↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
64/96

竜達の楽園

アウラたちを呼んで一旦宿に戻ると、俺は竜の庭園へ行くことを伝えた。


「ラルク、行き方は分かってるのか? アウラも竜の庭園への行き方は知らないぞ」


「一つだけ、心当たりがあるんだ」


 俺は立ち上がると、辺りを見回した。


「ジオ、見てるんだろ! 話がある。来てくれ!」


 俺が叫ぶと、目の前に少年の姿をしたジオが現れた。


「うわ! 誰、この子!?」


 ミーシャが驚くが、ジオはそれを気にする様子もなく、迷惑そうな顔で俺を見る。


「聞いていましたよ。しかし、あなたを特別扱いして竜の庭園へ連れて行くことはできません。竜神王の方々に叱られてしまいますから」


「俺じゃなくて、ドラゴンのアウラが竜の庭園に行きたいと言ったら? 俺はその付き添いだ」


 ジオはしばらく考え込んでいたが、やがて渋々といった様子で頷いた。


「それならいいですけど、あなたの命の保証はありませんよ」


「問題ない。自分の身くらい、自分で守るさ」


 ジオが何やら呪文を唱える。


 すると、目の前に青紫色の靄が現れた。


「ラルク、アウラは別に行きたくないぞ」


「しっ。黙ってろ。後で肉をたらふく食わせてやるから」


「なら行くぞ! 肉だ肉~!」


「現金な奴だ」


 呆れている俺をよそに、青紫色の靄は次第に形を変えていく。


 やがて、それは小さな扉になった。


「人間の世界から帰れなくなったドラゴンを送り返すためのゲートです。一方通行なので、竜の庭園が開かれなければ、あなたは帰って来られません。それでも行きますか?」


「行く!」


 俺は迷わず答えていた。


 もしかすると、俺の中にいる勇者サキの魂も、竜の庭園へ向かいたがっているのかもしれない。


「私も行くからね!」


 ミーシャが俺の隣に立つ。


「危ない場所に、ラルクとアウラだけで行かせられないわ」


「私も行きます」


 イリアも続く。


「竜の庭園にも、救いを求めている方がいるかもしれませんから」


 二人の意思は固いらしい。


「分かった。だけど、二度と戻って来られないかもしれないぞ」


「それくらいの覚悟はしてるわ」


 ミーシャは俺を真っ直ぐ見つめる。


「ラルクと離れ離れになるくらいなら、この世界に帰れない方がましよ」


「わ、私もです」


 イリアも頬を赤くしながら答えた。


「分かった。皆で行こう」


「それでは、準備ができたら扉を開いてください」


 俺は大きく深呼吸する。


 そして、目の前にある扉へ手を掛けた。


 ゆっくりと、ドアを開く。


 竜の庭園では、一体何が俺たちを待ち構えているのだろうか?


俺達がドアを潜ると同時に、ドアは跡形もなく消えた。


「これが竜の庭園?」


 赤、黄色、青など、様々な色の花が咲き乱れている。


 木々には林檎や葡萄などの見慣れた果物が実っている一方で、甘い香りを放つ桃色の、見たこともない果実まで実っていた。


「甘くてほっぺが落ちそうだぞ!」


 アウラは早速、近くの木の実にかじりついている。


「ラルク、見て!」


 ミーシャが足元に咲くバラを指差した。


 するとバラは金色へと変化し、その質感までもが金属そのものへと変わっていく。


「人の世界にはない、珍しい花が咲いてるんだな」


 俺がバラに近付くと、今度は透明がかった青い金属へと変化した。


「鉱石草がオリハルコンに変わるとは、見事じゃのう」


 突然、見知らぬ老人が俺達の背後から声をかけてきた。


「あんたは誰だ?」


 人の姿をしているが、感じ取れる魔力は人間のものとは桁違いだ。


 ただ者ではない。


「竜の庭園の主、マスタードラゴンとだけ言っておこうか」


 老人――マスタードラゴンは、穏やかな笑みを浮かべる。


「鉱石草は、欲望や悪意を持つ者が近づけば枯れ、善意や優しさを持つ者が近づけば、希少な金属へと変わるのだ」


 マスタードラゴンは俺達を見回した。


「合格じゃ、ラルク。そなた達を竜の庭園の正式な客人と認めよう」


 マスタードラゴンが杖で地面を突く。


 すると、大地が大きく揺れ、山のような巨大な城が地面から姿を現した。


 なるほど。


 どうやら俺達が客人に相応しいか、密かに試験をされていたらしい。


「ドラゴン達は城の中にいるのか?」


「いや、ドラゴンというのは気ままな生きものじゃからな。役目のあるドラゴン以外は、森や火山などに住んでおるよ。次元の裂け目に住み着いておる物好きもおるがな」


 マスタードラゴンがそう言うので、辺りを見渡してみる。


 すると、遠くの巣穴からドラゴン達が顔を覗かせ、こちらを見ていた。


 その視線には、警戒と好奇心が入り混じっているように思える。


「あんたに頼みがある」


 俺はマスタードラゴンへ向き直った。


「人間界と竜の庭園を繋ぐ道を開いてくれ」


「……それは聞けぬ頼みだ」


 マスタードラゴンの表情から笑みが消える。


「人間は我らを裏切った。友だの相棒だのと言っておきながら、我らを捕らえ、その力だけを利用しようとした。また、人間が同じ過ちを起こさないと約束出来るか?」


 マスタードラゴンは俺の瞳をじっと見つめている。


 俺の言葉の真意を見逃さないように。


 俺の返答次第では、二度と竜の庭園への道は開かれないだろう。


「約束は出来ない」


 俺は正直に答えた。


「人間にも色々いるからな。だが、そんな人間からお前達を守ってやる。血反吐を吐くことになってもな」


 俺が答えると、マスタードラゴンはしばらく黙っていた。


 やがて背を向ける。


「言葉だけでは信用出来ん。竜の庭園の地下に巣食う、古の魔物を退治してきたら考えてやらんこともない」


 簡単に言ってくれる。


 だが、マスタードラゴンでさえ手を出せなかった相手なのだろう。


「……倒してきてやる」


 俺はマスタードラゴンを見据えた。


「そしたら、竜の庭園への道を開くと約束してもらおう」


「分かった。約束しよう」


 竜の庭園の主なのだから、約束を違えることはないだろう。


 古の魔物がどんな相手なのかは分からない。


 だが、もうやるしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。