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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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すべきことと、何気ない日常

「ラルク、これからどうする?」


 アウラはネイサを一瞥してから、俺に尋ねた。


「魔力を封じた上で、空飛ぶ島で保護する。まだ何か聞き出せるかもしれないからな」


 その後のことまでは、まだ考えていない。だが、いずれは人魚たちに引き渡して、判断を仰ぐつもりだ。


 こいつに罰を与えるかどうかは、被害を受けた人魚たちが決めるべきだろう。


「そいつを殺さないのですか?」


 人魚の一人が、憎しみのこもった目でネイサを睨みつける。


「今はな。まだ聞きたいことがある。その後は好きにしろ」


 俺がネイサを抱き上げると、人魚たちは険しい表情でこちらを睨んでいた。


 俺がすぐに罰を与えようとしないことを、快く思っていないのだろう。


 それも無理はない。仲間を殺されたのだから、当然の感情だ。


 俺はネイサを連れて空飛ぶ島へと向かい、到着すると、すぐにゴブリンの家を訪ねた。


「兄さん、お久しぶりで! 今日はどんなご用事でこちらに?」


「こいつを看病してやってくれ。話せるようになったら、テオドールに伝えてくれ」


 そう言って、俺はネイサをゴブリンの家のソファに寝かせた。


「お任せください! ミアさんに連絡して、薬を持ってきてもらいますからね。それにしても、このままだと寒いですかね?」


 ゴブリンは一度、家の二階へ上がると、毛布を持って戻ってきた。


「魔力は封じてあるが、変な真似をしたら拘束しても構わない。身の危険を感じたら、すぐに逃げろ」


「ちょ、ちょっと、そんなに危ない子なんですか? あっ、お腹が痛い。他人の看病なんてできないくらい痛いです〜」


 ゴブリンは腹を押さえながら、ちらちらとこちらの反応を窺っている。


 どうやら仮病に違いない。


 俺は思わず鼻で笑った。


「じゃあ、頼んだからな」


「に、兄さん!! そんな殺生な!」


 背後から聞こえてくるゴブリンの悲鳴を聞こえないふりをして、俺は家を後にした。


 そのまま島の中央へ向かい、辺りを見渡す。


 麦やカボチャ、ジャガイモにニンジン。畑は以前よりも広がり、林檎やブドウの木も増えていた。


 島の中央にある池では、魚が水面を跳ねている。


 鯉だろうか?


 こうして見ると、島も随分と発展したものだ。


 テオドールが島の管理をし、ラズベリルやゴブリンたちが頑張ってくれているおかげだろう。


 ふと空を見上げると、島を守る結界が以前と変わらず、淡い光を放っていた。


「あれは、お前だったのか?」


 俺は自分の中に宿る勇者サキの魂に語りかけた。


 返事はない。


 だが、ほんのりと照れくさそうな、何とも言えない感覚が伝わってきた。


 どうやら、それが答えらしい。


 サキが島を守る結界を張ってくれたと思っていいのだろう。


 島の皆の様子をもう少し見て回りたかったが、アウラたちを待たせている。


 俺は後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にするのだった。


アウラたちの元に戻ると、煌びやかな衣装を身にまとった人魚が、アウラに深々と頭を下げていた。


 周囲にいた他の人魚たちも、それに倣うように頭を下げている。


「アウラ、何かやったのか?」


「何もしてないぞ。アウラがエンペラードラゴンだと分かったら、偉い人魚がやって来て頭を下げてきたんだぞ」


 アウラはつまらなそうに答えた。


 人魚の国のお偉いさんに頭を下げられたところで、アウラは嬉しくもないのだろう。それに、何より腹が膨れるわけでもない。


 そんなことを考え、俺は小さく笑った。


「エンペラードラゴン様の契約者、ラルク様ですね。我が国を救っていただき、心より感謝申し上げます」


「我が国というと、あんたが人魚の国を治める女王か?」


「はい。このシュッフィの国を治めております、メルルーサと申します。私に力があれば、あのような魔族を近づけることもなかったのですが……」


 メルルーサは申し訳なさそうに目を伏せた。


「脅威は退けた。ここから国を立て直すのは、あんたの役目だ。ネイサに立ち向かえなかったことを後悔しているなら、これからの行動で名誉を挽回すればいい」


「……はい!」


 俺の言葉を噛み締めるように、メルルーサは力強く頷いた。


「もう、俺たちに用はないな?」


 そう言って立ち去ろうとした俺を、メルルーサが呼び止めた。


「ささやかではありますが、今回のお礼です。どうかお受け取りください」


 そう言って、彼女は青い宝石のついたネックレスを俺に手渡した。


「アウラ様には、こちらを」


 今度は、古びた金貨を数枚取り出し、アウラに差し出す。


 アウラはつまらなそうな顔をしながらも、それを受け取ると、俺とイリアの懐にしまい込んだ。


「聖女様には、こちらをお受け取りください」


「ありがとうございます」


 イリアはくすんだ金色の十字架を受け取ると、大切そうに袋へしまい込んだ。


「あなた方に、海の女神の祝福があらんことを……」


 メルルーサは祈りを捧げる。


 やがて、俺たちの身体が光に包まれ、町へと転移していった。


「皆で何やってたのよ! 退屈すぎて死んじゃうかと思ったわ!」


 町に戻ると、膨れっ面をしたミーシャが俺たちを待ち構えていた。


「人魚たちを救ってたんだよ」


「ふーん……」


 ミーシャは鼻をひくつかせると、俺たちの匂いを嗅ぎ始めた。


「確かに海の匂いがするわね。怪我はしなかった?」


 そう言って、ミーシャは心配そうに俺の手や足を確認する。


「何ともないよ」


「なら、良かった。イリアも大丈夫?」


「ええ。ラルクさんとアウラさんがいたおかげで、無事でした」


 それを聞いたミーシャは、安心したように満面の笑みを浮かべた。


「皆、頑張ったみたいだから、私が何か奢ってあげるわ!」


「じゃあ、ミーシャにプリンを奢ってもらうぞ!」


「アウラは甘い物とお肉ばっかりなんだから。まあ、いいわ。カフェに行きましょう」


 ミーシャは呆れたように肩をすくめた。


 俺たちはカフェに入り、それぞれパンとコーヒーを楽しんだ。アウラは念願のプリンを前に、満足そうに頬張っている。


 そんな和やかな時間を過ごしていると、ふと、先ほどメルルーサから貰ったネックレスのことを思い出した。


「ミーシャ、貰い物で悪いけど、これをやるよ」


 俺はネックレスを取り出し、ミーシャに差し出した。


「わあ! こういうの欲しかったの。ありがとう、ラルク!」


 ミーシャは嬉しそうにネックレスを受け取ると、さっそく首に掛けた。


 その顔に浮かぶ笑顔は、宝石の輝きにも負けないほど眩しく見えた。


「ラルク、見惚れてるのか?」


「あ、いや、そんなことは……」


 無邪気に尋ねてくるアウラに、俺は思わずしどろもどろになって否定した。


 ミーシャは、そんな俺の様子を見て気づいていたのかもしれない。


 俺の言葉が嘘だということに。


 その後もしばらく、俺たちは穏やかな時間を過ごすのだった。

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