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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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珍奇な再会と欺く獣

アウラたちが寝入った頃、俺は宿を抜け出し、一人で町を歩いていた。


どうしても気になることがあり、眠れなかったのだ。


気のせいかもしれないが、ネイサは情報を話した直後に炎で焼かれていた。


もし情報を吐かせたくなかったのなら、拘束された時点で始末していたのではないだろうか。


まるでギルバートは、俺に大虐殺を止めてほしがっているようだ。


「考えすぎか……」


暗がりに包まれた公園のベンチに腰掛け、星空を見上げながら一人呟く。


「用心するに越したことはないわ」


聞き覚えのある声が聞こえ、辺りを見渡すと、ベンチの後ろに不自然なほど大きな宝箱が置かれていた。


「もしかして、コトハか?」


「その通りよ。今日は話があって来たの」


宝箱の蓋が開き、中からフリルの付いたゴシック調の服を着たコトハが現れた。


「……初めて会った時は、お前がこんなに面白い女だとは思わなかったよ」


「褒めてくれてありがとう。あ、好きになっちゃ駄目よ。竜王ちゃんと付き合う予定なんだから」


呆れて、しばらくの間、俺の思考は停止した。


コトハには、ジョークも皮肉も通じないようだ。


「それで、用っていうのは何だ?」


「貴方の中にいる勇者サキの魂を渡してほしいの。理由は言えないけど、安心して。悪いようにはしないわ」


勇者サキの魂が俺の中にあることを、どうやって知ったのだろうか?


コトハを信じていいのかと考えていると、彼女は自分の腕に紋様を描き始めた。


「何をしているんだ?」


「自分に呪いをかけているの。貴方に嘘をついたり、勇者サキの魂に何かしたりすれば、私が死ぬようにって。これで信じてくれるでしょ?」


「しょ、正気かよ!」


呪いは本物のようだ。


俺が驚愕していると、コトハは神妙な顔をした。


「これぐらいやらないと、貴方は信じてくれないでしょ? それで、どうするの?」


コトハの覚悟は理解した。


今度は、俺が応える番だ。


「今、サキと話してみる。それで断られたら諦めてくれ」


「分かった。それでいいわ」


俺は目を閉じ、サキに話しかける。


「サキ、コトハを信用できるなら、彼女と一緒に行ってもらいたい。どうする?」


「行くよ。コトハは昔、私と一緒に旅をした仲だもん。きっと、何か考えがあるんだと思うから。今までありがとう、ラルク」


サキがそう言うと、俺の中から光り輝く球体が抜け出した。


コトハは、その球体を大事そうに抱きしめる。


すると、球体はコトハの中へと吸い込まれていった。


「コトハ、お前、何者なんだ?」


サキと旅をしていたというのだから、ただ者ではないだろう。


「秘密。だけど、信じてくれたから、本当の顔を見せてあげる」


次の瞬間、コトハの顔が灰色の毛に覆われ、口元が前方へと伸びていった。


コトハの顔は、狼そのものになっていたのだ。


「なっ! 狼だったのか!?」


「正確には人狼よ」


竜の紋様が描かれた長い舌で、コトハは俺の顔を舐めた。


「ん〜。65点」


「何の点数だよ!」


俺の叫びなど気にも留めず、コトハは背を向けた。


「最後にアドバイス! ギルバートはずる賢いから、何も考えずに向かって行っちゃ駄目よ」


「おい! もっと詳しく教えてくれよ!」


コトハは何も答えずに宝箱の中へ入ると、宝箱ごと姿を消してしまった。


「手探りで進めっていうのかよ? しょうがないな……」


俺は宿に戻ることにした。


その日はギルバートのことも、コトハのことも頭から放り出し、ぐっすり眠ることにした。


「ラルク! 寝すぎだぞ! 朝ごはんが昼ごはんになっちゃうぞ!」


アウラに体を揺さぶられ、俺は起きるしかなかった。


「もうそんな時間か?」


「もうすぐ十時になるわ。疲れているなら、寝ていてもいいわよ。昨日は人魚の国を救ったばかりだし、疲れているでしょ?」


「いや、起きるよ」


ミーシャの気遣いは嬉しかった。


だが、一人になると、またあれこれ考えてしまいそうだ。俺は冷たい水で顔を洗い、気分を切り替えてから皆と出かけることにした。


飯屋で簡素な食事を済ませた後、俺たちは一人の兎の男の子に声をかけられた。


「旅の思い出に絵はいかがでしょうか? 今なら銅貨十枚で描きますよ」


兎の獣人は愛想よく笑った。


「描いてもらいましょうよ」


「えっと、私はいいですから、皆さんだけで描いてもらってください。私、あんまり可愛くないので……」


イリアが不安げに言うので、俺は彼女の目を真っ直ぐに見つめた。


「十分可愛いじゃないか。もっと自信を持てよ」


「か、可愛い……」


「ああ、舞台女優にも引けを取らないくらいだ。……痛っ!」


俺がイリアを褒めると、何故かミーシャに尻をつねられた。


「か、可愛いなんて、そんな……」


イリアは顔を真っ赤にして、両手で顔を覆いながらしゃがみ込んでしまった。


「皆、早く準備するんだぞ!」


アウラは少年の姿で凛々しい顔をしながら、ポーズを決めている。


イリアにも、これくらい自信があればいいんだがな。


「あはは……。それじゃあ、描きますね」


兎の獣人は笑いながら筆を動かし始めた。


「出来ましたよ」


十数分ほどで筆を置いた兎の獣人は、俺たちにキャンバスを見せた。


そこには、まるで本物を写し取ったかのように精巧な街並みが描かれていた。


しかし、肝心の俺たちの姿はどこにもない。


「町の背景だけ? 俺たちは?」


「安心してください。もうじき描かれますよ。貴方たち自身が絵になってね……」


兎の獣人が不敵に笑った次の瞬間、俺たちの体が光に包まれた。


抵抗する間もなく、俺たちは彼の持つ筆の中へと吸い込まれてしまった。


気がつくと、俺たちはキャンバスの中に小さく描かれ、身動き一つ取れなくなっていた。


「エンペラードラゴンもドラゴンテイマーも、大したことありませんね」


嘲笑う兎の獣人の頭から、魔族の角が生えていた。


俺たちは、魔族の罠にはまってしまったのだ。


そのことに気づいた時には、もう手遅れだった。

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