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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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それぞれの役割


 夜さんの視線の先には、地面を見ながら歩いているアムリがいた。


「アムリ」


 私の呼びかけに顔を上げた。


「あ。いゆ!何してるの?」


 笑顔で私達の方に走って来る。


「眠れなくて」


「そうなんだ。実は僕も今日は眠れなくて。この人は誰?」


「夜さん。夜さんが目を覚ますとこの世界は夜になるんだって」


「へー。こんばんは」


 アムリは驚きもせず手を出して夜さんと握手をしている。


「こんばんは」

 

 丁寧な挨拶を返す夜さん。


「ここ座ってもいい?」


「うん。あ、夜さんも一緒に」


「ありがとう。アムリ君。なんだか元気が逃げ出したみたいに見えるね」


 アムリを見て確かめるが、私の目には普通に見える。


「いいえ。元気はちゃんとここにいます」


 アムリは自分の胸に手を当てた。


「いますけど、今は眠っているみたいなんです。僕は起きているのに」


 悲しい顔をするアムリ。こんなアムリは初めて見た。


「夜になるとさ」


 夜さんが空を見ながらゆったりとした口調で話を始めた。


「気持ちが大胆になるよね。だから、僕は生国、死国、地獄の色々な生き物の、色々な部分を見る事が出来るんだ。ギターを弾きながら歌う人、窓際で愛を語り合う恋人達、後悔の海に浸る人。朝や昼とは違って、僕はみんなを暗闇に包んでしまうけれど、僕のおかげで人間をそんな気分にさせてあげられるし、月や星は輝いて見えるんだ。キラキラ輝いていて美しく見えるのは、僕のおかげ。そして僕にとっても、星や月が必要不可欠。淋しい夜に輝きをくれるからね」


 夜さんは私を見て微笑むと、私の足元に手で影を作った。


「もし、歩いている途中で星や月明かりが何かで隠されてしまって真っ暗になった時は、立ち止まって明かりが出るのを待てばいいよ。また道を照らしてくれるまで、どのくらい時間がかかるかは分からないけど、一生暗いままなんて、嫌な事と同じでいつまでも続きやしないからね。それに、僕達は、朝がくれば太陽が道を照らしてくれるのを知っている。

 でも、そこまで待つ時間が惜しければ、違う道を探すといい。明るい道とは違って、暗いと見えにくいから危険を避けられずに怪我や嫌な思いをするかもしれないけれど、そんな時は友達がいると心強いよね」


 夜さんが話し終えると、アムリが小さな声で「僕はね」と言った。


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