チョコレイト
「あの、すみません」
前にいた三人が反対方向から歩いてきた女の子に話しかけられた。
「はい?」と、スワンが答える。
「道に迷ったんですけど」
「どこに行きたいの?」
「行きたい所というか、ここどこですか?」
「どこって。死国区だけど」
「死国区?」
「そう。あなた、学生じゃないの?まさか地獄の住人じゃないでしょうね」
「地獄?何を言ってるんですか?」
女の子が何を言っているの?と変な顔をした。
「もしかして、まだ生きてる人ですか?」
アムリが尋ねると女の子がむすっとした顔をした。
「さっきから、地獄とかまだ生きてるとか何なんですか?」
その瞬間、その女の子は小さな竜巻になり、体の形を崩しながらさらさらと姿を消した。私は驚き、思わずチヒョンの腕にしがみつく。
「え。今の何?。幽霊?」
私がそう言うとみんなは大笑いし、ホラールが笑いながら話す。
「あれは幽霊じゃないし、どちらかと言うと俺達の方が幽霊だよ。さっきのは、生きてる人で、夢で死国に来たんだよ。消えちゃったのは自分がまだ生きているっていう事を知っていて、目が覚めたからだよ」
飲み屋町に着き、三人があるお店の前で止まった。
「ここだよ。僕達の行きつけのお店」
周りのガヤガヤとした雰囲気のお店とは異なり、そこは静かそうで小さなお店だった。屋根と出入り口の扉が赤く、壁はミルクチョコレートの様な色の木でできている。
お店の扉を開けると、中はオレンジ色の暖かな光と賑やかな笑い声で溢れていた。外から見るよりもお店の中は広く、様々な形のテーブルや、様々な素材の椅子がある。カウンターでは私達より年上に見える店の人がお客さんと楽しそうに話をしていた。
「あら。アムリ久しぶりじゃない!今日はみんな揃って来てくれたのね」
カウンターから女の人が出てきた。
「チョコさん!こんにちは!」
「最近来てくれないから寂しかったのよ」
チョコさんは両腕を大きく広げて優しくアムリを抱きしめる。
「みんなの休みが中々合わなくて。今日は新しい友達を連れてきました」
ジャーンっと手を広げてアムリが私達をチョコさんに紹介した。
「この人はいゆ」
「はじめまして」
「こっはチヒョン」
「チヒョンです」
「チヒョンよろしく。はじめましていゆ。私はチョコよ」
お店の奥からチョコさんと同じオレンジ色の髪の毛の男性も出てきた。背がかなり高い。
「僕はレイトよろしくね」
カウンターは二席しか空いておらず、私達はカウンター近くのテーブル席に座る事にした。席に座ると、メニュー表も確認していないのにレイトさんが注文を取りに来た。




