ep.2-93 基礎講習 First part
私は木剣を右斜め上方に振り切った状態から剣を納めた
「(マティア)
ありがとうございました。」
私は立ち去ろうとしたが
ブランドンさんはハッとして
間髪入れずに私に問いかけてきた
「(ブランドン)
待ってくれ!
今の手合わせについて教えてくれ!」
それに合わせて周りにいた海兵や
ブライアン達も詰め寄ってきた
うっ・・・
逃げられそうもない
遅れて提督も寄ってきた
「(グレイ)
マティア君!
是非若者たちに
君の知恵を与えてもらえないだろうか
宜しく頼む!」
完全に逃げ道を失った
しょうがないか・・・
「(マティア)
分かりました。
それじゃあ・・・
誰か可能な限り大きい紙を用意してくれませんか?」
「(エドワード)
私が用意しましょう。
少しお時間をください。」
「(グレイ)
お願いします。」
少しすると
エドワードさんが
縦1m ×横4m 程の紙を持ってきてくれた
「(エドワード)
お待たせしました。
この大きさで問題はありませんか?」
「(マティア)
大丈夫です。
ありがとうございます。
提督
大事な船なのは承知しているのですが・・・
この紙をあそこに貼り付けてもらう事はできますか?」
「(グレイ)
分かった。
お前たち
鋲を使って貼り付けろ!」
「(マティア)
まずは始める前に・・・
ブライアンとウォーレン
2人は一番前のここに座ってくれ。
他の人たちは
全員がちゃんと紙が見えるように
より前にいる人は座ったりして
自分より後ろにいる人の邪魔にならないように。
それから
分からないことがあったら
手を挙げて発言権を得てから
質問するようにしてください。
一通り話したら
ちゃんと答えるタイミングを作りますので。
分かりましたか?」
「(一同)はい!!!」
私は
魔法の袋から
筆跡が少し太くなる筆を取り出して
紙の前に立った
「(マティア)
それじゃあ・・・
先に技術的なものを教えるのではなくて
まずは僕からいくつか質問します。
あなた達海兵
特にマクナマラ辺境伯海軍の存在意義と
あなた達に何が求められているんですか?」
海兵たちは
単純に剣術の講義をしてくれると思っていたと所に
まさかの質問が飛び出したことにより
キョトンとしてしまった
ここで提督が挙手した
「(マティア)
どうぞ提督。」
「(グレイ)
私達の存在意義は
マクナマラ辺境伯領民の
盾となり
剣となることだ。」
「(マティア)
では伺います。
今
あなた達はその役目を果たせていますか?」
海兵たちの半分くらいが
悔しいもの
恥ずかしいものと
下を向く者がいた
「(マティア)
もちろんのこと
その役目を果たせていると
自負出来る方もいるでしょうが
まだ中途半端だと思っている方もいると思います。
特に後者の中で
悔しいと思っていない人に忠告します。
生き方を変えるのは早い方が良いですし
命に関わる職場ですので
変えることが出来ないのであれば
早めに引退することをお勧めします。」
私は深呼吸して問いかけた
「(マティア)
その盾となり剣となるには
どうしたらいいですか?」
少しの間静寂で包まれたが
ブランドンさんが挙手した
「(ブランドン)
戦闘で相手に負けないって事じゃないか?」
「(マティア)
成る程。
では負けない為にどうしますか?」
「(ブランドン)
剣術や魔法を練習して
強くなるじゃないか?」
「(マティア)
強くなるの定義があやふやですね。
何に対してが重要です。
『強さ』とは何ですか?
ただ単に
暴力を振り撒きたいだけなら
二流以下です。
軍人として
何を守らなければならないか
強さとは何か
それ以外にも色々と分かっていないと
目標を定められずに
イタズラに時間を浪費するだけになってしまいます。」
ここで提督が挙手した
「(マティア)
どうぞ提督。」
「(グレイ)
では聞くが
君の考える強さとは何かな?」
「(マティア)
私の考える『強さ』とは
いくつか定義があります。
まず
1つ目は
個の戦闘力の高さです。
簡単に言えば魔法や剣術といったものになります。
2つ目は
その戦闘力を養う為に
努力や犠牲を払う事が出来るかです。
3つ目は
個の能力を実際に現場で
しっかりと発揮できるかになります。
ですが・・・
1つ目と3つ目は
ある程度
私や上司が
技術を提供することにより
その能力を伸ばすことが出来ますが
2つ目は
本人に
その気が無ければ出来ません。
ですので
今回は
簡単になりますが
1つ目と3つ目のことについて
皆さんと討論したいと思います。」
私は要点を紙に書きながら
全員に説明していった
「(マティア)
皆さんの物事に対する考え方を
1段階引き上げたいのですが・・・
そうですね・・・
この艦での剣術の練習は
どういう流れでやっていますか?」
みんなが目を見合わせて
その視線たちが最終的に行き着いた
提督が答えた
「(グレイ)
剣を実際に振ったりした後に
手合わせをして終わりかな。」
「(マティア)
そのあとに何かしていますか?」
「(グレイ)
特にこれと言ったものは無いかな。
後片付けをしてそれで終わりかな。」
「(マティア)
ハッキリ言って・・・
それではダメです。
これからは練習の後に
全員でその日の練習について
お互いに情報交換してください。
あれが良かった
あれが悪かった
ああした方が良いのか
ああしない方が良いのか
考えられる事や
感じたことを
お互いに隠すことなく
話し合ってください。
出来ますか?」
「(一同)はい!!!」
ここで提督がつづけて挙手した
「(マティア)
どうぞ提督。」
「(グレイ)
どうしてその必要があるか
教えてもらえるかい?」
「(マティア)
皆さんは
海の上で戦う海兵ですよね?
1対1というよりは
全員で力を合わせて
個ではなくて複数で戦う人たちなので
お互いの
強み
弱み
をしっかり把握して
部隊としての
弱点を減らして
強みを増やす事を
考えた方が良いからです。
最終的には
仲間との連携が向上し
あなた達の生存確率が向上します。
他に質問は有りますか?」
全員の顔つきが真剣になっていく
「(マティア)
では続けます。
全員に共有してもらいたいものがあります。
疑問に思ったことを
絶対に疑問のまま終わらせないでください。
その疑問は他の人にとっても
遅かれ早かれ疑問になります。
『知らない』は
恥ずかしいことではありません。
最初は誰も知らないし
知らない事は
自分自身の成長余地だと思うようにしてください。
まだ先があると思えれば
その分
強くなれます。」
ここにいるメンバーの目つきが更に鋭くなっていくのを
私は感じ取った
「(マティア)
それじゃあ・・・
さっきの手合わせについて話す前に
更に基礎的な事を話しましょう。」
大の大人が食い入るようになってきている




