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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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変わらない気持ちと厄災

「ここにアウラがいるのか?」


「最初はイリアと一緒にラルクの治療を手伝っていたんだけど、急に黙って閉じこもっちゃったの。アウラ! いるんでしょ? 出てきなさいよ!」


ミーシャが薄暗い洞窟に向かって呼びかけると、低い唸り声が聞こえてきた。


「アウラ?」


再びミーシャが呼びかけると、


「来るな!!」


低い声が洞窟の奥から響いた。


「どうしちゃったのかしら……」


おろおろするミーシャから、俺は離れた。


「俺が話してくる。ミーシャは、ここで待っててくれ」


「でも、怪我が治ったばかりで上手く歩けないでしょ? 私も……」


「いや、大丈夫だよ。その間、ミーシャはアウラの食べそうなハムでも買ってきてくれ」


「う、うん」


ミーシャが走り去る足音を確認してから、俺は洞窟の中へ入った。


洞窟の中は意外なほど広く、しばらく歩いてもアウラの姿は見つからなかった。


「ラルク? ラルクなのか!? 生きてたんだ!」


すぐ近くからアウラの声が聞こえた。


だが、いつものアウラとは違う。


どこか大人びた口調だった。


「こんなところで何やってんだよ? 隠れてデザートでも食ってんのか?」


「ラルクの治療をしている時、ラルクの命が終わっていくのが分かった。治療しても無駄だって分かった。ラルクがいなくなるのが怖くて……ラルクのいない世界なんて、なくなればいいと思った。そしたら、アウラがアウラじゃなくなるような感覚がして、こうなったんだ」


アウラが俺に顔を近づける。


額には禍々しい黒い角が生え、瞳は鋭く、紫色の光を放っていた。


身体も巨大化し、爪も鋭くなっている。


「姿が変わっただけじゃない。何もかも壊したい気持ちが溢れてる。ラルクは、もうアウラと離れた方がいい。エンペラードラゴンの力は全部ラルクにあげるから」


アウラは淡々と話す。


だが、違う。


それはアウラの本心じゃない。


俺たちを傷つけたくないから、あえて離れようとしている。


それがアウラなりの優しさなのだと、俺には分かった。


「待てよ」


俺はアウラに一歩近づく。


「来るな! アウラは嫌なんだ。大好きな家族を傷つけたくないんだ。ラルク、分かってよ……」


それでも俺は、一歩、また一歩とアウラに近づいていく。


「アウラ、お前は言ったじゃないか。俺がアウラを嫌うまで、側にいるって」


俺はさらに近づく。


「俺は、アウラを嫌いになんてならない。例え傷つけられても、何をされても……アウラに優しい気持ちがある限り、俺はお前を嫌いにならない」


アウラに思いが伝わるように、俺は声を張り上げる。


「ラルクだけじゃない。ラルクの大事な人まで傷つける。駄目なんだよ……」


「その時は止めてやるよ。病み上がりだから、加減はできないかもしれないけどな」


俺は冗談めかして言い、アウラを抱きしめた。


「戻ってこいよ、アウラ。俺がお前の肉、全部食べちゃうからな」


「ラルク! 危ないぞ!!」


アウラを覆う黒い魔力が俺の身体を切りつけ、血が流れる。


それでも俺は、アウラを抱きしめ続けた。


「エンペラードラゴンの力なんて要らない。お前と一緒なら、それでいい」


俺がアウラの鱗を優しく撫でてやると、アウラは苦しそうに唸った。


その時、地面に何かが落ちる音がした。


アウラの額から、黒い角が落ちたのだ。


同時にアウラの身体が元の大きさへと戻っていき、黒い魔力も消え失せていった。


「ずっと一緒にいたぞ。ずっとずっと、ラルクといたいぞ……」


アウラはいつもの口調に戻り、俺を抱きしめ返した。


「おかえり、アウラ」


抱きしめられたまま、俺は甘えん坊な相棒の頭を撫でるのだった。


俺とアウラが洞窟から出ると、ミーシャは不安そうにこちらを眺めていた。


そしてアウラの姿を見ると、ハムを持って駆け寄ってくる。


「お腹空いたでしょ。たくさん買ったから食べて」


ミーシャは何も尋ねる様子を見せなかった。


俺と一緒に戻ってきたことで、もう大丈夫だと思っているのかもしれない。


「今は駄目だぞ」


「え?」


「ご飯は皆と一緒に食べたいぞ! な、ラルク?」


期待するような眼差しで、アウラが俺に尋ねる。


「そうだな。皆で食べよう」


アウラと肩を組みながら、俺たちはイリアの元へ向かった。


消えかけた焚き火の前で、イリアは鍋をかき回している。


「皆さん、スープを食べませんか? ラルクさんも食べやすいように、野菜を煮込んで柔らかくしてあります」


「ちょうど良かった。皆でご飯を食べよう」


俺たちは焚き火を囲み、食事を始めた。


アウラはすっかり元に戻ったようで、ハムを夢中になって食べている。


そんなアウラの姿を見て、俺は安堵した。


今のアウラなら、もう誰も傷つけることはないだろう。


「ラルク、本当に行くの?」


ミーシャは俯きながら尋ねる。


「ああ。奴を止められるのは、ドラゴンテイマーである俺だけだ」


「ラルクを一人で行かせないぞ。アウラも行くぞ」


「二人でギルバートの野望を阻止しよう」


本調子ではない俺が、一人で魔王に立ち向かうのは無謀だろう。


いや、本調子の俺でも、狡猾なギルバートに勝てるかどうかは分からない。


アウラがいて、ようやく戦えるといったところだ。


「私は足手まといになるから残るわ。でも、ただ待っているんじゃない。私にできることをやるわ」


「私もミーシャさんと残ります。ラルクさんたちに神の奇跡がありますように」


イリアは俺とアウラに向かって、祈るように手を組んだ。


「必ず戻る」


「プリンを作って待ってるから、終わったら皆で食べましょう」


ミーシャは笑顔で俺を送り出した。


俺を信じてくれているのだ。


二度とミーシャを悲しませないために、俺はアウラの背に乗り、ギルバートの魔力を辿るのだった。


――その時だった。


遥か彼方の大陸から、何かがこちらへ向けて光線を放った。


アウラは難なくかわしたが、俺たちの後方にあった山が光線に触れた瞬間、霧散した。


「何だ? あれは……」


俺たちを襲った何かは、茶色い肌をした、痩せこけた巨大な女のような姿をしていた。


「あれは人じゃないぞ! 多分、邪神の身体に何か別のものが入って暴れてるんだぞ!」


誰かが邪神の肉体だけを復活させたのだろう。


邪神の魂自体は大したことがなかった。


それなのに、肉体にはこんなにも厄介な力が秘められていたのか……。


俺が状況を見ながら対策を考えていると、それは白目を剥き、奇声を上げながら俺たちへ向かってくるのだった。

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