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ep.2-84 酔っぱらわないの?

グレイ提督が

食事会の参加者が揃ったのを確認して

挨拶を始めた


「(グレイ)

 本日もお集まりいただき

 誠にありがとうございます。

 マティア君と

 本艦の烹炊兵たちが

 先日の食事会で

 マティア君が話していた

 ビーフシチューを用意してくれました。

 ご堪能していただければ

 幸いです。

 では

 乾杯!」

「(一同)乾杯!!」


乾杯の音頭に合わせて

前回同様

エドワードさんたちが

食事の配膳を始めた


「(エドワード)

 メインのビーフシチューから失礼致します。

 スプーンとフォークで

 そのままご賞味ください。

 お好みで

 黒パンとご一緒にお召し上がりください。」


参加者がスプーンとフォークを

手に取り食事を始めた


「(暴)

 久しぶりのビーフシチューじゃのぅ。

 存分に楽しませてもらおうかの。」


暴れ姫が

スプーンをシチューの肉に

差し込むと

力を入れずにいとも簡単に

肉がほろほろと(ほぐ)れた


「(暴)

 これじゃこれじゃ。

 肉がこんな風に

 柔らかくなっているのも不思議じゃが

 何といっても・・・」


普段肉料理を食べるときは

ナイフとフォークで食べる習慣がついている面々は

目の前で起きている

ナイフを使わずに

肉が(ほど)けていく様に驚いた


暴れ姫は解した肉とシチューを

口へと運んだ


「(暴)

 相変わらず

 いい味をしているのぅ。

 これが

 赤ワインを大量に使っているなぞ

 信じられんのう。」

「(ブライアン)

 そうなんですか?

 僕たちが食べたら

 酔っぱらったりしませんか?」

「(暴)

 大丈夫じゃ。

 のう

 マティアよ?」

「(マティア)

 ああ

 大丈夫だよ。

 長時間

 熱を加えながら煮込んでいるから

 その間にアルコールも一緒に

 蒸発しているから

 酔っぱらうことは無いから

 心配せずに食べてくれ。」

「(ブライアン)

 分かりました。

 では・・・

 いただきます。」

「(マティア)

 暴れ姫が言うように

 料理なんていうものは

 何が起こるか分からない。

 案外へんてこな物が

 美味しかったりして

 見てくれが良い物が

 不味かったりするものだよ。」

「(暴)

 それよりもマティアよ

 いつも通りおかわりは

 できるんかえ?」

「(マティア)

 問題ない。

 それなりの量を作ってあるから

 安心しておかわりしてくれていい。」


子供たちは

あまりにもの美味しさに

既に我を忘れて

ビーフシチューをかきこんでいる


「(グレイ)

 では

 私もいただくとしよう。」


提督は

その美味しさに

体に電気が走ったようだ


「(グレイ)

 素晴らしい!

 本当にうちの烹炊兵たちも

 これが作れるようになったのかい?」

「(マティア)

 勿論です。

 材料の下拵えから

 全部教えてありますので

 作るのに時間が掛かってしまいますが

 確実に作ることが出来ます。

「(サンドラ)

 君は本当にすごいな。

 是非

 我が王にも提供してもらいたいものだ。

 間違いなく喜んでくれるだろう。」


空っぽになったお皿に

次々とおかわりを注いでいく


「(クエス)

 本当に美味しい!

 マティアさん

 私でもこれを作ることができますか?」

「(マティア)

 大変だけど出来るよ。」

「(クエス)

 どれぐらい大変なんですか?」

「(マティア)

 最初から最後まで

 手際よくやって・・・

 大体丸2日かな。」

「(クエス)

 そんなに大変なんですね。

 私にはちょっと無理そう。」

「(マティア)

 確かにそうかもしれないけど

 仲間で分担してやれば

 頑張れば何とか出来るとは思うよ。

 試しに烹炊兵の人たちと一緒に

 作ってみたらどう?

 と言っても

 烹炊長

 お願いしていいですか?」

「(ギャレー)

 私は構わないよ。

 フランツと一緒に

 コンソメスープを作ってもらうのもそうだし

 良ければ

 おうちのメイドさんを呼んできてもらっても構わないよ。」

「(クエス)

 でもマティアさん

 私はお勉強もしないとダメですよね?」

「(マティア)

 そうだなぁ・・・

 ただ

 毎日勉強も疲れると思うから

 合間合間に料理をしたりして

 気晴らしをしても良いと思うし・・・

 みんな頑張ってくれたから

 明日は

 お休みにしようかなと思っているし。」

「(クエス)

 本当ですか?

 やったー!」

「(ウォーレン)

 マティアさん

 いいんですか?」

「(マティア)

 良いも悪いも

 頑張った対価を子供に与えるのは

 大人の責任だからね。」

「(暴)

 お主は本当に子供には甘いのぅ。

 じゃから

 エルノーもお主に懐いたんじゃろうな。」

「(ブライアン)

 アテラ様の息子さんですか?」

「(暴)

 そうじゃよ。

 歳は

 おぬしらの少し下くらいじゃの。

 そやつが一時期家庭教師をしてくれたおかげで

 私に似合わず

 息子の学力がビックリするくらい伸びたからのぅ・・・

 お前さん達は

 この男が勉強の先生になってくれて

 とても恵まれているぞよ。」

「(マティア)

 お前が勝手に俺の株を上げてどうするんだよ。

 エルノーは

 単にお前以上に頭が切れるだけで

 俺の力なんて大したものじゃない。

 そうだ言い忘れてた。

 みんなお腹がいっぱいになってきて

 最後のおかわりの時は言ってくれ。

 ちょっと違うものを用意してあるから。」

「(ヘイリー)

 マティアさん

 私

 次の1杯でお腹一杯かも。」

「(マティア)

 分かった。」


私は

少し深めのお皿に

ビーフシチューを注いでヘイリーに提供した


「(ヘイリー)

 マティアさん

 お皿が変わっただけにしか

 見えないんですけど・・・」

「(マティア)

 ああごめん。

 それだけじゃなくて・・・」


私は

ドーム型に焼いたパイをお皿に被せた

お世話になっております

KF◯さん


「(マティア)

 はい

 これで完成。」


見慣れないパイが出て生きて

何だ何だとヘイリーの方に

視線がくぎ付けになった


「(マティア)

 ヘイリー

 そのままじゃ

 ビーフシチューを食べられないから

 パイをスプーンで割ってもらって

 割ったパイとビーフシチューを

 一緒に食べてもらっていいかな。」

「(ヘイリー)

 分かりました。」


彼女の経験上

食べたことのある物だったので

この間の炭酸飲料みたいに

躊躇することなく

口の中へとスプーンを運んだ


「(ヘイリー)

 美味しいー!

 サクサクのパイ生地と

 ビーフシチューって

 こんなに合うんですね。」

「(マティア)

 それは良かった。

 パイ生地は

 1人1杯分しか用意できなかったから

 まだ余裕がある人は

 ビーフシチューと黒パンで

 お願いします。」

「(グレイ)

 ビーフシチューと黒パンの組み合わせでも

 これほど美味しいのに

 そんな隠し玉まで持っているとは・・・

 君の引き出しは

 あとどれほどあるんだい?」

「(マティア)

 そうですね・・・

 そこそこあるとは言っておきます。

 自分でも

 有用な物と

 そうでない物の

 区別がつかない時がありますし

 たとえ引き出しが

 たくさんあったとしても

 みんなの為にならない可能性もありますし

 数が多ければそれだけ知識量は増えますが

 使うタイミングは減ってしまいますし

 記憶の引き出しの開けた回数が少くなくなれば

 思い出すまで時間が掛かってしまいますし・・・

 時と場合によるといったところでしょうか。」

「(暴)

 くっくっく

 相変わらずあんさんはすごいのう。

 平然とまだ先があると言いおった。」

「(グレイ)

 君が敵じゃなくて良かったよ。」

「(サンドラ)

 仰る通りですね。」


食事会も(つつが)なく進んでいった

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