすぐですよ。リリィはこのまま索敵をお願いします。」
「んっ!がんばる。」
「ウキャゥ!アタシサクテキスル!テキミツケル!」
「二人とも頼りにしてますよ。」
さぁ、避難所はもうすぐです。
どんな未来があっても3人で切り開いてみせましょう。
私達ならきっとできるはずです!
拙い文章ですが読んでくださって感謝しております。
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