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最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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予期せぬ再会

「誤算。なんたる誤算……。責任持って妖精の王辞めるわ」


「なりません。妖精の王に任命されてから百年は王の座を下りることは許されないと知っておられるはずですが」


 落ち込むラズベリルの側で男は冷たく言い放つ。


「うう、ジェンドは冷たいんだから」


 これだけ情けない妖精の王がいるものかと俺は呆れていた。


「帰っていいのか?」


「待って帰らないで。せっかくエンペラードラゴンと、契約者のドラゴンテイマーの貴方が来てくれたんだから頼みたい事が有るの。頼み聞いてくれるなら何でもお願い聞いてあげるから。ね、良いでしょ?」


 ラズベリルは必死にウインクを繰り返しながら、俺に頼み込んでくる。


 その姿があまりにも哀れで、俺は仕方なく頼みを聞くことにした。


「はあ……。何をすれば良いんだ?」


「ありがとう! やっぱりラルクは素敵ね。あ、アウラ様も劣らないくらい素敵ですよ。頼みというのは、希少な星空草を踏み荒らす魔物を退治して欲しいの」


「魔物退治ならお前がやれば良いじゃないか?」


「う! ……それは」


 ラズベリルは言葉を詰まらせた。


「ラズベリル様は一度、その魔物に負けているのです」


「ジェンド! それは言わない約束でしょ!!」


 ラズベリルがジェンドに飛びかかるが父親とじゃれる子供にしか見えなかった。


「え、妖精王が負けるって相手は相当強いんじゃない! そんな相手とラルクを戦わせる気?」


 ミーシャは、ラズベリルに幻滅したような表情をしていた。


「それ以上言うなミーシャ。俺が魔物を倒したら、暫く空飛ぶ島で働いてもらうが良いか?」


「何でもやってやるわよ。私にはそれしかできないから」


 ラズベリルは悔しそうな顔をしていた。


 妖精王としての力では敵わなかった。ならば、自分にできることをするしかないのだろう。


 目的のためなら、プライドも捨てるのか。

 俺は初めて、ラズベリルに好感を抱いた。


 ジェンドに案内され、俺達はラズベリルの住処から西へしばらく進んだ先にある平原へやって来た。


「こんな場所に潜んでいるのか? 隠れる場所なんかないじゃないか?」


 草も生えているが、どれも足首程度の高さしかなく、身を隠せる場所はない。


「敵は透明なのです。ラズベリル様ですら魔力を感知できませんでした」


「もっと早く言いなさいよ! 透明な相手とどうやって戦えばいいのよ」


「敢えて攻撃を受けるか。ちょっとピリッとするぞ」


 そう言うと、俺はミーシャに雷の魔力で作った障壁を全身に纏わせた。


「ふふ、あ、すみません」


 イリアが笑うのも無理はない。


 ミーシャの全身の毛が、縞模様ごと逆立っていたからだ。


 俺も笑いそうになるのを必死にこらえていた。


「……気にしないで。ラルク、さっさと魔物を倒しましょう」


 ミーシャの瞳は怒りに燃えていた。


 ミーシャのためにも、魔物を早く見つけるか。


 イリアにも雷の障壁を纏わせ、俺達は呑気な旅人を装う。


 しばらく歩いていると、何かの気配を感じた。


 何もない空間から伸びる細い腕が、ミーシャの額に触れようとしていた。


 ミーシャも匂いで気づいていたようだったが、俺は目配せをして気づかないふりをさせた。


「きゃあ!」


 細い腕がミーシャの額に触れた瞬間、どこかで聞いたような声が響いた。


 俺は腕を掴むと、本体が姿を現す。


 それは、俺が以前倒したリリスだった。


 致命傷を与えたはずなのに姿を消したので、もしやとは思ったが生きているとは。


「ひ、ひい! 助けて」


「被害者ぶるのはやめろ。また、どこかで暴れ回るつもりだったのか?」


 震えるリリスの首元に冷気で作った剣の先を押し当て、止めを刺そうとする。


「貴方は私を知っているの? お願い、私は誰? 貴方達とはどういう関係だったの?」


「ふざけているのか?」


「お願い、何も知らないの。教えて。私のことを」


「ラルクさん、相手は魔族ですが、話だけでも聞いてみては?」


 イリアが言うので、俺は剣を地面に突き刺し、話を聞くことにした。


 命が惜しくて演技をしているようには見えなかった。


 話を聞いてみると、リリスはいつの間にかここへ辿り着いていたのだという。


 腹部の傷を治すために空間に隠れ、通りすがりの人々から魔力を吸っていたらしい。


「ジェンド、こいつがラズベリルを倒した相手か?」


「いえ、ラズベリル様を倒したのは魔族ではなく魔物です。確か……茶色かったような」


「だから早く言いなさいよ!」


 ミーシャはジェンドに飛び掛からんばかりに叫ぶ。


 リリスが犯人ではないなら誰が犯人なのだろうか。


「あそこを見て見ろ」


 少年姿のアウラが指差す先には、小さな泥の人形がいた。


「ただの可愛い人形ってわけじゃ無いわね……。気を付けて」


 人形は周りの土を集めて、巨大な泥の巨人になっていた。


「ラルク闇雲に攻撃したら駄目だ。あの人形自体を壊すんだぞ!」


「了解! アウラ火を吐いてくれ」


 アウラが火を吐くと、泥の巨人の表面が焼け固まり、身動きが取れなくなった。


 人形のいた辺りを、俺は全力で殴り付ける。


 しかし、人形は砕けず地面に潜ろうとした


「させるか!」


 完全に地面に潜る寸前、人形目掛けて、俺は全力で拳を叩き込んだ。


 人形は耳をつんざくような断末魔をあげて、塵のようになって消滅した。


「お見事です」


 ジェンドは拍手をする。


 これで終わりなのだろうか。


 俺は一抹の不安を抱きながらリリスを連れてラズベリルの元に戻るのだった。

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