表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
87/137

形あるもの

 チヒョンがスーツのジャケットを脱ぎハンガーにかけた。


「そうだ。借りてたカーディガン、手洗いしてみたんだけど臭いが取れていない気がして洗濯機で今洗ってる」


「あ」


 ネクタイを緩める手を止めた。


「あれ洗濯機で洗うと縮むのに」


「え!急いで止めて来る!」


「いやいや。捨てて良いよ。また着たかったら買えばいいし」


「そんな簡単に捨てていいよだなんて。物がかわいそうだよ。折角買ったものなのに」


「形あるものはいずれ壊れるのと同じで、洋服も一生は着る事が出来ないんだよ。着られなくなった日が早くなっただけだから。好きにしていいよ。小さくなっていゆのサイズにぴったりになったらそのまま着てもいいし」


 私がいるとチヒョンが着替え辛いと思い、一度自分の部屋に戻り、適当に歯磨きをしてからチヒョンの部屋に戻った。


 机の椅子に座りパソコンをいじっている。私はチヒョンのいる机と反対側にあるベッドにもぐりこんだ。


 疲れて早く寝たかったが、目を閉じるとなぜか地獄の住人に襲われた事を考えてしまう。指が食い込むほどの強い力。跡形もなく消えた姿。思い出すと全身に鳥肌が立った。


「チヒョン」


「ん?」


 パソコンをいじっていた手を止め、私の方を見た。


「何?」


「やっぱりそっちで寝てもいい?」


「俺のベッドで?」


「うん」


 チヒョンは少し考えてから「俺がそっちに行くよ」と言った。机の電気を消し、作業していたパソコンを持って私のいるベッド横の机に座り電気を付けた。


「あ。まぶしくて眠れないよね?」


 私は「大丈夫」と言ったが、チヒョンは自分の机に戻ると、引き出しから真新しいろうそくを何本か持ってきて一本ずつ火を灯し電気を消した。


「このろうそくリラックスできる匂いだからよく眠れると思うよ。今日は体も頭も心も驚いたはずだから、ゆっくり休んでね」


「うん」


「キーボードの音うるさかったら言って。気を付けるから」


「ありがとう」


 チヒョンは笑顔でうなずいて椅子に座ると再びパソコンで作業を始めた。


「チヒョンはパソコンで何してるの?」


「選択授業の課題。うるさい?」


「ううん。ただ何をしているのか気になって」


 というのは嘘で、話していないとさっきの光景を思い出してしまい、何か会話がしたいだけなのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ