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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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騒動と変わる思い

村の中央では組まれた薪が赤々と燃えていた。


炎の周囲にはいくつものテントが張られ、その中には料理の盛られた皿や、湯気の立つスープの鍋が並ぶ長テーブルが何脚置かれている


「村の為に尽力して下さったドラゴン様達に感謝の気持ちを込めて、乾杯!」


長老が木の杯を掲げると、村の魔物達も「乾杯」と声を上げ杯の酒を飲み干した。


「ドラゴン様達沢山食べて、飲んで下さいね」


ハーピーが俺の杯に酒を注ぐ。


「ああ、そうするよ」


俺はそう言いながらスライスされたチーズを口に運ぶ。


「見て。すっかりイリアは人気者になったみたいね」


魔物達に囲まれ談笑するイリアをミーシャは微笑ましそうに眺めていた。


「何たって一番の功労者だからな」


今回の作戦はイリアが頑張ってくれたから成功したと言っても過言じゃない。


「イリアに会うまで聖女様って近寄りがたいイメージだったけど、イリアに会ってから聖女様も普通の女の子何だなって分かったわ」


「イメージだけじゃ分からないもんさ。実際に対話したり触れ合わないとな。ここの魔物みたいに」


魔物の中にも、魔族の手先にならず、ここの住人達のように争いを好まない者達がいる。


もしレガリア王国で兵士を続けていたら、決して理解することはなかっただろう。


ぼんやりと、そんなことを考えていた。


何気なくアウラを見るとあまり、料理を食べていなかった。


「どうした? 腹でも痛いのか?」


「食べ尽くさないように我慢してるんだぞ。ああ、やっぱり無理だぞ! 美味しすぎるのが悪いんだぞ」


アウラは、そう言って近くの鍋を手に取ると口の中にスープを流し込む。


そして、焼いた川魚を手掴みで食べ始めた。


「お、おい!」


「はは、大丈夫ですよ。まだまだ沢山ありますから」


魔物達は笑っていられるのはアウラの食欲が底なしなのを知らないからだ。


このままだと、村の食糧まで食い尽くしかねない。


「アウラ、我慢できたら次の町で肉食べ放題だ。デザートも良いぞ!」


「肉、デザート!! なら、程々でやめるぞ」


俺の言葉に効果が有ったようで、さっきまで飢えた魔神のようだったアウラが、今度は貴婦人のようにナイフとフォークを使って優雅に食事を始めた。


「ふぅ、これで安心だな」


俺が胸を撫で下ろすとラミアが、俺達を睨んでいる事に気付いた。


「何か用でも有るの? ラルクはあげないわよ」


ミーシャが俺に抱きつきラミアを睨み付ける。


「皆は騙せても私は騙せませんよ。あなた方人間ですね。宴が終わったら、この村から出て行って下さい」


彼女だけは俺達を警戒してるようだった。


こんなお粗末な変装で騙せていたのが奇跡だったといえるだろう


「そのつもりだ。長居はしない」


「賢明な判断ですね。この村の魔物はみんな人間が嫌いなんですから」


そう言ってラミアは俺達に背を向け何処かに行ってしまう。


「何よあれ。本当に失礼ね」


「人間が嫌いなんだから警戒くらいするだろ。もう少ししたら村から出よう」


毛を逆立てて怒るミーシャをなだめる。


その時だった。


一人の魔物が、慌てた様子で長老の元へ駆け寄ってきた。


「家の子供が、どこを探してもいないんです!」


「なんじゃと!」


その声を聞いた瞬間、宴のざわめきが止まった。


「家の子供もです。さっきまで、家で寝てたと思ったのに」


数人の魔物は、不安そうな顔をしながら長老に訴えていた。


「子供だけが消えるとは……。何かあったに違いない。子供達を探すぞ。ドラゴン様達、申し訳有りませんが宴は中止させてもらいます」


「俺達も探してやる。子供達の生きそうな場所は?」


一人の魔物は、青ざめながら答えた。


「もしや、山食いの封印が解けたんじゃ……」


「そんな馬鹿な山食いの封印は後百年は解けないはず」


「その山食いがなんだか知らないが行ってみよう。何かあってからじゃ遅いからな」


俺が促すと長老は山食いを封じた洞穴に俺達を連れて行く。


山食いは巨大な鬼なのだという。


人や魔物を問わずに食べる凶悪な鬼なのだと。


「五百年前に先代の長老が封じたと記されていたのですが、まだ封印は解けないはずなのです。誰かが意図的に封印を解かない限り。こ、これは!!」


洞穴は何かで爆破された後があり、岩と土塊が辺りに散乱していた。


長老の顔から血の気が引いていくのが分かった。


それほど、山食いという存在は恐ろしいのだろう。


だが、俺には今ひとつ実感が湧かなかった。


「早く倒そう。図体がでかいなら、すぐ見つかるだろ」


「と、とんでもない。山食いは、かつての魔王ですら膝を突かせた化け物なのです。それでいて、姿を自在に変えられる厄介な奴なのです。封印の準備をしなければ」


そう言って、長老は俺達を残し村に戻っていく。


「どうしましょうか?」


不安気にイリアは俺の顔を覗く。


「どうするって倒すしかないだろ。やれるだろ、アウラ?」


「もちろんだぞ! アウラ一人でも焼き尽くしてやるぞ」


飯を食ったばかりだからか、やけにアウラは、張り切っている。


俺達が山食いを探しに行こうとした時、先程のラミアが俺達の前に立ち塞がる。


「やはり、人間達は汚い手を使うんですね。山食いを解放したのは貴方達でしょ」


「何言ってるの! そんな事をして私達にメリットなんか無いでしょ」


「手っ取り早く魔物を根絶やしにしたかったんじゃないですか? 良いですか、あの子たちは私の教え子なんです。何かあったら貴方達を許しませんよ」


鋭い目つきでラミアは俺達を睨む。その瞳には、子供達を案じる怒りが滲んでいた。


「こんな所で言い争っても子供達は戻って来ないだろ! 俺達は山食いを探すから疑うなら着いて来い」


ラミアは返事をせず、俺を睨んでいたが道を避けた。


俺は周囲の怪しい魔力を探知しようとしたが、何も感じなかった。


「山食いが魔力を探知されないように何か細工してるんじゃない?」


「面倒だな。それなら、どうやって探すか」


「帽子ですよ、ラルクさん」


イリアが何か思い出したように声を上げた。


「帽子? そうか。魔物の子が落とした帽子を届ける時、帽子に残っていた魔力と同じ魔力を辿って村に着いたんだったな。あの子供の帽子に残っていた魔力を辿れば、子供達の居場所が分かるお手柄だイリア!」


イリアは照れ臭そうに笑う。


帽子に残っていた魔力を思い出し、辺りを探りながら俺は歩き出した。


微かに残る魔力を探っていくと、魔物の子供達が枯葉の上に倒れているのを見つけた。


「みんな、大丈夫? 怪我はない?」


ラミアは子供達に駆け寄ろうとした。


だが、俺は足を止めた。


嫌な予感がする。


さらった子供達を、なぜこんな場所に放置している?


「戻れ! 罠だ。その子供は他の魔物をおびき寄せる為の罠なんだ!」


「え?」


子供に駆け寄った瞬間ラミアは黒い手に掴まれていた。


黒い手は、近くの木から生えていた。


「何よあれ!」


驚くミーシャを意に介せず、木の幹が大きくうねり始める。


枝が腕へと変わり、幹が巨大な身体へと姿を変えていく。

目の前に現れたのは、巨大な鬼だった


「アウラ!」


アウラは俺の声に反応すると飛び上がり、鬼の腹部に強烈な頭突きを食らわせた。


鬼は、思わずラミアを吐き出した。


「う、うう」


ラミアはゆっくりと体を起こした。どうにか無事のようだ。


「ラルク! この鬼意外と弱っちいぞ! 止めを刺していいか?」


俺の答えを聞かず、よろめく鬼に再びアウラが頭突きをしようとすると鬼は大量の煙を放った。


煙が晴れると、そこには、二人のラミアが立っていた。


「え? もしかして鬼がラミアに化けているの」


状況から見てミーシャの言う通りどちらかが鬼で間違いないだろう。


勝てないと分かり、最後の悪足掻きをするとは厄介な奴だ。


「どちらが本物だ?」


「私よ!」


二人のラミアは声の声が合わさる。


普通ならあれこれ質問するのだろうが俺達は、あまりこのラミアの事を知らない。


だが、一つだけ分かっていることがある。


ラミアは、魔物の子供達を大切に思っている。


俺は手の平に魔力を込め、魔物の子供に向けた。


魔物の子供に放つつもりはない。だが、これで分かることがある。


「止めて! 殺すなら私だけにして!」


「よし、お前が本物だ」


俺は笑った。


山食いなら、子供達を庇う理由なんてない。


俺が何をするつもりなのか察した山食いが逃げ出す。


俺は逃げる山食いに向けて、全力で炎の魔力を放った。


「熱いぃいい。馬鹿な、馬鹿な。私は山食いだぞ。こんなただの若造にやられるなどありえん」


山食いは熱さに悶えながら叫ぶ。


「悪いな。ただの若造じゃない。俺は、エンペラードラゴンの契約者のドラゴンテイマーだ」


俺は光弾を撃ち消滅させた。


「五百年も眠っていたから鈍るんだよ」


山食いのいた辺りに俺は言い放つ。


「人間は、嘘つきかと思ってたけど違ったようね」


ラミアは穏やかな笑み俺に向けた。


これで少しでも人間を信用してくれれば良いなと俺は思うのだった。

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