天国・地獄・外国
薄い黄色で塗られた木製の扉を押し開けると、大きなシャンデリアが目に入った。光を放つガラスがキラキラと揺れてとても綺麗だ。廊下には赤い絨毯が敷かれており、それは階段にも続いていた。階段の手すりは木製で彫刻が施されており高級感が溢れている。まるで貴族の社交パーティに呼ばれた気分だ。
二階から一階を見下ろすと、ロビーには頭にターバンを巻いた人や、水着を着た人、色々な国の人が色々な格好でいた。まるで海外旅行に来たみたい。一階に降りて、よそ見をしながら歩いていると、近くにいた人とぶつかってしまった。
「うあぅっ。すみません!うわっ」
すぐに謝り顔を見ると、ぶつかった相手はがっつり外国人顔のおじいさんだった。
「あっ!ソ、ソーリー・・・」
何処の国かは分からないが、顔的に英語っぽかったので英語で謝った。
「大丈夫ですよ。では、よい一日を」
「あ。はい。ありがとうございます…」
顔を見なければ日本人だと思うくらいおじいさんの日本語が完璧。日本に住んでいた人なのかな。
「あ」キャリアウーマンを見失ってしまった。名前を呼ぼうと思ったが名前を知らない。連絡先も知らない。そもそも連絡を取る手段も無いんだ。迷子になったらその場にいろとよく言うけど、邪魔になりそうだしとりあえず外に行こう。
今度は人にぶつからない様に出口に向かった。
ったく。あのおばさんが話しかけてこなければ事故にあわず死にもせずに済んだのに。というかあの時、おばさんは私を助けないで叫んでいただけだから私は死んじゃったんだ。おばさんの家に行って驚かしてやる。慰謝料も貰いたいくらい。家族にあのおばさんのせいだってどうにかして伝えないと。
扉を開けて建物の外に出ると、目の前にはものすごく変な光景が広がっていた。まず、音楽室に飾ったあった海外の音楽家の様な格好の人がいるし、平安時代にいそうな着物の人もいる。高層ビルなのに屋根は合掌造り。道路にはもちろん車が走っているが、牛舎や西部劇に出てくる格好で馬に乗っている人もいる。空には・・・空飛ぶ車を想像したが普通の飛行機と鳥しか飛んでいない。と言うか、かねがね感じていたが、空飛ぶ車ってもはや飛行機の事だと思う。
目の前を歩きスマホをしている忍者が通った。コスプレ?ここは天国なのかな?きっと地獄ではないよね。カオスの国?
色々なモノや人が珍しく、口を開けて見回していると急に後ろから強く腕を掴まれた。




