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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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ペトラと狼

「何をしているんですか!」


 遠くの方で声が聞こえた。


「トルキせんせぇえー!」


 数匹の狼達と一緒に走ってくる先生が見えて、私は泣きながら叫んだ。私達を見つけた狼達はスピードを上げこちらに走って来ると、そのままのスピードでペトラちゃんに噛みついた。


「きゃああっ!」


 狼がペトラちゃんを引っ張ると、やっとスワンの首から手が離れた。それと同時に私とホラールが飛ばされ尻もちをついた。


「スワン!」

「ペトラ!」


 ペトラちゃんに近づこうと急いで立ち上がったホラールを別の狼が唸り声を出し牽制した。私は気を失いかけていたスワンを抱き寄せた。


「スワン!死んじゃうかと思った!」


 ペトラちゃんの方を見ると、二匹の狼がそれぞれ彼女の両腕に噛み付いていた。


「痛い!いやあ!離して!ホラール! 」


「三人ともこちらに来なさい!」


 私はまだ苦しそうなスワンを立たせ、呆然としているホラールを引っ張って先生の方に近付いた。


 騒ぎに気付いた鬼が一匹のそのそと近付いて来る。

 しかし、狼が数匹威嚇の唸り声を出すと、のそのそと元の場所に戻って行った。


「先生、警護が必要なら付いて行ってやるがどうする」


 狼が先生に聞いた。


「必要ありません。ご足労をおかけしました」


 先生がそう言うと、一匹の狼が遠吠えをして走りだした。残りの狼達もそれに続き、ペトラちゃんの腕に噛みついている狼達も腕を咥えたままの状態で走り去った。


「いやああああ!ホラール!ホラール!」


 悲痛な叫びがだんだんと小さくなっていく。


「あなた達。大丈夫ですか?二人は一年生ではない様ですが、地獄の住人と関わるなと言われた事を忘れたのですか?何をしていたんですか?しっかりしなさい!扉が閉まってしまう前に早く戻りますよ!」


 先生に叱られて「はい」と返事したのは私とスワンだけだった。


 集合場所に間に合った私達。アムリとチヒョン二人が私達に気付いた。


「ホラール!よかった!」


 アムリが走ってきてホラールに抱きついた。


「ありがとうアムリ。チヒョンも。二人が助けてくれたんだろ?」


 ホラールがアムリの頭を撫でた。


「僕じゃないよ。チヒョンが大声で先生に助けを求めに行ったの」


「そうだったんだ。ありがとう。俺、本気で地獄に残ろうか考えちゃった」


 遠くの方をみて、弱弱しく微笑むホラール。


「いたけりゃいれば良かったじゃん」


 クールに言ったチヒョンの腕をアムリがバシバシ叩いた。


「えーい。チヒョン、さっきは凄くホラールの心配してたくせに!三人が見えなくなった途端にね、すごいスピードで走りだしたの。何かが追いかけて来たのかと思ったけど、怖くて振りむけないから、僕叫びながら必死に走ったんだよ!チヒョンが何度も後ろを見るからやっぱり何かが追いかけてきてるのかと思って本当に怖かったのに!もー!」


 今度はグーで腕を叩き始めた。


「俺っ、それっ」


 チヒョンが笑いすぎて話せないでいる。


「何でアムリが叫んでるのかが謎で振り返ってただけなんだけど」






「空席が無いと言う事は、皆さん無事に戻りましたね」


 先生は教室を見渡した。


「今回はどの学年の学生もきちんと戻ってくる事が出来て幸いです」


 先生と目が合ってしまい、私は自分の机に視線を落とした。


「今日の見学が今後の皆さんの未来に役に立つ事を願います。二度とあんな所には行きたくないでしょうし。この日の記憶だけは、生まれ変わっても残ってくれたらいいのですが、無理な事を話しても無駄ですね。では、今日の授業はお終いです」


 先生が、教室から出て行き、みんなも廊下へ出ていく。


 チヒョンも「行こう」と席を立った。


「ねえ、悪魔との契約を破棄する方法はないのかな」


 私は座ったままチヒョンに聞いた。


「俺達にはどうにも出来ないよ。方法はない」


「なんで方法は無いってわかるの?」


「図書館の本で読んだんだよ。いゆ本読まないだろ?」


「図書室!そうか!チヒョン、図書室に行こう」


 私はチヒョンを置いて教室を出た。廊下は授業終わりの人達で混んでいる。急いで図書室に行く為、走り出そうとした私をチヒョンが呼び止めた。


「本で調べても何も出ないし、何も分からないよ。それと」


 チヒョンが私に近づく。


「本よりご飯が先だろ?」


「あ。そうだった。いや!その前にチヒョンは手洗いが先」


 ここは死国。もう怖くはないので急いでチヒョンから離れた。

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