ep.2-83 ソワソワ
まったく・・・
あいつが町中を歩くと
すぐに黒山の人だかりができる
目立つのも考え物だな
あいつにお願い事をしている以上
食事ぐらいは
たまに呼んでやって
労ってやらないと
とは思っているが
数日後の行動開始の時に
いきなり
ああも目立つのは
考え物だな
私はレベッカを呼んだ
「(マティア)
レベッカ
親父を呼んできてくれ。」
「(レベッカ)
いいのか?
探索と監視をさせているのに
途中で呼んできて。」
「(マティア)
構わない。
サンドラさんの報告内容にもよるが
動きを変える必要があるもしれないからな。」
「(レベッカ)
分かった。
すぐに呼んでくる。」
食堂では
夕食はすでに出来上がっていたので
いつも通り手の空いた海兵たちから
順番に食事を始めている
ビーフシチューの噂を聞きつけた海兵たちは
当番の兵を除いて我先にと食事を摂りに来た
美味いと叫ぶ海兵たちを見た提督は
暴れ姫が港にやって来るのを
今か今かと待っていた
「(マティア)
提督
あいつは美味しい料理があるからと
それだけに釣られて
急いで来ることはありませんよ。」
「(グレイ)
君から見たらバレバレだったかい?」
「(マティア)
それだけソワソワしていたら
エドワードさんにもですが
海兵たちにもバレますよ。
焦らなくても大丈夫です
今回は
かなり多めに作りましたし・・・
それに
料理が逃げることは無いですよ。」
「(グレイ)
そうだな。
君のことだから
何も心配することは無かったかな。」
「(マティア)
それだけ評価していただけるのは嬉しいですが
この先
僕がいなくなる前提で
烹炊兵の皆さんに
色々と覚えてもらっているので
僕がここで披露したものと
同じものを食べられるようにはしてありますよ。」
「(グレイ)
いなくなるつもりなのかい?」
「(マティア)
時と場合による
と言った所です。
それから
海兵の人たちとは違って
提督とお客様たちには
プラスで工夫したものを用意してあるので
楽しみにしていてください。」
「(グレイ)
君のことだから
用意したものは
何かとっておきの物なんだろ?」
「(マティア)
正直な事を言うと
海兵さんたちに用意した黒パンと比較して
目新しい物ではありません。
ですが
食べ続けても
すぐに飽きが来ないようにはしてあります。」
「(グレイ)
それは楽しみが増えたな。」
等々会話をしていると
暴れ姫が旗艦にやってきた
「(暴)
いやー
人気者でいるのも大変じゃのぅ。
提督
待たせてしまったかの?」
「(グレイ)
いえいえ。
立ち話もなんですので
船室にご案内いたします。」
「(暴)
よろしく頼むの。
ブライアン達からもらった招待状に
ビーフシチューを用意していると
書いてあったからの。
急いで来たつもりじゃったが
人に囲まれてしまっては
どうも思うようにはいかんかった。
提督も心待ちにしておったかの?」
「(グレイ)
正直に言うとそうです。
うちの海兵たちの
食事をして喜んでいる顔を見てしまうと
居ても立っても居られなくなりそうでした。」
「(暴)
くっくっく。
それなら早速席に向かうとするかの。」
「(グレイ)
はい。
こちらへどうぞ。」
2人が部屋に入っていったのを見て
私は厨房へと向かった
既に烹炊長とフランツが
料理の準備を終え
いつでも提供できるようにしてくれていた
「(ギャレー)
マティア君
あの焼いていた生地は
どのタイミングで使うんだい?」
「(マティア)
あれは
ビーフシチューを
2杯以上食べて
満腹寸前の人用の物になります。
さすがに3杯目以降にもなると
付け合わせが
黒パンだけでは飽きてしまうでしょうから
あれで
食感を変えて騙すようなものです。」
「(ギャレー)
食感?」
「(マティア)
同じものを食べ続けると
味覚や食感が慣れてきて
食べ飽きてしまうんです。
それを意図的に避けるためのものです。」
「(ギャレー)
まったく・・・
聞けば聞くほど
料理そのものや
それにまつわる知識とか
俺が知らないようなことが
溢れ出てくるな。
君は神様なのかい?」
「(マティア)
いくらなんでも
それはないですよ。
ただ
もし神が存在するなら
その目に映っている物や
その手で作り出すものは
私達では理解できないものだと
信じたいです。
そうでなければ
私たちの世界で起きる
摩訶不思議な事象の
説明が出来ませんから。」
「(ギャレー)
マティア君
君は・・・
過去に何があったんだい?」
「(マティア)
すみません。
今言ったことは
興味本位で言っただけなので
忘れてください。」
私は
烹炊長たちと夜食会の料理を
食堂へ運んだ




