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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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代行業者

 寮の裏庭のにあるベンチ。ここは死国でのお気に入りの場所。しかし、今日はお気に入りでただ来たのではない。吉沢さんにもらった名刺の代行業者に連絡をしたら、午前二時に寮の裏庭で会おう。と言われたのだ。しかも依頼人の私一人だけで来いとの事。


 (因みに電話で話した相手の声は死国管理局のジンさんではなかった)


 裏庭と言われても広くてどこにいればいいか分からないのでここで待っている。念の為早めに来たのだが、待ち合わせの時間を過ぎても誰も来る気配がない。


何で真夜中に時間を指定したのかな。どんな人が来るんだろう。なんでもする人だし筋肉もりもりな人かな。


 楽しい時間はあっという間に過ぎるのに、待っている時間はいつも長く感じる。


 部屋を出る時はすでにスワンが寝ていたので私達の部屋には電気が灯っておらず、隣にあるチヒョンの部屋も真っ暗で心細い。あと五分待って来なかったら帰ろう。


 スマートフォンで時間を確認しながら待っていると、遠くで草がカサカサと音を立てた。


 草は起きているみたい。少し安心。


 と思ったが、木や草は風が無ければ自ら動く事が出来ないはず。


 嫌な予感がした。


 もしかしたら、ホラー映画でよく見る、音がだんだんと近づいてきて止まったと思いきや、いきなり目の前に何かが現れるシーンを今から体験するのかも。かもじゃない。きっとそうだ。私の場合、嫌な予想は大抵当たるものなのだ。


 耳を澄ませると(静かすぎて耳を澄まさなくても聞こえるが)音が近づいて来ている。


 どうしよう。逃げる?いや、逃げる必要なんてない。怖がらずに無反応な態度の私を見たら怖くて逆に相手が逃げるかも。逃げはしなくても何もしないはず。


 でも、よく考えたら人間があんな低姿勢で早く走れるわけない。


 もしかて、この前ニュースでやってた地獄探知犬だったりして。私襲われる?!取り合えず逃げよう!


 そう思って立ちあがった。しかし、私よりも草むらから飛び出してくる相手の方が早かった。


「ぎやああああ!」


 私は襲われると思い、手で自分の身をガードしながらベンチにしりもちをついた。


「いゆってお前か?」


 襲われるのではなくかけられた言葉。飛び出してきたのはスーツをきた一匹の猿だった。


 ものすごい声で叫んだのに、猿は全然驚かず、冷静だ。


 以前、窓から落ちた時に植物達を起こして怒られてしまったが、今日は何の声も聞こえずこちらも静か。怒られる事はなさそうだが、なんの反応がないのもそれはそれで恥ずかしい。


「そうですけど・・・ジンさんですか?」


 この状況からすると、きっと代行業者に違いない。だが来たのは人間ではなく猿。今日は猿との相性が悪いのに。


「何だよ、動物じゃなくて人間かよ。人間は人間専用の代行がいるんだ。連絡してみるからまってろ」


 ジンさんも私の事を人間ではなく動物だと思っていた様だ。


 スーツの胸ポケットからジさんンの手にピッタリサイズのスマートフォンを取り出した。どこかに電話をしようとしている様だ。


「あ。いや。依頼したい事があるんじゃなくて、ただ話を聞きたかったんです」


 ジンさんが電話をしてしまう前に私は言った。


「話?なんの話だ?」


「どうやって地獄に行くのか」


「そんなの教えられるわけないだろ。初対面だし同業者じゃないし、人間だし」


 最後の人間だしの意味は悪い意味なのだろうか。


「ですよね。代行さんの仕事って、犯罪にはならないんですか?」


「なんで犯罪なんだよ。仕事なのに。でも、まあー。仕事の内容によっちゃあ・・・あぶねえ。言っちまう所だった」


 ジンさんがいわざるのリアクションをした。芸を仕込まれた猿に見えて可愛らしい。


「仕事だったら頻繁に生国へ行けるんですよね?」


「ああ」


「地獄へも行き来が出来るって事ですか?」


「そうだけど。なんでそんな事聞くんだ?」


「人間の代行さんに会いたいです」




「君がいゆさん?」


 ジンさんと別れて同じ場所で待っていると、直ぐに柔らく優しい声に呼ばれた。



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