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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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薄汚れた服の綺麗な子

 閻魔大王様の話を聞いた後は、地獄管理局の外の出入り口前に戻ってきた。


「ここから一時間は自由行動です。集合二十分前になるとイヤフォンからアナウンスが流れてくるので時間に余裕があっても必ず戻ってくるように。何度も言いますが、我々はみなさんに何があっても責任を取る必要はないので、一人戻ってこなくても探しに行ったりしないですからね」


 スワン達のクラスの先生がそう言って自由時間になった。


「自由時間って。地獄で何すりゃいいんだよ。遊園地じゃあるまいし」


「あ、今度みんなで遊園地に行きたいね」


なんて話をしながら、スワン達を探しに三年生のエリアに向かう。


 三学年が揃うと人が多くて三人をなかなか見つける事が出来ないだろうと思ったが、地獄にいても目立つホラール。すぐに見つける事が出来た。


「好きだねー、ホラールの事」


 なぜホラールを見つけた事がすぐに分かったんだろう。


「ホラールじゃなくてスワンを見つけたんだし」


 嘘ではないが否定をしておく。


「いゆ!すぐに見つけられてよかったわ。自由時間なんて無くていいから早く帰らせてほしいわね」


「それが無理なら俺達の事を地獄管理局の中に入れてほしいよね。外じゃなくて中で自由時間を過ごさせてほしいな」


 みんなであーだこーだ言っているが、アムリは一人だけ楽しんでいる様だ。


「ねえ、僕達も早くどこかに行こうよ」


 みんなで一度見学した所に行ってみたが、やはり同じ場所を見てもつまらない(そもそも地獄自体がつまらない)。


 そのまま目的もなく地獄管理局を背中に歩き続けて、だいぶ遠くに来た頃だった。遠くの方で何かの作業をしている人達と、なんとなく人ではなさそうな二本足で立っている何かが見えた。


 気付かれない様に大きな岩の陰に移動して隠れて見ていると、人間の足にはみんな重そうな塊がつけられていた。服は汚れていたり所々破れている人もいる。きっとこの人達が地獄の住人なんだろうと思った。ということはきっと人間ではない二本足で立っている生き物は鬼だ。


 日本で見たことのある絵の鬼とは違い、ツノはないが目はぎょろぎょろしていて、歯茎まで剥き出しの口元。あんなものに追いかけられたら怖いなと思いながら見ていた。


 鬼達は鞭や金砕棒で地獄の住人を叩きながら、笑ったり怒鳴ったりしている。地獄の住人達はうめき声や叫び声を出しながら何かを運ぶ作業をしていて、目の前の光景がはまるでフィクション映像を見ている様だった。


 辛い事があって自殺してしまったのに、何でこんな目に合わされているんだろう。チヒョンの言う通り、自殺にまで追い込んだ人間がこれを知らずに大笑いする日が来るとしたら、なんて考えると怒りが溢れて来た。


 みんなでその光景を見ていたが、目の端に白い何かが動いたように見えた。


「向こうに何かいる」


 小声でチヒョンに言ってその何かが見える所に移動した。


「本当だ。人?女の子っぽい」


「綺麗な子だね」


 薄汚れている水色のワンピースを着ているが、その子は綺麗に見えた。


「いゆ、何を見ているの?」


 スワン達も私達の方に移動してきた。私がその女の子の話をする前にホラールがその子に気づいた。


「ペトラ…?」


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