表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
84/137

興味本位


「いゆは今度の日本休暇に生国に行くんだろ?」


「うん。だからパスポートも作ったんだ」


「生国へ行ったら、まず自分がどこにいるか確かめた方がいいよ」


 どういう意味だろう。


「私はここにいるじゃん。骨はきっと先祖代々の墓にいるけど」


「まだそこにはいないかも」


「まだって?生きてるって事?」


 チヒョンは否定もせず肯定もしない。


「いゆは今長い夢を見ているだけかも」


「そんなのあるわけないじゃん。私は死んで死国に来たんだから。それに、夢ってわかったら目覚めるんでしょ。今夢だと思ってるけど、何も起こらないよ」


 と、言いつつも、予定になかったと言われた自分の死国行き。たまに見る母に名前を呼ばれる入院中の夢。実はもしかしたら生きているんじゃないかと思う事があった。でもこの世界の居心地が良すぎて、そんな事考えないようにしていた。

 生国は辛いことばかりで嫌だ。


 就職の事を考え、人目を気にして生きて行く生活なんてもうしたくない。


「いゆ」


「うん?」


「死なずにここに来た魂は、生国へ戻る事を拒むと、地獄へ強制的に送られるんだ」


 いきなり何の話をしているんだろう。


「いゆなら、未来のある生国に戻るか、地獄に行くか、どっちがいいかなんて、考えなくても分かるだろ?」


「まるで自分が経験してきたかのような言い方だね」


「俺は生国と死国、地獄に詳しいからね」


「そんな事、こんな道端で言わないでよ。地獄の番犬がいたらどうするの!」


「誰もいないから大丈夫だよ」


「とにかく、あり得ない話は考えない!考えだって無駄。チヒョンは?韓国休暇には生国へ行くの?」


「行くよ。家族に会いたいし」


「やっぱりそうだよね。スワンはね、生国に帰った時色々あったからもうシンガポール休暇では生国に帰らないし、スワンの生まれてきた家にもまた生まれたくないんだって。なんだか淋しそうだったの。何があったのか聞きたかったんだけど聞けなかった」


「気になるの?」


「だって、あのスワンの元気がないんだよ」


 相当な事があったはず。


「でも、その話を聞いてどうする気?好奇心で聞くくせにそっか。大変だったね。って言うだけ?」


 好奇心と言われ少しムッとした。

 私は好奇心ではなく、友達だから気になったのに。


「それは、話を聞いてからじゃないと、なんて言うかは分からないよ」


「人の話を興味本位で聞くもんじゃないと思うよ。

 口から出る言葉って、目には見えないけどその人の気持ちや思いや考えが混ざっていて、何気ない一言でも心がじんわり暖かくなったり、逆に傷ついたりするだろ?

 俺は相手の気持ちを抱えてあげられるほど強くないし、気が利いた事も言えないから、自分自身の話もしないようにしているんだ。相手が話をしたいと思ってくれるならちゃんと聞くけどね」


「え?でも、初めて会った時、すごいおしゃべりだった記憶があるんだけど」


「そうだったっけ?」


そんな事ないという顔のチヒョン。


「だったら、それとこれとは別。地獄の事も俺はみんなに隠したかったわけじゃなくて、迷惑をかけるだけだから言いたくなかったんだ。結局迷惑をかける事になっちゃって申し訳ないな。俺みんなの事好きなのに」


「私も。私もみんなが好き」


 今のホラールの言葉にも、今は沢山の感情がごちゃ混ぜになって口から出ているんだと思う。一つの言葉には色々な顔があるから相手の気分次第で受け取られ方が変わってしまう。


 中学生の頃はそれでかなり苦労をした。

 私はそんなつもりないのに、クラスメイトのたいして仲良くない人達に怒ってるとか、あの言い方なんなの?とかよく陰で言われたものだった。


「嫌な思い出ばっかり」


「え、どういう事。さっきはみんなが好きだって言ってたのに」


「昔の話!今度はいい思い出をたっくさん作ってから死国に来ることにするんだ!」


「おー!それすごくいい考えだと思う」


 


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ