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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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決戦と決別

バロックも俺に続き、ギルバートを槍で突いた。


 しかし、槍はギルバートの体に触れた途端、当然のように砕け散った。


「触れたものを朽ちさせる魔法か! ラルク、拳は大丈夫か?」


 バロックはギルバートと距離を取り、焦った表情で俺に尋ねた。


 俺は自分の拳を眺めた。痛みはない。それどころか、変形したり変色したりといった異常も見当たらなかった。


「大丈夫だ。……何で俺だけ?」


 理由を考えている暇はない。


 これはチャンスだと、俺は勢いよくギルバートに飛びかかった。


「同じ攻撃など効かん!」


 俺の拳が顔面に届く寸前、ギルバートは闇の盾を作り出した。そして、その隙に火球を放ってくる。


 その時、アウラが雄叫びを上げた。


 まるで雄叫びに反応したかのように、闇の盾と火球が砕け散った。


「よくやった!」


 俺はギルバートの顔面を何度も殴りつけた。


 ギルバートは声も上げずに白目を剥いたが、気力で意識を保っているようだった。


 口から血を吐き捨て、俺を睨みつける。


「魔王の実力っていうのは、こんなものか?」


「言うねぇ。準備のために出し惜しみしていたけど、もう終わりだ。全力で君を叩き潰してあげるよ」


 ギルバートの目が怪しく光ると、その肉体が筋肉で大きく膨れ上がった。


 変化は肉体だけではない。魔力も倍以上に膨れ上がっていた。


「悪役ってのは、ピンチになると膨れ上がるんだな。かかってこいよ、肉だんご!」


 俺はあえてギルバートを挑発した。


 こうすれば、俺に襲いかかってくると思ったからだ。


 知的に見えるこいつも、煽られれば激昂する。俺はそう踏んでいた。


「お前から血祭りに上げてやる!」


 ギルバートは地面から赤黒く輝く大剣を出現させると、俺に斬りかかってきた。


 来た!


 俺は迫り来る大剣に向かって、全力で拳を叩きつけた。


 金属同士が激しくぶつかったような音が響き、衝撃波が辺りに広がる。


 アウラもバロックも、その衝撃をものともしなかった。


 だが、ギルバートの大剣は俺の拳を受けても砕けなかった。


「こんなものじゃないぜ! そら、そら!!」


 ギルバートは巨体に似合わぬ素早さで大剣を振るう。


 俺はそれを拳で弾き返した。


 だが、戦いを続けるうちに、俺はある異変に気づいた。


 拳に、わずかながら切り傷がついていたのだ。


 小さな傷だったが、治癒魔法を使っても塞がらない。


 ギルバートが作り出したこの空間には、敵対する者の力を弱め、治癒魔法を妨げる効果があるのだろう。


 長期戦はまずい。


 ギルバートを倒し、この空間から脱出しなければ……。


 その時、俺の体が金色に輝いた。


「お前の力を最大限に高めた! やってやれ、ラルク!」


 後方からバロックの声が響く。


「ああ、任せろ!」


 俺はそう答え、ギルバートの動きに神経を集中させた。


 睨み合いが続く。


 そして次の瞬間、ギルバートが大剣を振り下ろした。


 だが、その刃は俺から大きく外れた場所へと振り下ろされた。


 悪戯っぽいアウラの笑い声が聞こえる。


 どうやら、魔法でギルバートに幻術をかけたらしい。


 俺はその隙を見逃さなかった。


 ギルバートの顎を狙い、拳を叩き込む。


「……がっ!」


「全力を出しても勝てなかったようだな!!」


 俺はギルバートの顔面を何度も殴りつけた。


 やがて、ギルバートの角が砕け散り、そこから魔力が漏れ出していく。


 すると、暗黒の空間が消え去り、俺たちは王宮の一室へと戻っていた。


「うわぁあああ!!!」


 ギルバートが辺りを震わせるほどの大声で叫んだ。


 その声には、失意の響きが含まれているようだった。


 野望を打ち砕かれ、動揺しているのだろう。


「これで終わったな」


 大虐殺などというふざけた計画を阻止できた。俺はようやく安堵した。


「ラルク! お父様に何をしているの!? ひどい怪我……。早く治さないと!」


「どうして、アシュリーが?」


「お父様の様子が気になって見に来たのよ。早くお父様から離れて!!」


 アシュリーはギルバートを守るように、俺の前に立ち塞がった。


「ふははは! 運は私を見放していなかったようだな! 感謝するよ、我が娘よ!!」


 ギルバートの目に、再び野心が宿った。


 彼は唐突に立ち上がると、アシュリーに抱きついた。


「お父様!? 何を!」


「その肉体も魔力も、すべて私に寄越すんだ、アシュリー!」


 アシュリーの体が、ギルバートの肉体に溶け込むように沈んでいく。


「嫌、やめて、お父様!!」


「黙れ! 出来損ないのお前が役に立てるのは、これくらいだろう? 大人しく私の糧になれ!」


 アシュリーは必死に抵抗したが、やがてギルバートの体に沈み込んでしまった。


「あははは! これで形勢逆転だ! 消耗しきったお前では、私には勝てない!」


「ゲス野郎め! アシュリーは父親のお前を慕っていたんだぞ!」


 ギルバートはつまらなそうな顔で、俺に向かって球体を投げつけた。


 球体は俺の目の前で爆発し、鋭い棘を飛ばしてくる。


「くっ!」


 棘が俺の体に突き刺さる。


 俺は瞬時に魔力を放ち、棘を吹き飛ばした。


「アシュリーは私のものだ。どうしようと勝手だろう?」


 ギルバートは、最初からアシュリーを愛してなどいなかったのだ。


 優しい父親を演じていただけなのだろう。


 アシュリーが不憫でならなかった。


「ラルク、あいつを下手に傷つけない方がいいぞ。下手をしたら、中のアシュリーまで傷つけることになる」


 アウラが俺に耳打ちした。


「アシュリーは生きているのか?」


「完全には吸収されていないみたいだぞ」


 アシュリーが生きている?


 それなら、助けるしかない。


 このまま死なせるわけにはいかなかった。


「アウラ、手伝え! アシュリーを救うぞ!」


「もちろんだぞ!」


 アウラも乗り気のようだった。彼女もアシュリーを助けたいのかもしれない。


「バロック! 黒い炎をギルバートに放て!」


「そんなことをして大丈夫なのか?」


「大丈夫なはずだ。頼む!」


 バロックは戸惑いながらも、ギルバートに黒い炎を放った。


 燃え盛る炎は、ギルバートの障壁に阻まれる。


「こんなもの、効かないよ」


 やはり、防がれたか。


 だが、目的はギルバートに直接ダメージを与えることではない。


 黒い炎で視界を遮り、隙を作ることだ。


 俺はその機会を逃さず、ギルバートの体に触れた。


「アシュリー、今助けてやる」


 ギルバートの体を覆う障壁。そのわずかな隙間から魔力を流し込み、体内を探る。


 すると、彼女自身のものと同じ魔力を感じ取ることができた。


「私の体に触れるな!」


 ギルバートは自らの体の表面に炎の魔力を流した。


 熱さに耐えながら、俺は必死にアシュリーを光の魔術で掴み、引っぱり上げる。


 このまま手を離すわけにはいかない。


 すると、アシュリーの顔だけがギルバートの体の表面に現れた。


 彼女はぐったりとしており、意識もないようだった。


「何をする! やめないか!」


 ギルバートが俺に向かって雷を落とす。


 意識を失いそうになるほどの衝撃に耐えながら、俺は必死にアシュリーを掴み続けた。


「アシュリー! 目を覚ませ!」


 俺の叫びに応えるように、アシュリーはゆっくりと目を開いた。


「うぅ……」


「アシュリー! このままこいつに取り込まれてもいいのかよ! ティアが待ってるんじゃないのか!?」


「ティアが……。行かなきゃ。あの子を悲しませたくないもの」


 その言葉とともに、アシュリーの体が少しずつギルバートの中から引き抜かれていく。


「アシュリィー!! 実の父のために尽くせ! すべてを捧げるんだ!!」


「……よく分かったわ。あなたは、私の父じゃないってことが……」


 アシュリーの瞳から涙が溢れた。


 そして次の瞬間、彼女はギルバートの体から完全に抜け出した。


「アシュリー!!!!」


 ギルバートの体は、魔力を失ったかのようにみるみる萎んでいった。


 髪はすっかり白くなり、その姿はまるで老人のようだった。


 これで、すべてが終わったのだろうか?


 俺は、どうしても違和感を拭えなかった。


 確かに手強かったが、この程度の実力しかない魔王が、世界を牛耳ろうとしていたとは思えない。


 まだ、黒幕がいるような気がしてならなかった。

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