6.勇者業務のはじまり
ようやく本編です。
改めて18禁なエッチシーンはありませんのであしからず。
逆に当初の計画ではもっと殺伐とした内容になるはずだったのですが、早くもいつものほのぼのムードが漂い始めてます。
どうなることか作者も分かりません。
俺の名は大泉 幸助。61歳。
何の因果か若い姿で異世界に召喚された。
俺に求められたのは魔王討伐ではなく、子作り。この世界では今、男子が生まれないらしい。
そして今俺がいる場所が子作り用に宛がわれた部屋ならぬ屋敷。
この屋敷を維持管理しながら送られてくる女性に子種を授け送り返すのが仕事だ。
というのを屋敷にやって来た2日目の昼に思い返していた。
現在屋敷に居る全員が大広間に集まってロの字に座っていた。
俺の左は俺をここまで案内してくれたサチカさん、モミジさん、カエデさん。
右手にはこの屋敷の管理や身の回りの世話を担当してくれるサンポさん、ナガエさん、ヒサゲさん。
そして正面には先ほど新たに子作り相手として到着した4人の女性が座っている。
「俺の名前は幸助。男だ。今日から君たちと『子作りの儀』を行うのでよろしく頼む」
敢えて男だと伝えたのはこの世界の女性はそもそも男というのを見たことがないからだ。
そして『子作りの儀』と仰々しい表現をしたのは半分は自分の為でもある。
これから彼女らと行うのは自分の快楽の為ではなく、この世界の子孫繁栄のために必要なものであると。
それと子作りをするからと言って、相手が俺に好意を寄せているとか、俺を求めているとかいう阿呆な勘違いをしない為の戒めだ。
彼女らも表情こそ平静を装っているが、内心いやいやこの場に来ている可能性だってあるのだから。
さて、俺の短い挨拶を受けて4人の女性が順番に挨拶をしてくれた。
「わ、私はヒトエと、申します。どど、どうぞよろしく、お願いいたします」
若干どもりながらお辞儀をしたヒトエさんは21歳。
身長155センチのDカップと言ったところ。
人見知りなのか恥ずかしがり屋なのか。その状態で子作りは出来るのかとちょっと心配になる。
まぁ頑張ってもらうしかない。
「あたしはフタ。よろしくな!」
続くフタさんは身長175センチと高身長な25歳。
カラッと明るいスポーツ女子って感じだ。
「ミナミよ。あなたおとぎ話に出てくる勇者様とはずいぶん違うみたいね」
3人目のミナミさんは身長148センチの16歳。
他の3人に比べると明らかに幼い印象を受ける。
むしろモミジさんやカエデさんに近いのだけど大丈夫なのだろうか。
そっとサチカさんに目配せすると小さく頷かれたので問題はないらしい。
「ヨナですぅ。もう私には声は掛からないだろうと思っていましたのでぇ、ちょっとびっくりですぅ」
最後ヨナさんは身長160センチの27歳。
ぽっちゃりとした体形とのんびりとした口調が特徴的だ。
27歳はこの世界では適齢期ギリギリなのか?
いやサチカさんは31歳だしまだ行けるんじゃないかな。
「よしじゃあ……」
「ちょっと待って」
挨拶も済んでこれからの話をしようとしたところでミナミさんから待ったが掛かった。
若干怒ってる風だけど何かあっただろうか。
「どうしてこの場に使用人が同席してるの?
邪魔だから視界に入らない場所に居なさいよ」
サンポさんやサチカさん達の事を言ってるらしいけど、使用人とは?
それを聞いてサンポさん達が腰を上げようとしたけど俺はすぐに手を上げてそのままで居るように指示した。
「ミナミさん。
確認なんだが、君は王族か何かで、君の機嫌を損ねたら翌日にはここは焼き払われて俺は死刑になったりするのか?」
「そんなことはありませんわ」
ツンッと澄ました感じの返事を聞きつつ、会話は出来そうだなと内心安堵した。
これでこっちの聞く耳を持たないタイプだったらお帰り願おうかと考えていた。
「じゃあ俺の認識ではここで一番偉いのは俺で、君を含めここに居る者はこの屋敷に居る限り俺の指示に従う立場にあると考えているんだがそれは合っているか?」
「合っていますわ」
ミナミさんの言葉に他の3人も頷いた。
よし、昨日の夕食時にサンポさん達から聞いていた話はミナミさん達も共通の認識らしい。
勇者だなんだと持ち上げられている俺は、この屋敷の主でありサンポさん達は俺の部下になった。
そして子作りでここに来る女性は良く言えばゲスト。悪く言えば居候という扱いだ。
なにせ子作りを終えたらすぐに去って行ってしまうし、在籍中に金銭を払っている訳でもないからだ。
ちなみに屋敷の維持費は俺を召喚した国が出しているらしい。
というのを食事中の雑談で聞いていたのだ。
それらを踏まえると。
「であるならばだ。
俺は子作りをしにきた君たちと、ここの維持管理をしてくれる彼女らに身分的な上下は認めない。
基本的に対等に扱うし、ここに居る全員にそうして欲しいと思っている。
それが納得できない、君たちと彼女らで待遇を変えろというのであれば、俺は君たちを下に扱うからそのつもりでいて欲しい」
「なっ。……分かりましたわ」
俺の言葉に渋々ながら、と言う感じで矛を収めた。
これ後々問題にならなければ良いけど。
いや、なる前に子作りを終えて実家に帰ってもらえば良いのか。頑張ろう。
「それでぇ。勇者様からなにかお話があるのですよねぇ」
若干ピリついた空気を持ち前ののんびりとした口調で和らげるヨナさん。
分かっていて発言したとしたら大したものだ。
俺はヨナさんに笑顔で頷きつつこれからの話を始めた。
「俺から伝えたいのは大きく分けて2つ。
1つはここでの生活について。もう1つは子作りについてだ。
前者は簡単に言えば『色々大変なこともあると思うけどみんなで協力して仲良く過ごしましょう』ということだ」
「なんですの、その子供のお遊戯のような話は」
「そう、子供でも理解できる話なんだが、なぜか大人になるほど難しくなるんだ」
大人になると打算や下心が生まれて他者より良くなろうという思いが行動に出てしまう。
多少なら目を瞑るけど、それが派閥になって抗争に発展するとここでの生活は破綻するだろう。
「さっきも言ったけど俺は皆に優劣を付ける気はない。
特に問題が起きなければ子作りも平等に行うつもりだ。
まぁ逆に問題を起こせばペナルティとして一定期間子作りを行わないとかはあるかもだけど、そんな事にはならないと期待している」
「こ、子種は奪い合いだから、が、頑張るんだぞって、言われたんですけど」
「余所ではそうなのかもな。だけどここでは違う。
ちなみにサチカさん。もし仮にだけど、この4人のうち3人が病気や怪我で子作り出来なくなったってなったらどうなるんだ?」
「はい。その場合その3人は自宅療養のために帰宅して頂き、すぐに次の子作り候補生が3人やってきます」
「だそうだ。もちろん俺は残っていた1人と新たに来た3人に差をつける気はない」
だから他人を蹴落としても何も良い事は無いのだ。
そう伝えつつ、俺の頭の中には『子作り候補生』という言葉が残った。
その候補生はいったい何人くらいいるんだろうか。
入れ替わり立ち代わり女性が出入りするという事はそれだけ大勢の登場人物がいるという事で。
うっ、名付け地獄がやってくる・・・




