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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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船着き場

「死の国と書いて死国。ここを病院だと思っているみたいだけど」

「ちょっと待って下さい!」

 やばいやばいやばい。この人頭がおかしい。どうしよう。

「ちょっと親に電話してもいいですか?」

 私はお母さんに連絡をしようと、スカートのポケットに手を入れたがスマートフォンが無い。家を出る時、ポケットに入れたはずなのに。トラックとぶつかった衝撃でポケットから落ちたのかな。

 病院なら公衆電話があるじゃん。と思ったがお財布を入れたトートバッグもない。事故にあった時に証拠品として全て警察に持って行かれたのだろうか。どうやって連絡を取ろう。

 病室を見渡すと、ここにはベッド以外の家具が何も無い。そういえば、私は病衣を着ておらず、事故に遭ったとは思えないほど服が綺麗だ。トラックに飛ばされて、コンクリートに打ちつけられたのにどこ痛くないし、傷が一つもない。

 もしかして、私には特殊な能力があるとか?それでこの変な施設に連れてこられたとか?

 死ぬかもと思った時とは違う恐怖が一気に押し寄せてきた。

 そうか。どこにも逃げられないようにスマートフォンを取られたんだ。体は大丈夫そうだし、走って逃げよう。あんな事故に遭って無傷なら、きっと怪我をしない能力を持っているに違いない。ここが何階だとしても、窓から落ちて怪我をする事はないはず。

 頭で作戦を練っているとスーツの人が口を開いた。

「ここがどこだか分かってない様だけど。混乱しないで聞いてね」

 やっぱり。ここは病院じゃなくて何かの施設なんだ。逃げられなかったら血液検査とか解剖をされるのかな。まさか、この能力を使って世界を悪者から守る役目を任されるんじゃないよね?え・・・何それ。かっこいいじゃん。みんなには正体を隠して日本を守る。良いじゃん。良いじゃん!昔はまった海外ドラマみたいじゃん!給料はもらえるのかな。私の口角が一瞬上にあがった。きっと私がニートだったのは今日のこの時の為だったんだ。仕事しながら正義のヒーローなんて大変だもんね。私は覚悟を決めて、口からゆっくりと息を吐いて静かにうなずいた。大丈夫。私、この能力を受け入れられる。

「ここはね、日本じゃないのよ。三途川の船着き場。あなた死んだのよ」

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