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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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救い

俺たちは、それの方へ向き直る。


 そこには、セルジュの聖剣がそれの胸にある石へ、深々と突き刺さっていた。


 石からはドス黒い魔力が溢れ出し、それの体はどろどろに溶け出して崩壊していく。


 セルジュは風の魔術を使ったのか、ふわりと地面に降り立つと、それから離れて身構えていた。


「これで終わったのか?」


 まだ終わったとは思えなかった。


 何とも言えない嫌な感じが、俺の不安を掻き立てている。


 それの体が崩壊すると、中から青黒く光る巨大な球体が現れた。


 球体が禍々しい光を放つ。


 すると、それの体は瞬時に再生した。


「あれを破壊しないと駄目みたいだな」


「駄目だぞ、ラルク」


「何が駄目なんだ?」


「あの球体は、苦しい、助けてって言ってるぞ」


 アウラは辛そうな顔をしている。


 アウラにだけ、あの球体から発せられる悲痛な声が聞こえているのだろう。


「あの球体は傷つけちゃ駄目よ。あれは人や魔物の魂よ」


 エレノールが、いつの間にか俺の隣を飛んでいた。


 イリアがエレノールに祈りを捧げたから、来てくれたのだろうか。


「お前も来てくれたのか?」


「女神の私が来てあげたのよ! もっと感謝しなさいよ。イリアちゃんが貴方を助けてって私に祈るから、来てあげたのよ!」


「相変わらずうるさいな。あの球体が魂だというのは本当か?」


「う、うるさい……。まあいいわ。あれは無理やり集められた魂が凝縮されているみたい。酷いやつもいるものね」


 バロックの配下を名乗っていた魔族が、邪神を復活させるために魂を集めると言っていた。


 邪神の体に入れる動力源を作るためだったのか。


 実際は、バロックの配下を名乗るギルバートの配下が集めていたのだろう。


 こんな吐き気を催すような行為を、平気でやるものなのか。


 俺は内心、怒りを覚えていた。


「どうすれば、あの魂たちを解放できる?」


「あの体が崩壊した瞬間に、魂たちの呪縛を解けばいいの。私が魂の呪縛を解くから、あなたたちはもう一度、あれの体を破壊して」


 簡単に言ってくれる。


 奴も馬鹿じゃない。


 同じ手が通用するだろうか?


「……できないって駄々をこねても始まらないよな。もう一度だけやってやる」


「それまで私は安全な場所に隠れてるわ。あ、その前にこれをあげる」


 エレノールはそう言って、緑色の液体が入った瓶を俺に手渡した。


「何だ、これは?」


「世界樹の朝露よ。これを飲めば魔力が回復するわ。希少なものだから、それだけしかあげられないけど」


 俺は迷わず瓶の蓋を開け、液体を飲み干した。


 消耗していた魔力が、内側から湧き上がってくるようだった。


 これなら戦える。


「ふぅ、助かったよ。やっぱり女神様ってのは役に立つな。行くぞ、アウラ」


「感謝して敬ってよ! もう、これだから信心深くない人は……」


 後ろでエレノールがぶつぶつ言っていたが、俺はアウラの背に乗り、それに向かって飛んでいく。


 それは俺たちに気づくと、雷を落とした。


 光線以外にも、魔法を使うことができるようだ。


 だが、こいつもセルジュに石を破壊され、黒い魔力を放出している。


 無限に魔力が湧かない限り、それにも限界があると俺はにらんだ。


 思った通り、それの攻撃は徐々に威力が衰えているようだった。


 これなら、わざわざ防御をしなくてもいいだろう。


 それは俺たちに向かって、再び光線を放とうとした。


「そう何度も……」


 俺が言いかけた瞬間、それは顔を伸ばし、俺たちを飲み込んだ。


 光線はフェイクだったのだ。


「ラルク、無事か?」


「ああ、大丈夫だ」


 腐敗臭のような臭いが、目や鼻を刺激する。


 光の球で辺りを照らすと、俺たちは脈打つ黒い肉でできた空間に閉じ込められていた。


 ここは胃の中だろうか?


 そんなことを考えていると、辺りを泥状の化け物たちが取り囲む。


「俺たちを弱らせて、ゆっくり消化しようってか? 残念だな。ランチはお預けだ!」


 アウラの吐く炎に雷の魔力を混ぜ合わせ、周囲一帯に炎と雷を降り注がせた。


 化け物たちは奇声を上げながら消滅していく。


「しばらくしたら、また新しい奴が来るぞ」


「その前に脱出するか? いや、待てよ」


 試しに俺は、黒い肉の壁に冷気の魔法を当ててみる。


 すると、瞬時に肉の壁は凍りついた。


 こいつの腹の中には、魔法への耐性がないらしい。


 こいつの魔力は、おそらく闇。


 体内から光の魔力を流し込めば、体を破壊できるかもしれない。


「アウラも手伝え。光の魔力を全力で流すぞ」


「こいつの魔力の流れに沿って流せば効率的だぞ。右に三歩、前に五歩辺りでやるぞ」


 アウラに言われた辺りに俺が手を置く。


 アウラはその手に自分の大きな手を重ね、魔力を流し込み始めた。


 その瞬間、周囲が激しく揺れ始めた。


 断末魔のような声が上がると、周囲の肉も溶け始めた。


 そして、剥き出しになった魂たちが俺たちの前に現れた。


「辛かったな。でも大丈夫だ。女神様がお前たちをきっと救ってくれる」


 俺の声が届いたかは分からない。


 それでも、魂たちが少し震えた気がした。


 そしてエレノールが現れ、魂たちに手をかざす。


 魂たちは淡い光に包まれ、一つ、また一つと解放されていく。


 二度とこんな目に遭わせないからな。


 俺は魂たちに、心の中でそう誓った。

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