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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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他人の恋は苦い味


「ペトラ?」


「でもっ!ホラールはここに残ってくれるわよね?」


 ホラールの顔を見上げるが、ホラールは何も言わず、悲しげな顔でずっとペトラちゃんの顔を見ていだけ。


「うんって言ってよ。あたしの事愛してるでしょ?」


 ペトラちゃんはホラールの腕を爪が食い込むほどギュッと握った。さっきまでの綺麗なペトラちゃんとは違い表情が変わった気がする。正直、今の姿は少し怖い。


「ホラール。その子本当にホラールの彼女?悪魔が化けてるみたいに見えるけど」


 チヒョンがそう言うとスワンはチヒョンを肘で小突いたが、ホラールも何か違うと感じたようだ。


「もしかして、ペトラ。悪魔と契約をしてないよね?」


「したわ。契約をしたらホラールに合わせてあげるって言われたの。そのおかげでこうやって、本当に会えたじゃない!」


 みんなの口から「あぁ」という声が漏れた。


「みんなどうしたの?これって悪い事なの?」


「あの子、悪魔に騙されたのよ。可愛そうに」


 スワンはペトラちゃんを見ながら話し始めた。


「悪魔と契約をしてしまうと、もう生国に生まれる事が出来ないのよ。だんだんと人間離れした見た目になってしまうわ。きっとペトラさんは契約をしたばかりで、まだ見た目が人間のままなのね。悪魔は約束を守る奴らじゃないから、今ホラールに会えたのはその対価じゃなくてただの偶然よ」


 そんな。


「同情してる中悪いけど、俺は先に戻るよ。もう時間が無いし、こんな面倒なことに関わりたくないし。俺は知らない事にしておいて」


「え?チヒョン!」


 呼び止めたがチヒョンは一人で歩いて行ってしまった。


「ホラール。僕達も行かなきゃ」


「ごめん、後で追いかけるから先に行ってて…」


 ホラールはアムリを見ずに答えた。


「わかった。先に行ってごめんね、ホラール。絶対に戻って来てね」


 そう言ってアムリはチヒョンを追いかけた。


「二人も、先に行ってて。俺は、大丈夫だから」


 私もチヒョン達について行きたいが、ホラール達を置いて行く事は出来ない。どうしたら良いか分からず動けずにいた。


「ホラール。あたしも連れて行って。お願いよ」


 少し無言が続いた。


『集合時間十分前です』


 私達の耳に再びアナウンスが流れた。私の頭の中は置いて行かれるかもしれない事でいっぱいだ。


「ごめん。ペトラを死国に連れていく事は出来ない」


「じゃあ、あたしと一緒にここに残ってくれるのね。ホラールがいるならあたしここに居ても平気」


 ペトラちゃんはホラールに抱きついたが、彼はゆっくりとペトラちゃんから離れて肩を掴んだ。


「ごめん。それも、できない」


「なんで?どうして?酷い。酷いじゃない。なんでよ!あたしはホラールに会いたくて自殺までしてここに来たのに!あんたは何であたしの為に何もしてくれないのよ!まさか、他に好きな人ができたのね!だからあの時もすんなり私と別れる事に賛成したんでしょ!誰よ!」


 急に気性が激しくなったペトラちゃん。それにはホラールも驚いている様だった。


「ペトラ。落ち着いて」


「この女?!」


 ペトラちゃんがホラールの近くにいたスワンを指差した。


「違うよ。俺が愛してるのは、今でもペトラだけだ」


「嘘よ!じゃあなんであたしと一緒にいてくれないのよ!あんたさえいなければ!」


 ペトラちゃんがスワンに近づき、両手で首を掴んで押し倒した。


「うぅっ」


 苦しむスワン。ペトラちゃんは馬乗りになり首を絞める。


「ペトラ!」


「スワンっ!」


 スワンを助けようと、私はペトラちゃんの腕を引っ張った。


「やめて!スワンが死んじゃう!ホラール!」


 華奢な見た目とは反対に力の強いペトラちゃん。私の力ではどうにも出来ない。


 ホラールもペトラちゃんの体をスワンから引き離そうとしているが、手がボルトで首に固定されているように全く離れない。


 本当にスワンが死んじゃう!恐怖で私の目からどんどん涙が溢れ出す。スワンの苦しんで赤くなっていく顔を見る事が出来きず、私は目を瞑り必死にペトラちゃんの腕を引っ張る。


「やめてえーーーーー!」


 私は叫んだ。


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