表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/38

臆病者の勇気

 盾の性能を調べる為に基礎的な魔法を当てた所、確かに魔法は防いだが銀色に輝いていた盾が黒く変色してしまった。あまり強い魔法は耐えられないのかもしれない。


「それどうするの?」


「魔導具を扱う店の店主にでも鑑定させてみる。使えないなら鍛冶屋に持ち寄って別な形にでもして使ってやるさ」


 使い物にならないとしても、せっかく譲り受けた盾を捨てたり売る気にはなれなかった。受け取った思いを置き去りにしてしまうような気がしたから。


「私達が知らないだけで盾の性能を引き出す方法が有るかもしれないしね。アウラ、歩くのやめて飛んで行こう」


「お前の指図は受けたくないけど、ラルクが言うんならそうしてやる」


 少年の姿で頬を膨らませアウラはむくれている。大分親しくなったといえ、ミーシャと馬が合わないのかもしれない。町に着いたら息抜きでもさせてやるか。


「背中乗せてくれたら何でもしてやるから頼むよアウラ」


「何でも!! なら、宿に着いたら首元わしゃわしゃしてくれ!」


 アウラの言うわしゃわしゃは、指先で鱗の隙間に指を滑らせるようにして撫でる事だ。ミーシャにもやらせた事が有ったが、俺の力加減がちょうどいいらしい。


 了承するとアウラはご褒美を前にした子供みたいに興奮しながら、吹き荒れる風のようにただ荒々しく飛ぶのだった。


 町に着くと早々に宿を取り、満足するまでアウラの首元をわしゃわしゃしてやった後、魔道具を扱う道具屋を探す。


 しかし、ただでさえ広い町なのき道が迷路みたいに入り組んでおり、中々道具屋にたどり着けずにいた。


「宿の親父も適当言ったんじゃ無いだろうな……」 


 三十分うろついても、それらしき店が無く引き返そうとした時だった。


「あの、貴方の持ってるそれ、盾ですよね? 良ければ譲っていただけませんか?」


 声を掛けて来たのは子供だった。


 背中まである淡い桃色の髪色の、子犬を思わせるようなあどけない、くりくりした朱色の目をした少女が盾に触れるか触れまいかローブの袖を捲り、迷っているようだった。


「それは譲れないな。何でこんな使い物にならない盾が欲しいんだ?」


「え? こんな力の溢れる盾が力が使い物にならないなんて有りえませんよ。この盾は目覚めようとしてるんです。忌まわしき力から祝福の力へと」


 少女が盾に触れると盾は呼応する様に輝く。ただの偶然だろうが、盾がこの子に合うために引き合わせたと思えてならなかった。


「良かったら話しを聞かせてくれないか? 盾の事とお前の事を」


「はい、構いませんよ。私、ティアと申します」 


 少女を連れて宿の部屋に戻る。アウラは少年の姿で昼をしてる様だった。ミーシャも珍しく出かけている。


 ティアを椅子に座らせ改めて盾を見せる。


「うん、後一度強力な魔力を当てると良いみたいですね」


「どうして分かるんだ?」


「私、エルフと妖精間に生まれた子なんです。生き物だけでなく物の魔力の流れも見える力が有って、それがどんな物か何となく分かるんです」


「じゃあ、それが何かは分かっていたのか?」


「辛い思いに触れて来た事だけは分かります。でも、貴方が悲しみを癒してあげたんですよね」


 驚いた事に本当に見えているようだ。適当を言う詐欺師紛いなら説教でもして叩き出してやろうと思ったがティアの話しを聞いてやる事にした。


「その盾を何に使おうとしてた? そんな細腕じゃ扱えないだろ?」


「私、この街から出た事が無いんです。だから、一人で色んな街を見て回りたくて強い盾が有れば安心かなって思ったんですが無謀ですよね……」


 思いの外、可愛らしい答えが返って来て拍子抜けして笑ってしまった。


「あはは、盾はやれないが行きたい街まで同行してやるよ」


「え、良いんですか? じゃあ明日の昼、宿の前で合流しましょう」


 去っていくティアに手を振り別れ、俺はベッドで晩飯まで仮眠を取ることにした。


「起きろ、ラルク。何か変だ」


 アウラに起こされ目を覚ますと、辺りはもう暗くなっていた。


 何時もなら、何か有ればミーシャが先に騒ぐ筈なのに、そのミーシャが居なかった。


「何が有ったアウラ」


「ミーシャが居なくなった。町の女も居なくなったみたいだ」 


 良くない事が起きてるのは間違いない。

 俺は慌てて宿を飛び出し、魔力を辺りに張り巡らせ怪しい場所を探す。


 すると町外れの封鎖された炭鉱に何かが潜んでいる様だった。


「行くぞアウラ!」


 アウラの背に乗り、俺は炭鉱に急ぐ。


 炭鉱の入り口は無造作に開けられていた。


 光球を出し辺りを照らし、足場の悪い足場を必死に駆ける。


「ラルク何かいるぞ」


 暫く走ると開けた場所があり、数十人もの女性が柱に吊るされていた。 恐らく動けなくなる程度血が抜かれているのだろう。


「悪趣味な事をしやがる」


 女性達を下ろそうとすると、コウモリが俺に襲いかかる。アウラが火を噴いて始末すると、天井に逃げたコウモリが男に変わる。


「邪魔をするな。魔王バロック様に捧げる為にこの街の女の血を集めているのだ」


「知った事か人間様に迷惑かけるなこうもり野郎!!」


 高く飛び上がると俺は至近距離から光弾を、何発もコウモリ男に撃ちまくると奴は声を上げずに灰になる。


 吊るされた女の中にミーシャはいなかった。


 結局ミーシャが、戻らぬまま夜が明けてしまった。


「何か有ったか?」


 不安で胸がざわついていたが、ティアが姿を見せた時呆れに変わる。


「うぃ〜! ラルクは私の何だから覚えておきなさいよ」


「ラルクさん、この方が昨日からずっと私の家でお酒飲んで絡んでくるんですけど誰なんですか?」


 困惑するティアに肩に手を回し、もう片手でウイスキーを飲むミーシャを見て安堵よりも恥ずかしさが勝っていた。


「……、本気で心配したのにこれかよ」


 脱力感に襲われ、俺はへなへなと座り込んでしまった。


「ラルク、後でミーシャの頭を齧って懲らしめるから元気出せ」


 新たな旅はどうなるか今から不安になるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ