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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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図書館

「いゆ、なんでそんなに急いで食べてるの?ご飯は食材に感謝しながら、きちんと味わって食べなきゃ。まるでアムリみたいよ」


 食べ物には申し訳ないが、今の私はご飯を美味しく食べるよりも、早く食べ終わりたい気持ちの方が大きい。


「ちょっと用事があって」


「図書館に行きたいんだって」


「何か調べ物?私、図書館ってあまり行った事ないわ」


「私は初めて行くの」


「悪魔と契約について調べたいんだって」


「チヒョン!」


 私は思わずチヒョンの腕を掴んだ。


「さっきから補足をつけないでよ」


「なんで?質問に答えてるだけなのに」


「そうだけどチヒョンに聞いてるんじゃないし、それに」


 ちらっとホラールを確認した。


「俺達の為?」


 ホラールはまだ元気がない。スープの具をすくって落としてをずっと繰り返している。


「うん。でも、私がやりたくて勝手にやる事だから、もし嫌なら調べたりしない」


「嫌じゃない。ありがたいよ。でも、大丈夫。自分で調べるよ。ありがとう」



 ホラールは大丈夫だと言ったが、断られてはないので、チヒョンを連れて図書館に向かった。扉を開けて中に入ると、天井は吹き抜けで、ケルト音楽が流れている。


「図書館なのに音楽が流れているんだね」


「毎日演奏家達が演奏をしているんだよ。朝は鳥のさえずりで、昼からは人間が演奏して夜はクラシックだったかな」


「鳥のさえずりも、演奏も本物なの?」


「うん。季節によっても音楽が変わるんだ。鳥も演奏家も最上階にいるよ」


 チヒョンのが上を指差し、それにつられて上を見ると壁には一面に本がびっしりと並んでいて、階段の下も棚になって本が置かれていた。本が無いのは床と天井くらいだ。


「いゆ。こっち」


 チヒョンについて行くと一定の間隔でタブレットが並んでいる所に連れていかれた。


「これで探した方が早いよ」


 これは生国にもあった便利な検索機。私は検索画面に地獄 魂 場所と打ち込んだ。すると、検索結果が三件と出た。


「転送ボタンをタップ」


 チヒョンが転送を押すと、検索結果がチヒョンのスマートフォンに映し出されていた。


「何でチヒョンのスマホに通知が行ったの?」


「画面全体が指紋認証になっていて、俺の指紋で転送したから、こっちにきたわけ。いゆが転送をするといゆのスマホに送られてくるよ。スマホを買う時に登録した指紋と連携してるから、死国の指紋認証システム全部と繋がるんだ。やってごらん」


 私も転送画面をタップした。スマホを確認すると本位置情報の通知が来ている。


「凄い」


「行くよ。この二冊は二―Bのだから二階だ」


 この図書館、なんだかわくわくするし、こんなに本があるならもしかしたら何かヒントがあるかも。


「楽しそうだね」


「だって、何か分りそうじゃん」


 チヒョンの後に付いて階段を上り二階のBの棚に向かう。


 探している本は一〇〇三。近くの棚にある本の背表紙を見ると二―B―〇四六と書いてある。ここが〇四六で、一段上が〇五六という事は…え。もっと上?


 ずっと見ていたら首が痛くなりそうな高さ。背の高いチヒョンでさえ絶対に手が届かない。


「あんな上の本どうやって取るの?」


「取ってきてもらうんだよ」


 チヒョンはBの棚の近くにいたキリンに話しかけた。本に夢中で動物がいるなんて全く気が付かなかった。


「この一〇〇三と、四五九の本お願いします」


 キリンはスマートフォンの画面を確認すると「はいよ」と返事をし、立ち上がると本から出ている突起をくわえて本を一冊チヒョンに渡した。「これが一〇〇三」と言ってもう一度首を伸ばし、もう一冊の本を取ってチヒョンに渡した。


「これが四五九」


「ありがとうございます」


「どういたしまして」


「各棚には動物がいて、手が届かない所の本はその動物が取ってきてくれるんだ。この世界にいるものはみんな働かなきゃいけないからね。次はDの棚」


 Dの棚にはリスザルがいた。


「私も頼んでみたい」


 私はリスザルに近づいた。


「すみません。二〇一の本をお願いします」


 スマートフォンの画面を確認し「はーい」と返事をすると、リスザルは本棚を素早くするすると上がって行き、本を取ってからまたするすると下ってきた。


「ありがとうございます」


「どういたしまして」


 すごい。感動。リスザル可愛い。


「あっちに机があるからそこで読もう」


 午後の光がキラキラと差し込むテーブル席。私は、『地獄と魂』というタイトルの本から読み始めた。



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