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異世界は勇者よりも種馬を求めていた  作者: たてみん
4.女神の呪い

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24/25

24.神話はだいたい世界共通

 季節は秋。

 いやこの世界に日本のような四季があるかは聞いてないけど、俺が召喚されたのが初夏で今はその時より若干気温が低いくらいの陽気だ。

 この先雪が降るくらい寒くなるのかどうか。

 個人的には雪国出身なので冬は雪が降ってくれることを期待してしまう。

 以前大阪に遊びに行った時は真冬なのに雪が無くてただ寒いだけという、ちょっと損した気分を味わった。

 その点、こっちの世界はどうだろう。

 雪が降るとしたら2か月、いや3か月先かな。

 少しだけ期待して待つことにしよう。

 そして季節は関係なく子作り候補の女性はやってくる。

 ここ最近は普通の人族ばかりなんだけど、なんとなく纏っている空気が違う気がする。


「メイサと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

「幸助です。こちらこそよろしく」


 礼儀正しさとは別に品があるというのかな。

 幼い頃から厳しく躾けられて来たような印象を受ける。


「君はもしかして大商会か貴族の生まれなのか?」

「ケルビレット侯爵家の長女でございます」


 俺の勘は当たったらしい。

 長女ということは跡取りということだ。

 地球の感覚で考えると家は長男が継ぐものって話になるけどこの世界だと男性が居ないので長女が継ぐことになる。

 そしてその次に家を継ぐのは長女の子供の可能性が高い。

 ということは彼女の子作りって責任重大だと思うのだが俺で良いのか?

 いや卑屈になる訳では無いが。


「それだけの身分があれば子作り相手の勇者を選べると思うのだが」

「?はい。なのでここに参りました。

 コースケ様は呪いの影響をあまり受けていない稀有な方だと伺っております。

 またこれまでコースケ様と子作りした方々からの評価は高うございます」

「それは良かった」


 子作りを終えた人達は基本的にすぐにこの屋敷を去っていくし、戻ってくることは無い。

 だから無事に地元に帰れたのかも分からないし、元気に過ごしているのかも気になっていた。

 噂だけでも聞けたのは嬉しい話だ。

 さすがにまだ早いけど来年くらいには元気な子を産めたんだろうかと考えることになるだろう。

 

「ところで、大貴族ともなると呪いについても詳しいのだろうか」

「残念ながら神殿に所蔵されている聖書の内容くらいしか存じておりません」

「聖書か。そこにはどう記されているんだろう?」


 聞いてみれば、どこかで聞いたことのあるような神話だった。


『昔々、この世界を管理する神様の1人である女神フラレイタが人間の王子と恋に落ちた。

 国中が二人を祝福し幸せな日々が流れ、王国も女神の加護の下、平和で豊かになっていった。

 しかし幸せな時間は長くは続かないもの。

 女神に密かに恋焦がれていた男神ストーカリスが王都のすぐ近くにあった火山を大爆発させた。

 そのせいで王都は壊滅。王国全体も滅亡の危機に瀕していた。

 そこで王子改め国王は女神に希う。どうか王国を救ってほしいと。

 女神はすぐに快諾した。愛する人の為なら自分の持てる全ての力を差し出そうと。

 そうして女神の奇跡により王国は息を吹き返し、王都もほんの数年で元の姿を取り戻した。

 歓喜する国王。

 しかし力を使い果たした女神はかつての美しい姿を失い、立っているのもやっとのヨボヨボの老女になっていた。

 それを見た国王は100年の恋も醒めたというように女神を見捨て、別の若い女を囲むようになった。


(あなたの為に頑張ったのに)


 同時に男神ストーカリスも老女の姿を見て『俺の女神は死んだ』と言って去っていった。


(お前のせいでこうなったんだぞ)


 一人残された女神は絶望し、そして怒りに燃えた。


(男などいらぬ!)


 実際の所、女神は一時的に力を使い果たしただけで数年もあれば元の姿を取り戻せた。

 そして復讐の鬼と化した女神はストーカリスのあれをぶった切って触媒とし、人間に男児が産まれない呪いを掛けてしまった。

 さすがにまずいと思った別の神様が人間に異世界から勇者を召喚する術を授けた』


 と言う感じらしい。

 どこの世界に行っても人も神々も痴情の縺れで大忙しだ。

 男性はそれが宿命サガだと浮気し、女性は親の仇を見る目で嫉妬する。

 どちらも止めさせることなんて出来ない。

 その結果周囲の人が多大な迷惑を被るのだから困った話だ。


「じゃあもし呪いを解こうと思ったら女神様の怒りを鎮めるしかない?」

「恐らくは。しかし最後に神様が地上に降り立ったのは数百年前だと聞いています。

 神官の祈りの声も届いているのかどうか」


 なるほどこれはお手上げだ。

 俺に出来そうなことは、現時点では思い浮かばない。

 職業が勇者だからって神に匹敵する力を持っている筈もないし。

 せめて呪術師とか神官なら多少は呪いに干渉出来るかもしれないけど……ってその手があったか。


 メイサさんと話をした翌日。

 俺はモミジさん達に相談を持ち掛けることにした。


「子作り候補の女性の条件って今から変更することは可能だろうか」

「はい、可能ですよ。他の勇者様も良く変更されるそうなので。その『飽きた』と言って」


 飽きたって。そんなことあるのか?

 いや夫婦だってマンネリが大変だって言うし、似た外見の女性ばかり相手にしてるとそうなるのか。

 全然賛同できない話だけど。


「それでどのような条件になさいますか?」

「そうだな。多種多様な職業の人が来るようにして欲しい。

 特に神官、巫女、祈祷師とか。まぁどこまで職業として存在しているかは分からないが」

「なるほどなるほど。

 今までに子作りした方と同じ職業の人はもう相手をしないということですか?」

「そこまで厳密じゃなくて良い。優先順位を入れ替えるイメージだ」

「承知しました。

 ではそのように伝えておきます」


 よし、これで後は子作りに来た女性からその職業ごとの技術を伝授してもらえば俺の勇者の職業能力である程度は使えるようになるはず。

 問題は本職の劣化版程度の能力なのでこれで呪いに干渉したり神様と交信したり出来るようになるかは未知数だ。

 上手くいったらラッキーくらいに考えておこう。



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