地獄の掃除屋
「チヒョンって優しい人なのに、何で地獄に行っちゃったんだろうね。自殺しただけなのに地獄行きだなんて酷いと思う」
天井にゆらりと反射するろうそくの光を目で追う。
「何度も言うけど、自殺は対象が他人じゃなくて自分になっただけで、殺人と同じだからね。命を大切にしないやつは命の大切さを学ぶ必要があるんだよ。いゆがこの世界の裁き人になったとしたら、きっと生国は殺人者だらけになっちゃうね」
チヒョンは相変わらずキーボードをカチカチさせている。
「でも、死にたいと思ったのは自分のせいじゃなくて、自殺に追い込んだ人が原因でしょ?だったらその人が地獄に行くべきだと思う」
「うん、そうだね」
「あ。ねぇ。ペトラちゃんの時は目を見ても平気だったのに、なんでさっきの人は目から魂を吸い取られるって言ったの?」
いつもとは逆で私の方がお喋りになっている。
「ペトラはただの地獄の住人だからだよ。暗くてよくわからなかったかもしれないけど、さっきのは目が少し赤かっただろ?血眼になって魂を探す地獄の住人の目は赤いんだ。目から魂を吸い取るやつは地獄の住人だけじゃないから、もし赤い眼の人に会ったら気をつけろよ」
「うん、わかった。・・・さっきの女の人は食べられちゃったの?」
文字を打ちながら私の質問に答えていたチヒョンだったが、この質問をすると手を止めた。
そして、椅子の背もたれに肘を置き私の方を向いた。
「今日いた番犬達は、死国にいる地獄探知犬とは違って、地獄の中でも最も極悪人のいるエリアから来た番犬なんだ。あそこで働いている番犬の処理法は食で、髪の毛一本残さず食べるから、地獄の掃除屋って言われているんだよ」
はっきり食べたとは言わなかったが、話を聞く限りそう言う事らしい。いつも見かける探知犬を紳士と例えると、さっきのはまるで山賊の様だった。
私が何も言わずにいると、チヒョンが私の首に目を移した。
「その痣、明日はもっと酷くなっているだろうね」
地獄でスワンが首を絞められた時、痣が無くなるまでしばらく時間がかかっていた。私の首の痣もそう簡単には消えなさそう。
心配そうな目で見つめるチヒョン。
「あ、あれがあったはず」
ピコーンと何か閃いたような顔をして立ち上がった。
自分の机に向かい、引き出しを上から順番に開けて何かを探している。
「あった」




