デーチェとベーラ
「ペトラを地獄から救える方法があるなら全部試したい。代行人って紹介式だったよね?チヒョンがその時に会った代行人を俺に…あ」
ホラールは机の引き出しから綺麗に折りたたまれた紙を取り出した。見覚えのある緑色の紙。
「それ!」
私とチヒョンの声が重なった。
「俺が会ってる代行人の名刺」
「私も前に会った代行人にそれ貰って、この前ホラールにあげたの」
「この人に直接お願いをする。チヒョンの紹介って言ってもいい?」
ホラールがスマートフォンを取り出した。
「それは構わないけど、きっと無理だと思うよ」
「やれることは全部したいんだ」
「やあ。チヒョン。いゆさんはまた会ったね」
前に代行の人と会ったところと同じ場所、同じ時間に私達は待ち合わせた。
「君がホラールだね。連絡が来ると思っていたよ。ペトラちゃんの事。だよね?」
「なんで、知ってるんですか?」
「なんとなく」と言って私を見てほほ笑んだ。
「どんな用かもなんとなくわかるけど」
「ペトラをこの世界に連れて来たいんです」
代行人は何も言わずにただホラールを見ている。
「お願いします」
ホラールが深々と頭を下げた。
「それで?連れて来てどうしたいんだい?」
「どうしたいって・・・。一緒にいたいです」
代行人に笑顔はなく真顔だ。
「ペトラちゃんにも死国に来て生まれかわりたいという意思はあるの?地獄の住人が生まれかわるのにどれだけの代償があるのか君はきちんと理解をしているのかい?」
「さっき、チヒョンから聞きました」
「それなら、余計にペトラちゃんの事を考えてあげるべきなんじゃないのかい?君はもともと死国の人間だからあまり苦のない人生を送れるだろうけど、ペトラちゃんは、生まれた時、もしくは生きている時に一〇〇%大切なものを失う。また辛い人生になるんだよ。君の人生ではなく、ペトラちゃんの人生が」
またってどう言う事だろう。
ホラールが眉間にしわを寄せた。
「君。ホラールとして生まれ変わる前に、一度ここで僕と会っているんだ。覚えてないだろうけど。その時の君の名前はデーチェだった。今よりももっとイケメンだったかな。女の子から人気があった様だよ。ある日、君の所に知らない男がやって来て、彼女はお前じゃなくて俺の妻になるはずだったのにって言ってきたんだって。そして君はその男に殺されたんだよ。実際には、その男の一方的な好意だったみたいだけど。で、その時の君の奥さんの名前がベーラ」
その名前を聞いて、ホラールは驚き目を大きくした。




