ep.2-91 その戦い方はあまり覚えて欲しくない
私とエドワードさんが
港へ帰ってくると
ブライアンとウォーレンは
海兵たちと一緒に剣術の練習をしていた
近くにいた海兵に聞くと
2人だけじゃなくて
クエスとヘイリーも厨房で
お菓子作りをしていると教えてもらった
海兵さん曰く
4人とも
今日一日なかなか頑張っていたとのことだった
「(マティア)
2人とも
かなり頑張っていたようだけど
海兵の皆さんから
得られるものはあった?」
「(ブライアン)
はい!
ブランドンさんから
横薙ぎの振り方と
連続して使える技を
教えてもらいました。」
「(ウォーレン)
僕たちが見たことが無いような連続技で
見様見真似だけど出来るようになりました。」
「(マティア)
そうか・・・
じゃあ・・・
今日の成果を試してみるかい?」
「(ブライアン)
・・・
ブランドンさん
試してもいいですか?」
「(ウォーレン)
お願いします!」
「(ブランドン)
俺は構わないが・・・
提督・・・いいですか?」
「(グレイ)
試してみるといい。
成功も失敗も
経験できる機会は
大事だからな。」
「(ブライアン・ウォーレン)
ありがとうございます!」
「(マティア)
2人とも
今日はどの武器を使って練習したの?」
「(ブライアン)
この木剣です。」
「(マティア)
それなら・・・
2人一緒に掛かってきていいよ。」
「(ウォーレン)
いいんですか?」
「(マティア)
構わないよ。」
「(ブランドン)
2人とも
その料理人に一泡吹かせてやりな!」
「(海兵③)
そうだ!
そんな天狗野郎
やっちまえ!」
提督は腕組みをして
様子を窺っていた
私は
右足を少し前に出して
木剣を右手にだらっと持ち
特に構えることもなく
2人と相対した
私から見て
左斜め前にウォーレン
右斜め前にブライアン
2人とも剣道の正眼に近い構えから
打ち込むタイミングを見計らっていた
先に動いたのはウォーレンだった
剣をゆっくりと振り上げながら間合いを詰めて
最後の一歩の踏み込みで
切っ先がギリギリ届く場所で
急激に速度を上げて
剣を振り下ろした
私は瞬時にバックステップで距離を取って
躱したが
そこにはすでに
ブライアンが動きを予測して
私の右脇腹目掛けて横薙ぎを入れていた
私は木剣の切っ先を下方向のままで受け止めて
視線をウォーレンに向けると
空振りした木剣の遠心力を利用して
体を無理やり縦回転させて
更に木剣を連続で振り下ろして
映画で見るような大技を繰り出していた
私は同じようにバックステップで躱したが
気付けばブライアンは
ウォーレンの技の横薙ぎバージョンで
更に斬撃を加えてきた
今度は
斬撃を受けずに同じように躱して
距離を取った
それを見ていた海兵たちは
自分たちが教えた
連携攻撃を躱されたことに
悔しそうにしていた
「(ウォーレン)
くっそー!
なんで攻撃が当たらないんだ!?」
「(ブランドン)
どうやったら
毎回
分かりきった様に反応できるんだ?」
「(マティア)
うーん・・・
いい連携だけど・・・
もう少しだったね。」
5mぐらいの間合いから
今度は
ブライアンから攻撃が始まった
反撃されるのを度外視して
大きく踏み込んで突きを繰り出してきた
左側に視線を少しだけずらすと
ウォーレンは
木剣を大きく右に振りかぶりながら
私の左側へと大きく踏み込んできた
私は
左半身を後方へとずらしながら
ブライアンの突きを
木剣で軽く左方向へと受け流しつつ
ウォーレンが繰り出した
横薙ぎを
3本の剣が1点で
クロスするようにしてに受けた
間に挟まれたブライアンの剣は
両方向から衝撃が加わり
ブライアンは手を滑らした
その瞬間を見逃さず
私はブライアンの剣を
私の左後方へ向けて弾いた
ウォーレンは渾身の一撃を入れたが
その反動で剣が跳ねて
仰け反るように体のバランスを崩していた
私は軽く踏み込んで
切先をウォーレンの喉元に突きつけた
「(グレイ)
そこまでだ!
勝負は決した。
普通の雑兵相手なら
何とかなったかもしれんが
2人とも頑張ったが
相手が悪かったとしか言いようがないな。
結果にめげずに頑張りなさい。」
「(ブライアン・ウォーレン)
はい!
マティアさん
ありがとうございました!」
「(マティア)
こちらこそ
久しぶりにドキッとしたよ。
提督
1つお願いがあるのですが・・・」
「(グレイ)
何かな?」
「(マティア)
海兵の方々から
今の手合わせの
意見か感想を聞きたいのですが。」
「(グレイ)
良いだろう。
お前たち
見ていてどうだった?」
「(ブランドン)
いやー・・・
ここまで通用しないとは思わなかった。
すまない。」
「(ブライアン)
いいえ。
今は出来ることを増やしたかったので
謝らないでください。」
「(ブランドン)
マティア君に
色々と聞きたいんだが・・・」
「(マティア)
はい。」
「(ブランドン)
昨日言っていた
動作の話しで何となく
2人の動き出しが読めるのは分かるが
どうして
木剣が1点で重なる場所が分かったんだ?」
「(海兵③)
俺もだ。
あんな神がかり的に
あの一瞬を作り出すなんて
どんな神技を使っているんだ?」
「(マティア)
それは・・・
2人の剣の間合いを
ある程度確認していたからです。」
「(ブランドン)
2人から
今日の練習中に出会いとか聞いたが
そんなタイミング
いつあったんだ?」
「(マティア)
昨日の素振りをしていた時です。」
「(ブランドン)
たったのそれだけか?」
「(マティア)
はい
それだけです。
さらに言うと
昨日一緒に練習をした
海兵の方々全員の間合いも
分かっています。」
「(海兵③)
おいおい
俺たちも丸裸にされているのか?」
「(マティア)
はい。
僕の身体能力から言うと
ブライアンとウォーレンは
僕から3m以上の距離なら怖くはありません。
その内側に入ってくれば
少し身構えるぐらい・・・
2m以内なら
防御とか何かしらの動きをしますかね。
海兵の皆さん相手なら
ざっくり4.5mと3mぐらいで
ブランドンさんは
5mと4mですかね。」
「(ブランドン)
どうして俺だけ?」
「(マティア)
昨日見た感じで
提督以外で
1番強いと思うからです。」
「(ブランドン)
嬉しい事を言ってくれるが
そんなことを
サラッと言われると
君の事を恐ろしくも思うよ。」
「(グレイ)
簡単にバレてしまっているな。
マティア君
君から見た
2人の動きはどうだったかな?」
「(マティア)
昨日より成長が見れたので
良かったと思います。」
これを聞いた2人は少し嬉しそうな顔をした
「(マティア)
ただ
僕が言った事を
もう少し
気に留めておいて欲しかったですね。」
「(グレイ)
それはどういったところかな?」
「(マティア)
正直言って
捨て身の戦い方は
まだ覚えて欲しくなかったからです。」
「(グレイ)
何故かな?」
「(マティア)
彼等は
まだ基本が出来ていないという事もそうですが
それ以上に
私達に予想ができない程の
将来があるからです。」
「(グレイ)
確かに君の言う通りだな。」
「(マティア)
捨て身の戦い方は
一見カッコよく見えますが
使う人の命を賭ける物になります。
勿論
戦いだから当たり前なんですが
まずは
可能な限り安全に戦うことを
覚えて欲しいんですけどね・・・」
「(ブランドン)
大した先生だよ。
なあ
俺から1つお願いがあるんだが。」
「(マティア)
何でしょう?」
何か嫌な予感がする




