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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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箱の中の蛇

飛行船は順調に空を進んでいた。


 風魔法を使える乗組員が風の流れを読み、進路を調整しているらしい。


「いまさらだけど、こんなに大きな船がどうやって空を飛んでいるのかしら?」


 ミーシャは甲板の中央を歩きながら、興味深そうに船を見回している。


「きっと、浮遊魔法の術式が組み込まれた動力を積んで、魔石で動かしているんじゃないか?」


 俺は自分なりに考えて答えた。


 あながち間違いではないだろう。


「お兄さん、それは旧式の飛行船の話だよ」


 突然、近くにいた小太りの男が笑いながら話しかけてきた。


「この船は違うんだ。船自体に術式が刻まれていて、大気中の魔力を利用して飛んでいるんだよ」


「大気中の魔力を?」


「ああ。そのおかげで魔石の消費を抑えられる。運航コストも安くなるから、俺みたいなちょっとした小金持ちでも気軽に乗れるってわけさ」


「へぇー。おじさん、詳しいのね」


「それほどでもないさ」


 男は照れくさそうに笑った。


「いきなり話しかけてすまなかったね。それじゃあ、二人で新婚旅行をゆっくり楽しみたまえ」


 男はそれだけ言うと、何事もなかったように離れていった。


 ミーシャの顔がみるみる赤くなる。


「えへへ私達、新婚さんに見えたのかな」


「そうかもな」


「じゃあさ……新婚さんぽくしようか」


 そう言って、ミーシャは嬉しそうに俺の腕に自分の腕を絡めてきた。


「皆に見られてるぞ」


「良いの、良いの。ラルクは嫌?」


 ミーシャは楽しそうに笑っていたが、ふと不安そうに俺の目を見る。



 俺は答えなかった。


 だが、ミーシャの好きにさせてやることにした。


「ミーシャ、ずるいぞ!」


 突然、アウラが声を上げた。


「アウラもラルクと腕を組むぞ!」


 そう言って、アウラは俺の反対側の腕に抱きついてくる。


「もう! アウラ、空気読んでよ!」


「ミーシャも腕を組んで欲しいのか?」


「そうじゃなくて……!」


「ほら、これで良いのか?」


 アウラは俺から離れミーシャの腕に自分の腕を無理やり絡めた。


「……これじゃ全然、新婚さんぽくない」


 ミーシャは、はあ、と大きなため息を吐いた。


夕食を終え、部屋で休んでいると、船内から悲鳴が聞こえてきた。


「何かしら?」


「俺が見てくるから大人しく待っててくれ」


 ミーシャ達を部屋に残し、悲鳴の聞こえた方へ向かった。


 そこには、駆けつけた乗組員達が集まっていた。


 そして、その先にあったものを見て、俺は足を止めた。


 そこには女性の石像があった。


 まるで何かから必死に逃げようとしているかのような姿勢。


 その顔には、ただの彫刻とは思えないほど切迫した表情が浮かんでいた。


「何があった?」


 俺が近くにいた乗組員に尋ねる。


「それが、分からないんですよ」


 乗組員は困惑したように首を傾げた。


「悲鳴が聞こえたので駆けつけたら、この石像があったんです。誰かが置いたんでしょうか?」


 その時、一人の乗組員が石像の顔をじっと見つめた。


「この人、乗客の作家アビー・クラレンスさんにそっくりじゃないか?」


「え?」


「まさか、生きたまま石像にされたんじゃ……」


「馬鹿なことを言うな!」


 別の乗組員が慌てて遮った。


「人間が石像になるわけないだろ!」


 そう言い放ったものの、その顔には隠しきれない怯えが浮かんでいた。


 誰も口を開かなかった。


 ただ、目の前の石像だけが、何も語らずにそこに立っていた。


「ちょっと待っててくれ」


 俺はイリアを呼び、石像を調べてもらった。


「これは、石化された人です。死にはしませんが、早く治した方が良いかもしれません」


 それを聞いた乗組員の一人が、小さな悲鳴を上げた。


「治せるのか?」


 イリアは首を横に振ると、重々しい口調で話し始めた。


「術者が簡単に石化の魔術を解除できないよう、細工をしているようです。無理に治そうとすれば、私まで石化してしまいます。術者本人に術を解かせるか……最悪の場合は、術者を倒すしかないでしょう」


 俺は魔族の仕業なのかと考えた。


 だが、最初からそうだと決めつけてしまえば、犯人を見落とす可能性もある。


「ありがとう、イリア。後は俺達に任せろ。あんた達はアビーの部屋と、彼女と接触した人達を調べてくれ」


「分かりました!」


 二人の乗組員はすぐに駆け出した。


 しかし、一人だけは怯えた顔でその場に立ち尽くしている。


「あのぅ……。アビーさんの部屋に行くの、一緒に行ってくれませんか? 何かいたら怖いじゃないですか」


「仕方ないな」


 俺達は乗組員と一緒に、アビーの部屋へ向かうことにした。


 すると、イリアも俺達の後についてくる。


「私も行きます。何かお役に立てるかもしれません」


「その代わり、しっかり用心しろよ。何がいるか分からないんだからな」


「はい」


 こうして俺達は、石化したアビーの謎を探るため、彼女の部屋へ向かった。

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