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ep.2-78 教育方針

ブライアンとウォーレンが

湯浴みから帰ってくると

ヘイリーとクエスだけじゃなく

海兵の人たちも

魔法の練習をしていることに気付いて

何が起きているのかと

不思議がっていた


ウォーレンだけ

魔法について

何も教えていなかったので

不公平さを無くすために

魔法の素質があるかを確認したところ

素質自体はありそうなので

明日教えることになった


今日の夕食は

相変わらずの黒パンと

鯛を塩で包んで

オーブンで焼き上げたものと

豆のスープが出てきた


豆のスープには

正直あまり期待していなかったが

コンソメの味付けがしてあって

美味しく食べることが出来た

子供たちにも好評なようだ


その後

部屋に戻った子供たちは

お互いに今日何があったか

情報共有をしてから

眠りについた


私は

昨日と同じように

明日の教材の準備をしていた


今日も今日とて

扉をノックする音がした


「(エドワード)

 失礼いたします。

 マティア君

 少しお時間頂けますか?」

「(マティア)

 もちろんです。

 何かありましたか?」

「(エドワード)

 マティア君に

 いくつか聞きたい事があるのですが

 よろしいでしょうか?」

「(マティア)

 はい。

 答えることが出来る範囲でしたら。」

「(エドワード)

 今日

 子供たちと一緒に受けたテストにおいて

 なぜ

 乗法と

 除法の計算が

 掛け算表を使わずに

 あれ程速く計算できたのでしょうか?」

「(マティア)

 それはですね・・・

 私の頭の中には

 幼少期に

 1×1から

 19×19までの

 掛け算表が叩き込まれているので

 答えを瞬時に出すことができます。

 ただ

 その先になると

 少し時間が掛かってしまいます。」

「(エドワード)

 そのようなことが可能なのですか?」

「(マティア)

 1~2ヶ月間

 1日1時間程

 勉強する余裕があれば

 9×9までは

 誰でも記憶することが出来ます。」

「(エドワード)

 宜しければ

 その方法を教えていただけますか?」

「(マティア)

 教えるようなことは

 ほとんどありません。

 各段を順番に

 声を出しながら呼んでいき

 それを覚えるだけです。」

「(エドワード)

 たったそれだけですか?」

「(マティア)

 はい

 それだけです。

 脳が自然と覚えますので。」

「(エドワード)

 もう1つお聞きしても宜しいでしょうか?」

「(マティア)はい。」

「(エドワード)

 マティア君の

 教育論を

 教えて頂ければと思うのですが。」

「(マティア)

 えーっと・・・

 僕の場合

 教育論というような

 褒められたものではないと思います。

 単純に

 本人の学力に合わせた教育をしているだけだと

 思っていますが・・・」

「(エドワード)

 できましたら

 あの子たちの

 教育の方向性について

 教えていただけますか?」

「(マティア)

 そうですね・・・

 4人に共通しているのは

 まだ10歳前後で

 幼いということなので

 基礎学力をメインに

 教育するのが良いと考えています。

 先進技術や領地経営に役立つような

 ランクが上がる学問は

 彼等の今の能力で

 本人たちが頑張っても

 何を勉強しているかも

 理解できないし

 分からないと思います。

 今日

 彼らの学力が

 どれくらいあるかの確認をしましたので

 その結果に合わせて

 明日から本人たちの学力に合わせて

 また勉強をしてもらおうと

 思っています。」

「(エドワード)

 その先のことも

 考えていらっしゃるのですか?」

「(マティア)

 この先も彼らのことを見る

 という条件が付いてしまいますが・・・」

「(エドワード)

 その仮定で

 お話しを伺っても?」

「(マティア)

 分かりました。

 まずはブライアンの場合は

 彼の未来を考えれば

 侯爵位を継承することになる前提条件があるので

 目指すのは

 『ジェネラリスト』

 多方面の知識を

 ある程度

 高レベルで有することによって

 彼自身が上に立ったときに

 その下にいる人材たちの

 動きと考えを

 ある程度把握出来るようにして

 彼自身というよりは

 彼に付き従っている者たちが

 彼の手足となって

 全能力をしっかりと発揮できるようになるように

 成長することが大事だと思います。

 他の3人の場合は

 『スペシャリスト』

 を目指すのが良いと思います。

 ある程度の基礎学力を付けた後は

 本人たちが目指すところに向けて

 専門的な知識や技術を授けて

 その分野において能力を突出させるのが

 良いと思います。」

「(エドワード)

 スペシャリストとしての教育は

 どういったものがありますか?」

「(マティア)

 一番手っ取り早いのは

 その道のプロの下で

 勉強してもらうのが良いと思いますが

 教えを乞う相手と

 合う合わないもありますし

 彼らが

 『自分たちで将来どうしたいか』

 『どういう存在になりたいか』

 と

 決めない限りは

 しっかりと成長できないでしょう。」

「(エドワード)

 成程・・・

 では

 ただ教えるだけでは

 ダメという事でしょうか?」

「(マティア)

 その通りだと思いますが

 それ以上に

 本人達にヤル気が無ければ

 意味がありません。

 極論を言えば

 『危機感』があるか

 という所だと思います。」

「(エドワード)

 危機感ですか?」

「(マティア)

 確かに言い過ぎかもしれませんが・・・

 そうですね・・・

 仮にですが

 私が

 服飾関係の工房を

 営んでいるとします。

 他の工房に負けない為に

 取れる行動は

 大まかに分けて2つあると思います。

 1つ目は

 誰にも作れない物を作ること。

 2つ目は

 誰もが追いつけないほどの

 生産量を誇ることだと思います。

 物作りとしての方向性は違いますが

 どちらにも共通していることは

 高いレベルで

 良い物を作れるかということ

 言い換えれば

 世間から信用や評価を得られるかどうかです。

 それを得る為に

 どれだけ努力ができるかということになります。

 自分自身が努力していようがいまいが

 私たちが知らない誰かも

 努力をしています。

 要は

 手を抜けば

 誰かにすぐにでも

 追い抜かれてしまうという事です。

 エドワードさんも分かると思いますが 

 貴族家でも

 親の七光りと呼ばれた子息たちが原因で

 大貴族と言われた家が衰退した例は

 いくらでもご存知だと思います。

 彼らの立場を考えれば

 自らの失敗が原因で

 彼らに付き従う

 何十何百何千の

 未来や

 生命を

 潰しかねないということです。

 彼らの年齢で

 そこに気付ける可能性は

 現時点では低いですが

 数年先にでも気付いてもらえれば

 今の私が

 教師として彼らに授ける教育は

 成功だと思います。」

「(エドワード)

 成程。

 今ではなく

 将来を見越して

 教育をするということですか。

 当然と言えば当然ですが・・・」

「(マティア)

 ええ。

 その当然が出来ない教育者が

 多いのは事実です。

 ただ単に

 知識を詰め込めば良い

 技術を与えればいい

 と思っている方が多いでしょう。

 ですが

 知識や技術というものは

 本人たちが置かれている状況に応じて

 有効活用できなければ

 意味がありません。

 私は

 その

 知識と知識

 技術と技術

 もしくは

 その両方を

 紐づけられるようにしながら

 教えるつもりです。

 ただ

 本人たちの理解度に沿ってになるので

 大なり小なり

 1人ずつ覚えの速さが変わりますので

 その速度感を間違えないようには

 気を付けるつもりでいます。」

「(エドワード)

 マティア君

 君は

 本当に何歳なんですか?」

「(マティア)

 僕は17歳です。

 ただ

 ある程度

 歳を重ねた人たちと比べても

 変わらないぐらいの人生経験を

 しているとは思います。」


その後も

エドワードさんと

会話をして

色々とこの世界の貴族家の事だったり

歴史だったりを

教えてもらい

私自身が得られるものも多かったが

時間の使い過ぎで

この後

翌日の教材の準備で

天手古舞(てんてこまい)になる羽目になってしまった

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